Web to printの可能性を見直す

掲載日:2015年6月15日

インターネットが広く普及し、ビジネスに欠かせないインフラ化することになって、印刷業のあり方を大きく変えた。Webの登場は印刷物市場には競合メディアとして脅威となっている一方で、新たなビジネスの可能性も生み出している。
今ではWebを活用した印刷受発注やワークフローの効率化は印刷業にとっては不可欠なものになってきた。その一つにWeb to printがある。

Web to printといっても、公式な定義があるわけではないため、人によって違う捉え方がある。一般には、Web上で印刷データを入稿して、印刷を発注することを指している。つまり、「Webブラウザー上でデータ入稿や印刷発注を行い、印刷物を製作し納入する仕組みやビジネスモデルの総称である。典型的なビジネスでいうと印刷通販のビジネスモデルを指す。

しかし、従来の営業担当者が動き、対面型営業を行ってきた印刷会社にとっては、Web to printの活用は差し迫った課題とは捉えていないかもしれない。とはいえ、そのような印刷会社の中にも、名刺ではWeb上で自動組版を行い、印刷受発注する方式のB to BのサービスとしてWeb to printを活用しているところもあるかもしれない。従来、一般のオフセット印刷会社にとっては、手間が掛かって商売にならないタイプの商品といえた名刺でも、顧客にWebブラウザーからデータを入力してもらい、定型フォーマットでレイアウトし、Web校正で内容を確認して、印刷して、納品することで十分に利益の確保できる商品になっている。

このようなWeb上の自動組版では、テンプレートを共有することでデザインを統一することや、専門のオペレーターでなく一般社員が作業することも可能になる。さらに、最新のWeb to printサービスでは複雑な組版ルールに対応しているものもあり、ある意味でDTPの機能を置き換えているともいえる。このようなサービスでは、コンテンツを一元化し、印刷物だけでなくWebなどの電子配信にも応用することができる。

Web to print は営業レスを進めるものと捉える向きもあるが、Web to printは従来の対面型営業を否定するものではなく、対面営業によって受注したもので、リピート性の高いものや営業が何度も動く必要ないものに活用していく。これによって、営業担当者は、より本質的な受注活動に振り向ける時間を増やせるわけである。また、顧客専用の受発注のためのWebサイトを用意して、その利便性を顧客が認識すれば、おそらく他社には発注しにくくなるはずで、はからずも顧客の囲い込みにつながる可能性も高くなる。

『JAGAT info』6月号では、「Web to printの新展開」ということで、これからの印刷ビジネスでは重要なポジションを占めることになるWeb to printの可能性を紹介する。
このほか、経営者インタビューでは「ソーシャルプリンティングカンパニー」を標榜し、CSRに力を入れる大川印刷代表取締役社長の大川哲郎氏に経営の原動力の一つに位置付けるCSR経営の在り方と取り組みを語っていただいた。
また、JAGAT印刷総合研究会の情報を中心にお届けする技術トレンドは、これまでの1ページから2ページに増やし、より詳しく情報を提供する。

(JAGAT info編集担当 小野寺仁志)
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