スクリーン印刷機でも拡大

掲載日:2014年8月25日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:スクリーン印刷機でも拡大

 

 印刷業界は価格競争が厳しく、特殊印刷や特殊加工を施すことで、印刷物の付加価値を高め他社との差別化を図るために、スクリーン印刷技術を利用することで、インパクトの強い提案が可能になる。 スクリーン印刷機、オフセット印刷機を扱うメーカー販社で、特にスクリーン印刷については業界トップメーカーとして知られる桜井グラフィックシステムズのショールームで、実際の印刷サンプルを参照しながらスクリーン印刷の技術とその可能性についてお話を伺った。

会社の沿革と主力製品について

1928年東京日本橋において紙商として創業。1946年(株)桜井製作所を設立し、1961年には営業部門である桜井機械販売(株)を設立。1992年に両社を合併し、現在の(株)桜井グラフィックシステムズになった。1964年よりスクリーン印刷機の開発に着手し、現在の主力製品は中型多色オフセット印刷機と自動スクリーン印刷機である。同社のスクリーン印刷機は、工業用途のみならず商業印刷分野でも広く利用されているバキュームシリンダー方式の自動枚葉機である。以前は欧米も含め、多くのメーカーが競合していたが、最近では世界市場で見てもほとんど独占的に製造販売している。主力のマエストロシリーズの原理は、活版印刷機に使われていた一回転ごとに停止して用紙を印刷胴へ咥え込むストップシリンダー方式である。もう一つの方式は、1964年の製造開始以来創り続けている印刷吸着胴が往復運動を繰り返す方式の「SC-AⅡシリーズ」である。

 

スクリーン印刷技術の多様性

スクリーン印刷機は、かつて陶磁器の転写紙製造に大きな役割を果たした。現在でも陶磁器の絵付けのための転写紙は、サクライ製のようなシリンダー式スクリーン印刷機での印刷によっている。しかし現在は、より広範囲の仕事に利用され、シートものなら何でも印刷が可能であるという利点が生かされ、シリンダー式スクリーン印刷機はさまざまな工業分野で利用されている。 また、シルク(スクリーン)印刷という呼び方も、印刷の版になる紗(スクリーン)に、今ではシルク(絹)は使っていないので次第にスクリーン印刷に統一されている。原理的に布を通してインキを出すため、物理的にスピードや機械形状などに大きな変化をとりにくい分野でもあるが、インキの消費量が多く、印刷皮膜が厚いことに特徴がある。そのことで、厚みが必要なものへの印刷を可能にし、オフセットの後工程で装飾を施したり、工業部品などにも採用されたりする理由でもある。特に電機業界で、非常に多く利用されており、圧膜ICのような微小なものから60インチから100インチ近くのプラズマディスプレイパネルのような大きなものを印刷するスクリーン印刷機械を使用しているメーカーもある。

 

最近の傾向として、ブックカバーへの利用や電車の中刷り広告などの利用も増加している。オフセットだけでなく、部分的にスクリーン印刷の併用で蛍光色を施すなどの工夫を加えることで、店頭に並ぶ書籍や電車など公共の場で目立たせることができる。ポスターなどでは、UVクリアーインキなどで印刷物の一部を盛り上げたりという装飾を施すケースもある。また、同じ原理で証券類、紙幣など偽造防止用にスクリーン印刷を利用するということも広く知られている。

 

最近、利用が多いのは遊戯機械関係(ゲーム機)の仕事である。この分野の製品はプラスチックフィルムにインキ皮膜を比較的厚く印刷するため、スクリーン印刷である必要が多分にある。オフセット印刷だと被膜が薄いため透き通ってしまうが、スクリーン印刷だと厚みが出てプラスチックフィルムの透過を防げるので、より人の視覚に訴えることができる。スクリーン印刷では、幾重にも重ねて印刷できるので、重ねる回数が多いほどビジュアル効果が出てくる。オフセット印刷ではこうしたことができないため、ゲーム関係の印刷のほとんどがスクリーン印刷である。また、絵画の複製の作成でも多回数のスクリーン印刷の刷り重ねでより忠実に再現することができる。

 

サクライ全自動シリンダースクリーン機はこのほか、ビデオ、DVDのケースに使われるポリカードネートやポリプロピレンなどの硬い素材にも使われる。サクライシリンダー印刷機は、素材の厚みにおいてもコンマ0.05mmぐらいから1ミリぐらいまで対応できるので幅広い分野での利用が可能な所以である。

●記事に関する問い合わせ先
 桜井グラフィックシステムズ(株)
 東京営業部 澤田・郷原
 〒135-0032 東京都江東区福住2-2-9
 TEL 03-3643-1131 / FAX 03-3643-1138
 E-mail information@sakurai-gs.co.jp
 URL http://www.sakurai-gs.co.jp/

『プリンターズサークル』2006年7月号より

 

(2006年8月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)