2024-2025年は経営的に苦戦を強いられた。コロナ回復需要は2024年までに消化し尽くし、物価高騰が続く。反面、価格転嫁はどうしても遅れがちだが、史上初の印刷価格上昇が続くなどの好材料も。40人超の印刷経営者の声など、年末時点で見えている材料をもとに2025年を振り返ってpage2026につなげる。
■2025年:売上高:万博効果はあったがトランプ関税が重し
25年の売上高は,24年末の流れを受け継ぎ3ヵ月連続マイナスの低調なスタート。万博の開幕以降は7月にかけて4ヵ月連続プラスと状況は好転。しかし閉幕を控えた8月からは再び3ヵ月連続のマイナスに陥るなど好不調がはっきりした。株価が初の5万円台に達するなど好材料もあったが,トランプ関税や衆院選の与党過半数割れなど政治経済における不透明感が晴れなかった。地域別には,大阪圏が7月まで最も万博効果を享受して周辺地域にも良い波及があった。輸出産業の多い名古屋圏は6月以降の落ち込み幅が全国で最も大きく関税の影響が懸念される。
■2025年:製品別:商業・事務・包装は調整、総合は変調、出版は回復
全国的な取り扱いのある商業印刷は年前半は堅調だったが,年後半に入って目に見えて勢いを失っていった。オフセット・デジタルの両方式においてともに需要が伸び悩むも,年末には下げ止まりの兆しがうかがえた。都市部に多い出版印刷は数年ぶりに底打ちの気配で持ち直した。地方都市に多い総合印刷は年間を通して変調に終始した。事務用印刷はやや低調。この数年,印刷市場の成長をリードした包装印刷は万博終了とともに失速。政治問題による訪日中国人観光客激減の影響も小さくないと思われる。
■2025年:景況感:春を底に持ち直し、資材料価格は落ち着き、投資は様子見
印刷経営者による四半期景況DIを見ると(JAGAT調べ),景況感は25年春を底として年末にかけて改善する24年と同様の足取り。個別には,資材料単価は7-9月期まで近年には珍しく4四半期連続の上昇幅縮小で落ち着きつつあったが,年末にかけて再上昇。印刷単価は資材料単価に常にやや遅れながら追随する形で史上最長の値上がりを記録しているが,この3四半期はペースダウン。設備投資は21年以降,ごく小幅なプラス圏でほとんど変化なく様子見姿勢が続く。業界景況は売上高の低迷と裏腹に回復傾向。資材料価格の落ち着き,25年が芳しくなかった反動と株高の高揚感などが支えで2026年へは先高観があって心理的には意外に悪くない。

「JAGAT 2025年評価と2026年展望アンケート」調査協力数十社による自由記述のAIワードクラウド分析,藤井建人作成,ユーザーローカルテキストマイニング
■2026年:印刷経営の見通しは利益改善
JAGAT会員社の26年見通しのコンセンサスは,売上高の伸び率は25年よりやや鈍化。見通しの分布は,上位予測は昨年より低く,下位予測も昨年より低く、各社の予想の幅は下方に狭まった保守的なもの。一方,営業利益は昨年よりやや高めで「増益」が大幅に増加,対照的に「大幅減益」も若干増え,業績回復の時間差が広がった。25年の振り返りに関する自由記述をAIテキストマイニングすると上図のとおり。「顧客」を中心に価格転嫁が進み,政治・経済・社会、生成AIに代表される技術の急激な変容を「感じる」指摘も多い。「売り上げ」は喪失だけでなく獲得の面からも多く触れられた(調査協力社には12/26に詳細レポート10枚を送付)。
■2026年:印刷経営のスタンスは人材重視
26年は万博のような国民的イベントがあまりないが景気下押し材料もそれほどなく,経済は安定的との見方が多い。「人材」は確保・採用・育成の意味で1/3弱の企業が挙げ,主要施策と言える存在感。既存事業である印刷については「強化」を考えると同時に「生産性向上」と「印刷以外」にも取り組む。昨年は多かった「自動化」「無人化」「DX」が減り,「AI」「M&A」「BPO」が増えた。26年は自力で真のニューノーマルの時代の扉を自力で開けていけるかが問われる年になりそう。さらに定性・定量の両面から分析を進め,2/5開幕のpage2026カンファレンスで具体的な印刷ビジネスの展望を明らかにする。
(JAGAT藤井建人)
<関連セミナー・展示会>
2026年2月5日(金) page2026オンラインカンファレンス
印刷ビジネスの最新動向2026 ~産業・市場・経営・メディア視点で見る展望
2026年2月5日(木)~13日(金) page2026オンラインセッション(計24本)
カンファレンス+セミナー
2026年2月18日(水)~20日(金) 3日間のリアル展示会
page2026展示会
<関連書籍・レポート>
JAGATinfo 2026年1月号
印刷白書2025
印刷マネジメントブック2025


