著作物利用して印刷物の企画提案をする場合、法律上の何を確認すべきか?

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:著作物利用して印刷物の企画提案をする場合、法律上の何を確認すべきか?

A:他人の著作物を利用して、企画提案や商品企画を行う場合には、その著作物についての著作権チェックと必要な著作権処理を事前におこなわなければなりません。
 著作権処理には、著作権者からの著作権の譲り受け、著作権者からの著作権利用許諾、著作権者不明等の場合の文化庁長官の裁定による利用があります。

1. 著作権者からの著作権の譲り受けの場合
 著作権は、その全部または一部を譲渡することができます(61条1項)。したがって、利用しようと思っている著作物の著作権を、著作権者から譲り受けることによって著作権処理をすることができます。
もっとも、著作権者が著作権を譲渡するか否かは条件次第です。当事者の話し合いで決めるべきでしょう。

2. 著作権者からの著作権利用許諾の場合
 著作権者は他人に対し、その著作物の利用を許諾することができ(63条1項)、利用方法条件等について、その許諾に関わる利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる(63条2項)としています。
ここで最低限確認しておくべきことは、契約上の責任を法的に負える者を契約当事者と定めること、契約上の権利義務関係を明確にしておく必要があること。著作物の一部分が利用許可の対象である場合には、どの部分であるか明確に特定すべきであること、使用媒体・使用期間を明確にしておくこと等です。

3. 著作権者不明等の場合の文化庁長官の裁定による利用の場合
 著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定にかかる利用方法により利用することができる(67条1項)としています。

 著作権処理のためには著作物の種類・保護期間を確認して、著作権・著作者人格権・著作隣接権の関係を把握し、事前に対処することが必要です。

 

(2001年11月19日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)