設備投資意欲が高まる JAGAT印刷産業経営動向調査より

掲載日:2017年9月14日

JAGATが2017年3月に実施したJAGAT印刷産業経営動向調査2016によると、JAGAT会員企業の設備投資意欲は「前期より大幅に増やす」と答えた企業が過去10年で最高の10.6%となった。

図は今年度(2017年4月~2018年3月)の設備投資予定である。「前期より大幅に増やす」は前年度調査結果を大幅に上回る10.6%となった(5.3ポイント増)。「前期よりやや増やす」の回答も前年を3.3ポイント上回る24.4%であった。

平成28年度補正予算の「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」の採択結果をみても、印刷会社の採択例が散見される。

◎平成28年度補正「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」の採択結果等について (2017.3.17 全国中央会)

助成金が設備投資の追い風になっていることは間違いない。投資内容は攻めと守りの両面がみられる。攻めでは、新事業・新サービスの立ち上げのためのデジタル印刷機など、守りの面では検査装置などがみられる。

JAGAT会員のコメントからは、従業員の高齢化、人手不足対応のための自動化、省力化の設備投資を行うというものがみられる。

全体的なトーンとしては、縮小均衡のデフレ基調から脱して「投資なくして成長なし」という積極性が感じられる。ただし、投資対象はオフセット機かデジタル機か、あるいは成長分野の見極めなど迷いも感じられる。

一方で、日本政策金融公庫による「中小製造業設備投資動向調査」では、2016年度実績が対前年21.6%減、2017年度当初計画が対前年23.9%減というJAGAT調査とは正反対の結果がでている。

製造業設備投資動向調査結果(日本政策金融公庫)

業界として良い悪いの傾向が表れるのではなく、良い会社もあれば悪い会社もあるというまだら模様の様相がより明確になってきているようだ。

(研究調査部 花房 賢)