印刷物の生産にどれだけのモノ、サービスが投入されているか。印刷物はどの産業にどのくらい購入されているか。「延長産業連関表」で2020年と2021年の変化を見てみよう。(数字で読み解く印刷産業2026その1)
5年に1回公表の「産業連関表」と毎年公表の「延長産業連関表」
「産業連関表」は国内で1年間に行われたすべての産業の取引を一つの表にまとめたもので、各産業間のモノやサービスの取引状況を金額で把握できます。総務省をはじめとする10府省庁の共同事業により5年ごとに作成される加工統計で、精度に優れ各種資料のベンチマークとなっています。ただし、公表時期は対象年次から4年後となり、「2020年産業連関表(基本表)」(2024年6月公表)が最新のものです。
経済産業省は、この政府全体で作成する基本表の作成にも携わっていますが、それとは別に5年間隔の中間年を補間するために、毎年この基本表から各年の産業連関表を延長推計しています。
JAGAT『印刷白書2025』では、「2021年延長産業連関表」の公表が例年より遅れたことから、「2020年産業連関表(基本表)」と「平成23-27-令和2年接続産業連関表」を使って、印刷産業とその取引先産業やクライアント産業の動きを見ています。
例えば、「印刷・製版・製本」を列方向(タテ)に見ると、印刷産業がどの産業から1年間にどれだけの金額の生産物やサービスを購入しているか、行方向(ヨコ)に見ると、印刷産業の商品・サービスの販売先がわかります。
延長産業連関表で2020年から2021年の変化を見る
『印刷白書2025』の第2章関連資料「印刷産業(8)調達先と販売先」では、産業連関表の統合中分類「印刷・製版・製本」の行列を金額の大きい順に並び替えて、取引額の上位10産業を掲載しています。
「平成23-27-令和2年接続産業連関表」により、2011年から2020年にかけての変化を比較していますが、最新の「2021年延長産業連関表(2020年基準)」が2025年12月19日に公表されたので、以下では2020年と2021年の変化を見てみましょう。
「原材料等の調達先上位10産業」を実質値で見ると、材料費、商業(卸売マージン額など)、同業者間取引が上位を占めています。取引額は7産業で増加し、化学最終製品(印刷インキなど)は減少が大きいが、全産業では3.3%増となりました。

「販売先上位10産業」から印刷産業の得意先を見ると、映像・音声・文字情報制作(出版、新聞など)、金融・保険、研究、商業の4産業の構成比は10%を超えています。取引額は広告以外の9産業で増加し、全産業では5.9%増となりました。

『印刷白書』では、産業連関表を使って、印刷産業の取引の流れを細かく見ています。限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。
(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)


