出版・広告・小売業界と印刷産業~2025年

掲載日:2026年4月9日

紙の出版物と印刷メディア広告はマイナスが続くが、通販市場は26年連続増で、コンビニは過去最高を更新、スーパー・百貨店は横ばいとなった。(数字で読み解く印刷産業2026その3)

紙の出版市場は1兆円割れ、印刷メディア広告費は4年連続マイナス

印刷産業の得意先産業の市場動向を見てみると、2025年の紙の出版物(書籍・雑誌)は9647億円(前年比4.1%減)となり、1975年以来50年ぶりに1兆円を割り込みました。電子出版は伸び率は鈍化したものの5815億円(同2.7%増)で、紙と電子を合わせた出版市場規模は1兆5462億円(同1.6%減)となりました(全国出版協会・出版科学研究所推定)。

2025年の印刷メディア広告費は1兆1929億円(前年比6.0%減)で4年連続のマイナスとなりました(電通「2025年日本の広告費」)。内訳は、フリーペーパー1056億円(同19.1%減)が6年連続のマイナス、新聞3136億円(同8.2%減)とDM(ダイレクト・メール)2708億円(同5.4%減)が4年連続のマイナス、折込2354億円(同3.6%減)が3年連続のマイナスとなり、雑誌1135億円(同3.7%減)は2年連続の増加からマイナスに転じ、POPだけが1540億円(同3.8%増)で2年連続の増加となりました。

26年連続増の通販、横ばいのスーパー、コンビニは過去最高を更新

印刷産業全体の市場規模を見るには、「経済構造実態調査 製造業事業所調査」が利用されていて、2024年調査(2023年実績)が最新データです。2024年実績は2026年7月29日に公表予定です。

2023年の印刷産業出荷額は5兆934億円、コロナ禍を脱して3年連続の増加で、2年連続の5兆円台となりました。

2025年の小売業界については、大手小売業の販売概況を見てみましょう。

最も売上規模の大きいスーパーの全店売上高は12兆8675億円(前年比1.3%減)、2年連続で前年を下回りました(日本チェーンストア協会)。全体の7割を占める食料品は、節約志向による購買点数の減少を店頭価格の上昇が補いました。

コンビニの全店売上高は12兆583億円(前年比2.2%増)で、5年連続で前年を上回り、過去最高を更新しました(日本フランチャイズチェーン協会)。高付加価値商品や販促施策により平均客単価が伸び、過去最多の訪日外国人や大阪・関西万博の開催も寄与したと考えられます。

全国百貨店売上高は5兆6755億円(前年比1.7%減)で5年ぶりに減少しました(日本百貨店協会)。免税売上高が12.7%減の5667億円と大きく落ち込んだことによるものです。インバウンド(訪日購買客数)は621万人超で過去最高を更新したものの、高額消費の一巡で客単価が伸び悩んだからです。

印刷産業出荷額と百貨店売上高は規模が近く、印刷産業が2011年に6兆円を割り込んだのに対して、百貨店はインバウンド需要の拡大もあって2019年まで堅調でした。しかし、百貨店業界はコロナ禍の影響を強く受けた業界の一つで、2020年には前年比26.7%の大幅減で5兆円割れとなり、印刷産業出荷額を初めて下回りました。

また、2024年度(2024年4月~2025年3月)の通信販売(EC含む)市場の売上高は、前年度比7.3%増の14兆5500億円となり、金額ベースでは9900億円の増加となりました(日本通信販売協会)。伸び率は前年度を0.6ポイント上回り、直近10年の平均成長率は9.1%で、26年連続のプラスを達成しています。業界全体の動向としては、AI活用による業務効率化や、M&Aを通じた事業多角化の動きが目立っています。

JAGAT刊『印刷白書』では、印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT研究・教育部 吉村マチ子)

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