2021年の印刷業の生産金額は3500億円、前年比1.0%増

掲載日:2022年7月15日

「経済産業省生産動態統計」によると、2021年の印刷業の生産金額は3500億円(前年比1.0%増)と、2015年以来のプラスとなった。(数字で読み解く印刷産業2022その4)

経済産業省生産動態統計の「印刷月報」では、従事者100人以上の事業所を対象に、印刷業の「生産金額」を毎月調査し、製品別・印刷方式別に集計しています。「生産金額」とは契約価格または生産者販売価格(消費税を含む)により評価した金額です。ただし、印刷前工程(企画・編集・製版など)と印刷後工程(製本・加工など)、用紙代などを除いた、印刷工程の生産金額に限定されます。

6月24日公表の2021年年報では、印刷業の生産金額は3500億27百万円(前年比1.0%増)で、2015年以来のプラスとなりました。

印刷製品別に見ると、包装印刷、商業印刷、建装材印刷などがプラスに寄与しました。

生産動態統計の「紙月報」によると、2021年の印刷・情報用紙の販売数量は前年比4.1%増で2013年以来のプラス、「塗料及び印刷インキ月報」によると印刷インキの販売数量は同1.3%増で2016年以来のプラスです。印刷業の生産金額だけでなく、生産量も増加したことが見て取れます。

印刷製品別の構成比を見ると、商業印刷と出版印刷で5割以上を占めています。印刷方式別では平版印刷(オフセット印刷)が圧倒的ですが、凹版印刷(グラビア印刷)、凸版印刷(活版印刷)などの拡大で2012年に7割を切り、2021年は62.7%まで縮小しています。

「印刷統計」の2004年調査開始以来の製品別シェアを見ると、この17年間で大きく減少したのは出版印刷(30.0%→15.6%)で、包装印刷は逆に13.0%→24.2%と大きくシェアを伸ばし、建装材印刷は3.2%からこの9年間は4%台で推移しています。出版不況の長期化、包装材や建装材の多様化などを反映した数字となっています。

『印刷白書2021』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)