PODの功罪-デジタル印刷で儲けるために

掲載日:2017年1月18日

page2017カンファレンス「価値をつくる自動化」スピーカーの(株)グーフ岡本幸憲氏からの問題提起

page2017カンファレンス「価値をつくる自動化」セッションでは、事前に概要を公開していきます。予備知識として知っていただくことで、セッション内容の理解を深め、当日の議論をより有意義なものにしたいと思います。

初回は、スピーカーの株式会社グーフの岡本氏からの問題提起です。


「PODは儲からない」というのが印刷業界のPODに対するイメージだろう。その理由は、POD=多品種小ロットというイメージが強すぎる。「今日必要な印刷物を1枚から提供します」といったキンコーズのようなビジネスモデルがPODと思われている。結果として超高性能レーザープリンターを使った印刷出力代行となってしまい単価競争に陥ってしまう。

たまたま私の父は軽オフ印刷及び複写業をしていて、特に図面やマニュアルに強みがあった。そのためPOD機の導入も早く、出力枚数は常時相当数あったが、結局事務の代行サービスの域を出なかった。何がソリューションで何がインセンティブなのかを突き詰めることなく、PODという言葉だけが独り歩きしている。

私の経験からも述べたい。10年ほど前に前職ではデジタル印刷機を30台くらい保有していた。当時から、さまざまな企画提案をして先進的な取り組みをしていたが、稼働率50%を超える設備はなかった。
その理由を考えると、結局のところ仕事の流れを自分でコントロールできない。お客様の発注プロセスや営業担当の動き方に左右されてしまう。あげくの果てにデータが入稿されてから「出力できる、できない」と四苦八苦している。
営業窓口がWebのストアフロントに変わったとしても瞬間風速が上がるだけであって、1日24時間のなかで仕事が均されることはない。その対応をするために多くの台数を揃えたし、その体制を整えたことに悦に入ってもいた。
しかし、よく考えると少しも賢くない。理想は最低限の設備台数で他社の10倍の枚数を出力することである。どうすればそのモデルが実現できるかを逆転の発想が求められる。(その2につづく)