去る10月8日、株式会社読売新聞東京本社・日本製紙株式会社・日本貨物鉄道株式会社の3社連名で「読売新聞川越工場への新聞巻取紙モーダルシフトによる直納運用を開始」というニュースリリースが発表された(リンクはこちら)。これは、宮城県岩沼市にある日本製紙岩沼工場から埼玉県川越市に位置する読売新聞川越工場までの新聞巻取紙輸送において、全行程でトラックを使用していた従来の輸送形態から、東北本線岩沼駅から武蔵野線新座貨物ターミナル駅までを鉄道によるコンテナ輸送に切り替えるという内容である(なお、岩沼工場から岩沼駅までは専用線を経由する)。
いわゆる鉄道を用いたモーダルシフトであるが、今回の輸送形態変更におけるポイントの一つは「倉庫でコンテナからトラックに積み替えることなく、コンテナのまま工場に直接届ける」ことであろう。すなわち新座貨物ターミナル駅から川越工場までは、運ばれてきたコンテナをそのまま積載したトラックによる輸送となる。視点を変えると、これまでのように消費地の倉庫を経由しなくなり、それに伴って積み替えの工程も省略されることとなる。
リリースによれば、年間約8750トンの新聞巻取紙を距離にして約360km、12トントラック換算で約730台を使用して輸送していたところ、この切り替えによって二酸化炭素の排出量を年間594トン(約87%)削減できるとしている。また、新聞巻取紙の物流において懸念されるトラックの輸送力不足(ドライバー不足など)への対処の一環という意味合いもある。
近年、事業などを評価する際にサプライチェーン全体で物事を見ていく方向に社会が動いていることは、ご承知のとおりだ。とりわけ二酸化炭素排出量の削減施策は急務である。また、輸送効率を向上させていくにはAIの力を借りる場面も出てくるであろう。これらの潮流は、印刷産業においても無関係というわけにはいかない。他の産業の動向はもちろん、他国の動向についても、さまざまな情報に日頃から触れておきたい。
さて、JAGAT大会2025リアル&オンラインの開催がいよいよ来週火曜日に迫った。今回は生成AIをテーマに、印刷ビジネスとの関連について掘り下げていく内容である。お申し込みがまだの方は、下記よりお進みいただきたい。皆様からのご参加をお待ちしています。
【10/21開催】JAGAT大会2025リアル&オンライン
『JAGAT info』2025年10月号のご案内
◯特集
Labelexpo Europe 2025 視察報告
ラベル・パッケージ印刷業界は新たなステージへ
星名勧(JAGATテクノトレンド懇談会委員)
2025年9月16日から19日にかけて、Labelexpo Europe 2025がスペイン・バルセロナで開催された。さまざまな社会課題やビジネス環境の変化に直面するヨーロッパにおいて、ラベル・パッケージ印刷業界はどのような未来を描いているのであろうか。
特集では、その視察内容をレポートする。開催テーマに“Festival of Innovation(イノベーションの祭典)”を掲げ、持続可能性(サステナビリティ)・自動化・デジタル化をキーワードにした今回のイベント。本稿を通じて海外の最新事情を把握し、併せて自社の印刷ビジネスの今後を探るヒントにしていただけたらと思う。
◯特別企画
page2026開催予告
複数の新企画ゾーンを設置して、「印刷のチカラ」を体現!
堀雄亮(JAGAT研究・教育部)
今回で通算39回目を迎えるpage2026のテーマは「Re:Connect ~再びつなぐ、印刷のチカラ。」である。変化と分断の時代になり、改めて“つながり”の価値を問い直す必要性に迫られるなか、印刷物が持つ「情報を伝えるだけでなく、手触り、温度、感性といった、人と人をつなぐメディア」としての価値を強調し、アナログとデジタル、企業と顧客、そして地域と世界を印刷が「再びつなぐ」可能性について、あらゆる形で提示したいという思いを込めた。
特別企画では、その趣旨に沿ったさまざまな企画ゾーンを紹介していく。どうぞご期待いただきたい。
・page2026
日程:2026年2月18日(水)から20日(金)の3日間
東京・池袋のサンシャインシティで展示会を開催
テーマは「Re:Connect ~再びつなぐ、印刷のチカラ。」
■『JAGAT info』最新号の目次はこちらから
(『JAGAT info』編集部)