インフォグラフィックスをビジネスに活かす

掲載日:2019年2月22日

インフォグラフィックスとは、情報、データ、知識を視覚的にわかりやすく表現することである。ビジネスに活かすには、顧客視点で情報を洗い出す「捨てる技術」も重要になる。

インフォグラフィックスとは何か

インフォグラフィックス(infographics)は、information(情報)+graphics(グラフィック)を掛け合わせた造語で、「情報のデザイン化」を意味する。最大の特徴は、言葉だけでは伝えることが難しいものを図にしてわかりやすく伝えることである。例えば、データや数値などの情報は、単に数字の羅列では理解するのに時間がかかる。それを一目で理解できるようにする。

もともとインフォグラフィックスは、新聞や雑誌などのニュースメディアが、それぞれの媒体に掲載するために作るダイアグラムのことだった。ダイアグラムの解釈は諸説あるが、ここでは「わかりやすさ」を追求するための視覚情報の表現手段として考えたい。

身の回りにもインフォグラフィックスの実例はたくさんある。有名なものは、地下鉄の路線図だが、資料におけるチャート、グラフ、データや、案内図、サイン、ピクトグラム、ポスター、サイネージなどにも応用されている。最近では、企業の「サービスマップ」「年表」などにはインフォグラフィックスの観点から作成しているものが多い。

その一方で、生活者にとって「わかりづらい」「使いにくい」「迷ってしまう」サインボードやサイネージなどが、街中のいたるところにある。もちろん、インフォグラフィックスを応用した理解しやすいものもあるが、見た目の美しさを追求するあまり、見る人にとって不親切なものも散見する。今一度そのような視点で心がけるようにして見ると、きっと街中のデザインが違ったように見えてくるはずだ。

ビジネスに活かす

日本におけるインフォグラフィックスの第一人者である木村博之氏(株式会社チューブグラフィックス)は、自著『インフォグラフィックス―情報をデザインする視点と表現』の中で、インフォグラフィックスを作るときの要素として以下の5点をあげている。

1.見る人の目と心を引き付ける「Attractive」

2.伝えたい情報を明確にする「Clear」

3.必要な情報だけ簡略化する「Simple」

4.目の流れに沿う「Flow」

5.文字がなくても理解させる「Wordless」

なかでも「Simple」については、顧客視点で情報を洗い出し、何でもかんでも詰め込みすぎない「捨てる技術」が重要になる。コンセプトをはっきりさせて、本当に必要なものだけを絞り込み、あとは見る人の知識や情報を引き出すことである。「一瞬で何を伝えたいのかが分かるような、最小限のもので最大限の効果をもたらす情報だけを残すべき」とのことである。

自社のパンフレットや会社案内などの印刷物が理解しにくいことはないだろうか。特に営業ツールがわかりにくいと営業活動がうまくいかないし、何より顧客が迷惑する。デザインを考えるのは何もデザイナーだけではない。企画や提案営業の人にもデザインを考える意味は十分にある。

企業の製品情報を表現するのにインフォグラフィックスを使うのであれば、顧客の理解力が深まるだろう。インフォグラフィックスは人々の役に立ち、生活に溶け込んでいくことを目的としている。それをビジネスパーソンが応用できるとコミュニケーション力をアップする上で有効な手段となる。

さらに企画の段階でインフォグラフィックスを応用できないものだろうか。営業パーソンが自社の商品説明や企画書にインフォグラフィックスの発想を落とし込むことができれば、より威力を発揮するだろう。考え方を理解することでビジネスの幅は確実に拡がるはずである。

(CS部 上野寿)

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2019年3月8日(金)13:00~18:00

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