産業連関表から読み解く印刷産業

掲載日:2015年12月25日

100億円の印刷需要が発生した場合、印刷市場に107億円の印刷需要を誘発し、国内経済に193億円の経済波及効果をもたらす。『印刷白書2015』では産業連関表によって印刷需要や様々な産業との関係を見ている。

産業連関表で何が見えるか

印刷産業を取り巻く経営環境は厳しいものが続いているが、印刷産業の生産活動や構造はどうなっているのか。印刷産業の生産にどれだけのモノ、サービス、ヒトが投入されているか。また印刷産業の生産が国内の他産業へ及ぼす影響はどうだろうか。
そのような疑問を解消するカギが「産業連関表」にある。
JAGAT刊「印刷白書」では2010年版より、産業連関表を取り上げている。印刷産業と他の産業の取引や、印刷物・サービスの流れを読み取ることで、日本国内の印刷需要や、その波及効果などを見てみたいからである。

「購入→生産→販売」の連鎖から生み出される価値

産業連関表は、縦に見ると商品の費用構成が、横に見ると商品の販売先がわかる。印刷産業の生産額5.11兆円は、財1.56兆円とサービス1.08兆円に付加価値2.48兆円が加わったもので、製造業に1.07兆円、サービス産業に3.97兆円販売されていることがわかる。

ひな形

これをさらに詳しく見るために、経済産業省の延長表54部門と98部門を組み替えて、印刷産業の数字がわかる55部門表を作成し、印刷物作成の費用に着目してまとめたのが下図である。
中間投入率と粗付加価値率は足すと100%になる。中間投入率は製造業では高く、サービス業では低い。2000年、2005年、2011年と比較すると増加傾向にある。

費用

生産活動の連鎖によって、様々な産業の生産が誘発され、波紋のように広がっていくことを「経済波及効果」という。印刷産業の生産波及は下図のようになる。

経済波及

波及効果は、逆行列係数×新規需要額で算出されるもので、仮に印刷産業に100億円の新規需要があった場合、印刷市場に107億円、国内経済に193億円の経済波及効果をもたらす。

 経済波及2

産業連関表は産業構造をはじめ生産波及など、産業に関する情報の宝庫である。印刷白書では、産業連関表を少しでも身近に感じていただくために、図表を中心にまとめている。特に『印刷白書2015』では産業連関表2011年表の公表に合わせて、新たな図表を作成した。印刷産業の数字がわかる55部門表はJAGATが独自に作成したものである。詳細は『印刷白書2015』の産業連関表「すべての産業に必要とされる印刷産業」を参照いただきたい。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)