グラフィックス自動生成とインフォグラフィックス

掲載日:2014年6月30日

インフォグラフィックスが世界的に注目されている。 メディアが多様化し、情報が溢れている。文字だけですべての情報を伝えようとすればするほど、本当に伝えたい内容は埋もれてしまう。 そのため、重要なことだけを伝えるインフォグラフィックスが世界的に注目されている。ベビーユニバースの五十嵐隆典氏にグラフィックス自動生成とインフォグラフィックスについて伺った。

インフォグラフィックスとは

インフォグラフィックスは、伝えたい情報やデータをグラフィックスと組み合わせ、視覚的に表現する手法や考え方の総称であり、あらゆる統計図表やグラフ、地図などを含んだ概念である。 現代では、メディアが多様化・複雑化し、情報量も膨大になってきている。受け取る側にとっては必要な情報を即座に把握することが難しくなっている。そのため、インフォグラフィックスが改めて見直されている。 インフォグラフィックスは、日常生活の多くの場面、例えば標識、地図、報道、技術文書、教科書などで使用されている。 数学や統計の標記では概念的情報を分かりやすく表現し、科学的情報では可視化(画像・グラフ・図・表などで表現する)にも使われている。 例えば地下鉄の路線図から政党別支持率や選挙速報結果などでも応用されている。 インフォグラフィックスの基本の素材は、データ、情報、知識であり、それらが視覚的に表現される。データの場合、グラフ作成ソフトのような自動化ツールを使って、線や矩形や矢印や各種シンボルとピクトグラムでデータを表現する。

グラフィック自動生成の応用

ベビーユニバースは、グラフィックス自動生成に21年間取り組んできたソフトウェア開発会社である。アドビ製品のプラグインやJAVAのWebアプリを、印刷、CAD関連、アパレル業界向けに提供している。 ベビーユニバースには、数値を入力すると設定した図を使用してグラフを自動生成する簡易ツールがある。例えば、何かの統計数値をワイングラスの個数で表示することができ、打合せ時のサンプル制作に使用することができる。 総選挙では都道府県ごとに、各政党の当選者数をヒトの形で表現するグラフを自動生成してニュース通信社向けに提供する仕事を10数年間、担当している。また、地図に各地の地震の震度を表示したり、野球選手のカードに過去の成績をグラフ化して表示するようなソフトを開発している。 選挙結果のように、人がやると面倒なもの、ミスが許されないものは、手動で計算すると必ずミスが発生する。そのための校閲、チェックも大変である。選挙のグラフでは、元データに誤りがなければ、ミスを起こさない。 実際にはAdobe Illustratorを起動し、必要なデータを入力すると、瞬時に計算してイラストを生成している。どこの県でどの政党が何人、当選したか、全国の分布をグラフィカルに表現している。印刷用のCMYKデータであり、ブラックオーバープリントにも対応している。Web用に転用することも容易である。新聞に掲載されるので、間違いは許されない。 近年、ビッグデータが注目されており、その解析会社はたいへんに成長しているが、ほとんどの場合、解析結果は数値の羅列とのことである。また、官公庁や自治体では、膨大な量の統計資料を公表しているが、国民や一般市民にはほとんど伝わらない。つまり、数字の羅列形式では伝えたいことが伝わらないのである。 分かりやすく表現するというニーズは増えている。インフォグラフィックスを取り入れることによって、デザインや印刷物の付加価値を上げることができる。

(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)