印刷業定点調査 各地の声(2018年12月度)

掲載日:2019年4月22日

12月の売上高は△2.8%。9月以来4カ月連続のマイナス。西日本を中心とした豪雨・台風被害、北海道地震など天災が相次いで以降は持ち直すことができずにいる。株価も18年10月に27年ぶりの高値を記録したかと思えば、年末にかけて最大20%超も下落するなど、世界経済の不安定化も追い討ちをかけた。

地域別では、首都圏(+2.7%)と4カ月ぶりのプラス。名古屋圏(△14.7%)はこの10年で最大級の落ち込み。米中貿易摩擦が当地の自動車関連など輸出産業に影響、いよいよ影響が印刷業にも波及し始めたのかもしれない。大阪圏(△8.8%)の4カ月連続マイナスはインバウンド需要で盛り上る直前の16年12月~17年3月以来。好調な西日本、低調な東日本という最近の図式が逆になりつつあるが、一過性か継続的かは今後の動向を見て判断していく必要がある。

業種・業態別では、商業印刷(△1.5%)が2カ月ぶりのマイナス。東京に多い出版印刷(△8.3%)は2カ月連続マイナス。地方に多い総合印刷(△6.3%)は18年9月以降、5%近くの大きな落ち込みで状況が心配される。紙器・事務・その他(△3.7%)は3カ月ぶりのマイナス。

規模別では、300人以上(△10.2%)が10%を上回る落ち込みとなったのは、リーマン・ショックの余波が残る09年5月以来。大手顧客を持つ中堅大手の落ち込みも、米中貿易摩擦が印刷業にも波及しているのではとの見方を支持する。30人未満も苦戦は続くが、30~299人規模に関しては特段の大きな落ち込みではない。

【印刷会社経営者の声】

茨城:商業

年度末に向けて仕事が増えています。用紙代が上がっているのに昨年より入札価格を下げている会社があることに驚きます。

群馬:総合

景況感は改善しつつあると感じ得ない状況が続いている。北関東という地域性もあってか、若手人材の就労安定化や、定着化にも課題が多い。お客様のお役に立てる製品づくりと魅力ある会社の両輪経営を強く進めたい。

神奈川:商業

5回目となるオープンハウスを実施しました。お客様に徐々に認知されつつあり、期待が高まります。

兵庫:商業

2018年は、外注していた仕事を内製化することができ(前年同月比の比較はバランスが悪いが)、利益率の向上に貢献した。やっぱり現場は回ってナンボです。

兵庫:商業

わが町には有名な温泉地があり、カニシーズンの日曜日は宿泊客でごった返します。2019年はもっと観光客が増え、景気良くなってくれることを切に願います。

(『JAGAT info』 2019年2月号,印刷経営ウォッチング,p56-57より抜粋して要約)