冬場はどうしても印刷機の生産性が落ちますが何か対策はありますか。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:冬場はどうしても印刷機の生産性が落ちますが何か対策はありますか。

A:印刷品質をレベルを一定にし生産性を保つためには工場の環境整備が最低条件です。印刷工場の温度は23~25、湿度60%±5%、色温度5000度K、騒音60デシベル以下、という環境にしておくことです。
 この中でも特に重要なのは温度湿度の管理です。この管理が不十分だと機械のトラブルが発生しやすくなります。よくトラブルが発生しやすい乾燥して寒い冬場は、機械のローラやインキツボのインキが冷えて硬くなり、着けローラまでインキが降りてきません。すなわち印刷が不可能となります。
 機械が止まると当然稼働率が下がるためお金に換算するとかなりな金額にもなります。ここでは特に冬は収益があがりにくいある会社を例に工場の生産効率を上げるためのひとつの考え方を取り上げます。

 この会社の始業は8時半からですが、冬場の朝は工場内に置いてあるバケツに薄氷がはっているような状態でした。こういう状態で暖房を入れても、機械のローラーが冷え切っているためインキが硬くて下におりず8時半から作業に入れません。ようやく機械が暖まって見当をみれるのが10時半くらいで約2時間ロスしています。そのためこの2時間分は残業になるため残業代は夏場に比べ約25%アップになります。
 この会社は菊全の4色が2台、菊半の4色が2台入っています。時間とコストの関係で単純な売り上げ計算をすると、例えば菊全が1時間につき平均してと25、000円の売り上げがあるとします。そうすると25、000円/台×2台×2時間で100、000円の売り上げがロスされることになります。
 菊半の機械も1時間につき平均20、000円の売り上げで計算すると20、000円/台×2台×2時間で80,000円ロスすることになり、合計すると本来ならば180、000円売り上げるところ180、000円のマイナスになってしまいます。
 冷え切っている機械を暖めるために2時間かかるわけですが、この時間をとらないために工場の空調を一晩中つけて機械を暖めておくとよいでしょう。しかしこの場合も一晩で約3、000円の電気代がかかります。これも無駄なように見えますが、一晩の約3、000円の電気代と1日180,000円の損失を比べたらどっちがマイナスがということです。
 ですから空調関係は1年を通じてその季節の温湿度に対応させて24時間つけっぱなしのほうがトータルでみるとマイナスは少なくて済むという考え方です。

 

(2006年6月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)