印刷業を取り巻く関連ビジネスの中でも保守本流といえるものがマーケティングサービスで、商業印刷の場合は印刷会社が広告代理店まがいの役割を果たすことが多くなっている。これこそ新時代の商業印刷ビジネスなのだが、印刷会社がマーケティングのお助け業というヘルプビジネスを始めると、似たり寄ったりで過当競争に陥ってしまう。
今回は久々にマーケティング用語を取り上げる。JAGATでは、近未来の印刷ビジネスの形態が「単なる印刷物の受注生産から、『印刷物を取り巻く環境でビジネス化できるものは何でもやる』という方向性に変わってきている」と認めている。従って、印刷業界は多方面に気を配っているのだ。印刷業に特に関係してくる業種は、倉庫業や流通業である。この場合には逆の可能性も大きく、倉庫業者や流通業者が印刷サービスを始めるというケースも多い。
印刷業を取り巻く関連ビジネスの中でも保守本流といえるものがマーケティングサービスで、商業印刷の場合は印刷会社が広告代理店まがいの役割を果たすことが多くなっている。これこそ新時代の商業印刷ビジネスなのだが、印刷会社がマーケティングのお助け業というヘルプビジネスを始めると、似たり寄ったりで過当競争に陥ってしまう。そこで、特徴を持った方向性を各社で模索しているのだ。その中にはメタバースやVRもあるが、ビジネス的には「?」という反省もある。その系列に入るかもしれないが、今回は「ライブコマース」を取り上げてみたい。
実は昔から存在する販売手法
「ライブコマース」という言葉は、格好は良いが、古くは「フーテンの寅さんがやっているバナナのたたき売り」という商習慣だ。ジャパネットたかたの高田社長も好例である。現在はインターネット配信(YouTubeなど)で行われていることがライブコマースとして認識されており、テレビや街頭で行われる販売は含まれておらず、日本はライブコマース後進国とされている。しかし、日本では包丁販売(やガマの油売り)をはじめ江戸時代から続く街頭販売の古き良き伝統芸があるので、ネット配信にさえ慣れてくれば、世界のトップレベルに返り咲く可能性は高い。
そして、販売効果も意外に大きい。私はオモチャなどをねだる子どもではなかったのだが、電化製品を街頭販売していると「無性に引かれてしまう」ことが多かった。一例だが、手回しジューサーの街頭販売を見て、心にぐっときてしまったことがあった。「なぜか?」欲しくて、強くねだったのを今でもハッキリと覚えている。なお、いざ買ってしまうと、面倒くさがりのわが家では掃除が大変ということで、ほとんど使われなかった。
注目される理由とその特徴
現在のライブコマースは、ライブ配信とEC(オンラインショッピング)を組み合わせた販売方法である。ライブ配信で商品を紹介し、視聴者が質問および購入できる。従来のECサイトで問題だった「実物を見られない」問題を解消し、購買意欲をより高める。
主な特徴を整理してみよう。
●リアルタイムのコミュニケーション:視聴者はネットを通じて商品の使い方や色、サイズなど質問でき、その場で回答を得られる。
●商品の実演:動画がメインなので、配信者の実演によって商品の魅力や使用感をじかに伝えられる。
●エンターテインメント性:個性的なインフルエンサーや魅力的な店員(高田社長がこの典型)が説明することで、ライブコマース動画をエンターテインメントとして楽しむ視聴者層も現れているようだ。通常の店舗とは別次元での接客体験ができるわけである。大手の家電量販店からは各社のエース的な販売員が登場するし、大手家電メーカーも各ショールームの個性的なスタッフが担当している(私の偏見だが、関西系のショールーム担当者が多く登場している?)。
●購入へのスムーズな誘導:配信画面に商品情報や購入ボタンを直接表示したり、概要欄にECサイトへのリンクを貼ったりすることで、視聴者が興味を持った商品をすぐに購入できる導線を作れる。
以上から、ライブコマースが注目される理由を再整理してみたい。
①実物が見られないECの弱点を補い、購入の不安を払拭できる。
②新しい販路を開拓したい企業やブランドへ、新たな販売方法として関心を集められる。
③配信者と視聴者との直接的なやり取りを通じて顧客との距離を縮め、信頼関係を築ける。
印刷会社もチャレンジを
YouTubeなどには動画配信による「ライブコマースの教育的解説」もあるが、むしろライブコマースの配信プラットフォームとしての役割の方が大きい。JAGATでも印刷業界に適した講師でのライブコマースセミナーを企画しているので、乞うご期待である。
最後に、YouTubeにアップされているライブコマースの講師を紹介しておこう。
このような内容の動画なら印刷会社にも企画・制作・運用が可能だと思うのだが、いかがだろうか?
(専務理事 郡司 秀明)


