「デジタル×紙×マーケティング」for Business

掲載日:2020年1月28日

いよいよ2月5日からpage2020「デジタル×紙×マーケティング」for Businessが始まる。

ポスターも「良いデザインだね!」等の評価をいただいている。「意味は?」と聞かれるのだが、for Businessということで「お腹に貯まる」という意味があると答えている。このテーマについて基調講演に登壇する三人のスピーカーが取り組んでいるソリューションについて紹介したい。

開会式直後の基調講演1は、テーマに沿ったpage展のスタートにふさわしい内容で毎年開催している。今回はJAGATが三年近く言い続けてきた「デジタル×紙×マーケティング」の集大成として、for Businessの決定版としてお届けする。「デジタル×紙×マーケティング」決定版である。

スピーカーはこの三年間「デジタル×紙×マーケティング」の啓蒙活動に協力いただいた花井さん(サービスプロバイダー)、岡本さん(自称プラットフォーマーだが、海外の便利ソフト等を積極的に紹介&サポートしている)、本間さん(元デジタルマーケッター、現在は印刷にシフト)の三人に登壇いただき、大いに議論していただく。

フュージョンの花井秀勝氏には、従来DMを主体にした、インパクトのある印刷物(企画デザインした)を、サンプル持参で説明いただき、聴講者からは大きな共感をいただいている。リボン(リボン内にも印刷)を付けた受験生向けの大学からのDMや、実物大のおせち料理案内等、印刷関係者には大受けだった。

フュージョンはDM大賞に応募し続けており、これを一つのアイデンティティにしているので、今回も興味深い話が聞けると思う。

しかし、最近のフュージョンは、単なる企画やデザインだけでは無く、行政や団体が仕掛ける仕組み自体に積極的に参加して、印刷物および周辺サービス提供まで、ビジネスにつなげようとしている。

その代表が「一般社団法人 札幌圏地域データ活用推進機構」略称:SARD(サード、Sapporo Area Regional Data Utilization Organization)であり、花井さんが主要メンバーとして大きな役割を果たしているし、「マーケティングを得意にしている印刷会社が何をするべきか!」等の興味深い話が聞けると思う。印刷業がデジタルに弱いなんていう話は、全くの迷信で、全産業の中でもデジタル技術を総合的に理解しているのは、印刷業界が筆頭なのである。

グーフの岡本さんには、プラットフォーマーという立ち位置で発言いただくが、やっぱりデジタル印刷は欧米の方が進んでいる。そして、日本と違うのは便利な機能を思いつくと、それをソリューション化して、販売する風習があるのだ。日本との大きな差であり、こういうソリューションをみんなで使って差別化を図るのだ。日本では大メーカーがサポートしないと、使わないという因習(?)にとらわれてしまうが、欧米ではいち早く自己責任で自分のものとして使用し、1年から1.5年のアドバンテージを付けられるのだ。そういう便利ソフトをグーフは積極的に日本に紹介し、サポートもしているのだ。デジタル印刷の基本は、商売の仕組みで差別化を図るのだが、そこも同じだとしたらソリューションで差を付けるしかないのだ。この辺も触れるし、もっと突っ込んで話を聞きたい方には、岡本さんの話を郡司が印刷業界向けに落とし込んだセミナー【S3】「デジタル印刷とIT活用で印刷ビジネスを創る」 ~印刷業界に特化し、先端技術の話を理解しやすく具体的に探る!~を行うので、興味がある方は参加いただきたい。

グーフの扱っているソリューションの中にAIで画像補間するソフトがあるのだが、つまり72dpiのWeb用画像を印刷用の300dpiにするソフトだ。従来は水増しになってしまったのでボケボケになってしまったのだが、AI補間はデータが無いエリアは画像を予測してAI補間するので品質が保たれるのだ。「ワンソースマルチユース」が騒がれていた頃、これからはコレだ!と誰しも思ったと思うのだが、実際の印刷現場ではカタログ印刷用にレタッチしたCMYK画像しか残っていないため、レタッチ済みのCMYK画像からRGB画像を作るという言語道断なことが行われているのである。馬鹿馬鹿しいと言わないでいただきたい。現実は意外に多いのも事実なのだ。当然、変換しただけでは彩度の低い、濁った画像になってしまうので、再レタッチが必要なのは言うまでも無い。また逆のケースも多く、Web用の72dpiRGBデータがあり、そこからCMYKデータにするのだが、水増しボケボケの画像が平気で使用されていたりしたのだ。ここに朗報のAI画像補間ソリューションが登場したわけだが、150dpiくらいからならWebにも印刷にも応用できるので真のワンソースマルチユースが可能かな?と考えている。こんな話も基調講演1で触れたいと思うが、現在のPhotoshop CC 2020でも近い結果は得られるようになっている。(Photoshopも進化しているのだ)細かい落とし込みは【S3】「デジタル印刷とIT活用で印刷ビジネスを創る」 ~印刷業界に特化し、先端技術の話を理解しやすく具体的に探る!~でやるつもりである。

最後に本間さんだが、この人は花王時代デジタルマーケッターでブイブイ言わせていた。紙の人間からしたら目の上のタンコブだったが、マーケッターの立場で物事を考えれば「Webが良い」「紙が良い」という問題では無く、効果が上がれば良いのである。そこで考え直すとWebの良いところ、例えば「とにかく考える前にまず試してみることが大事だ。ABテスト等をバンバンやっていくということが、デジタル印刷なら出来るので、そうなったらデジタルマーケッターも認めるのではないですか!」と言っている。効果のあることにはお金を使いたいと言っているのがデジタルマーケッターなのである。

(JAGAT専務理事 郡司秀明)

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