クロスメディアエキスパート」カテゴリーアーカイブ

【クロスメディアキーワード】近距離無線通信技術

近距離無線通信技術とは

無線通信におけるネットワーク技術は、距離により分類される。約100km 以上の距離で通信を行う「無線WAN(Wide Area Network)」、約100m から約100km までの「無線MAN (Metropolitan AreaNetwork)」、約20m から約100m までの「無線LAN(Local Area etwork)」、人間のまわりの機器をネットワークする範囲として10〜20m 程度をカバーするものを「無線PAN(Personal Area Network)」という。
近距離無線通信技術は厳密な定義はなく、一般的に、「無線PAN」などの通信距離が数10m くらいまでの近距離無線通信の技術をいい、その主な技術として、「ZigBee」「Bluetooth」「無線LAN」などがある。

技術の比較

近距離無線通信技術と類似技術には、「ZigBee」「Bluetooth」「無線LAN」「電子タグ」が考えられる。「ZigBee」は、伝送スピードがほかと比較して250kbpsとあまり高速ではない。さらに、消費電力は一番小さく、接続数は約6 万5000 個と一番多い。自律的にメッシュネットワークの構築が可能で、メッシュリンクとスターリンクを組み合わせたマルチホップネットワークの構築が可能である。「Bluetooth」は、伝送スピードが1Mbps とある程度の速さを有している。また、消費電力については120mW とほぼ中間であり、接続数は最大7 個と少ない。音声とデータのアプリケーションで利用でき、ネットワークへの参加・離脱が容易である。さらに、周波数ホッピングによる無線技術間の干渉を軽減する。「無線LAN」は、伝送スピードが、11、54Mbps と高速である。しかしながら、消費電力は3Wと一番大きく接続数は、最大32 個と少なめである。「電子タグ(パッシブタグ)」は、消費電力が0Wと電力が掛からず、接続数はタグのみのID などコードリーダーであり1 個のみである。リーダーとの間で、データの読み出し、書き込みが可能である。薄くて小さなタイプは、モノに埋め込むことができる。電源を内蔵しない「パッシブタグ」のほかに、電源を有し自ら電波を出す「アクティブタグ」がある。

NFC(ISO/IED 18092)

「NFC(Near Field Communication)」とは、ソニーとフィリップス(現NXP セミコンダクターズ)が共同開発した、近距離無線通信技術の国際標準規格である。「FeliCa」や、「MIFARE(ISO/IEC 14443)」などの非接触IC カードの下位互換性がある。使用周波数は、FeliCa」や「MIFARE」などと同様の13.56MHz である。「NFC」の通信規格を搭載している機器同士の双方向通信が可能で、携帯電話やパソコン、家電などの機器へ展開されている。今後も、アクセス制御やヘルスケア、情報の受発信、顧客維持、決済、物流など、幅広い分野での活用が見込まれている。
NFC活用のメリットは以下の通りである。①「NFC」による双方向通信は、「かざす」以上の複雑な操作を必要としない。②産業から環境まで、広範囲での利用に適している。③NFC技術はISO やECMA、ETSI標準を見据え、オープンかつ標準的である。④「NFC」は、「Bluetooth」や「Wi-Fi」などの無線技術において、機器のセットアップを容易にする。⑤NFC送信は短距離(数センチメートル)でありセキュリティーにおいて優れている。⑥既存の非接触カード技術と互角性がある。⑦「NFC」は、セキュアなアプリケーションをサポートするための機能が組み込まれている。

NFC の主な機能

①カードエミュレーション機能
「NFC」が搭載された機器は、さまざまな非接触ICカードやICタグの規格と互換性があり、それらと同等の機能を持つ。IC カードやIC タグのインフラを利用したアプリケーションの構築が可能である。
②リーダー・ライター機能
「NFC」が搭載された機器は、リーダー・ライターとして、さまざまな非接触IC カードやIC タグの読み書きができる。
③端末間通信機能<P2P>
NFC 通信規格対応のIC チップ「NFC チップ」を搭載している機器やカードを10cm 以内の近距離まで近づけると、106Kbps〜424Kbps の速度で双方向通信が可能になる。

ハンドオーバー

NFC 端末間ペアリング対応の機器間では、大容量のデータを送受信する際、通信手続き(ペアリング)だけを「NFC」で行い、「Bluetooth」や「Wi-Fi」など別の高速な規格に引き継ぎ、通信を行うことができる。これをハンドオーバーと呼ぶ。
①Bluetooth ハンドオーバー
大容量データを転送する場合、高速で通信距離も長い通信規格である「Bluetooth」を使用することがある。通信距離が長いワイヤレス通信規格では、その長い通信距離のため、盗聴や改ざんなどの危険性が大きくなる。そのため、「Bluetooth」のペアリングは非常に煩雑であり、一般ユーザーからは敬遠されることが多い。「NFC」は通信距離が10cm 以下と短く、機器同士をかざす(10cm 以下に近づける)という明示的
な行為をトリガーに、安全な通信を行うことができる。NFC 通信で、「Bluetooth」のペアリングを行うことで、容易に安全で高速なデータ転送が可能となる。
②Wi-Fiハンドオーバー
無線ブロードバンド(Wi-Fi)サービスの利用者が増加している。Wi-Fi ブロードバンドサービスの多くは、①あらかじめ月額のサービス利用料を支払い、サービス事業者により発行されるIDとパスワードで利用するもの、②フリーで利用できるものがある。①を利用する際は、利用するサービス事業者向けのアクセスキー(Wi-Fi接続に必要な情報)を端末へ設定しておかなければならない。「NFC」に対応したWi-Fiブロードバンドサービスが普及すると、サービス利用者はアクセスキー登録済みのIC カードをNFC 搭載携帯電話やパソコンにかざすだけで、サービスが利用できる。

JAGAT CS部
Jagat info 2013年2月号より転載

【クロスメディアキーワード】SWOT分析

経営戦略や事業戦略を策定するためのフレームワークには3C 分析、バリューチェーン分析、SWOT 分析などさまざまな手法がある。SWOT 分析と関係性の深い経営資源について解説をする。

SWOT 分析とは

組織の戦略を策定したり評価していく上で、現状の自社を取り巻く外部と内部の経営環境を分析することは重要である。SWOT 分析とは、経営環境を内部の経営資源と外部環境に区分し、さらに有利な要因と不利な要因に区分してマトリックスを作り、自社の経営環境の条件を明確にする方法である。SWOT 分析の具体的な項目は、内部の経営資源上の有利な要因を「強み」、不利な要因を「弱み」とし、外部環境上の有利な要因を「機会」、不利な要因を「脅威」とし、マトリックス上を4 つにグルーピングする。SWOT 分析の結果に基づき、事業領域(ドメイン)の決定につなげていくことになる。
外部環境と内部環境の要素を下表に取り上げる。

●外部環境の要素
[マクロ要因]
① 政治・法律環境 規制緩和や法律の改正など
② 経済環境 景気変動や為替動向など
③ 社会環境 少子高齢化、格差社会など
④ 文化・技術環境 技術革新やライフスタイルなど
⑤ 自然環境 環境規制や地球温暖化など
[ミクロ要因]
① 市場環境 市場規模や市場動向など
② 顧客環境 顧客ニーズや消費者動向など
●内部環境の要素
① 人的資源 組織構造や人材力など
② 物的資源 保有する設備、工場など
③ 財務的資源 資金調達力など
④ 情報的資源 ノウハウ、ブランド、企業イメージなど

SWOT 分析の目的

外部環境と内部環境を線引きするポイントは、自社で統制することが可能かどうかである。外部環境は自社では統制不可能なことが多いが、内部環境は改善できる余地が残されているためである。SWOT 分析の本来の目的は、経営戦略の方向性を模索したり、資源配分の検討や戦略を実現するための課題を設定する際に、客観的に自社の位置付けを明らかにすることである。区分することに固執すると抽出自体が目的となり分析が疎かになって、本末転倒になる。単なる抽出ではなく、分析した結果と、分析結果から目的とすることを導くことができるかが重要である。よって、必要以上に内外環境を区分する自体には意味がない。

SWOT 分析の留意点

4 つの項目に分類されたSWOT の内容は一定でなく、変化することに留意する必要がある。機会や強み、脅威や弱みを判断する基準を設定することが難しい場合がある。策定した戦略やターゲットとする顧客によって強みや弱み、機会や脅威の判断基準が変化する場合がある。例えばインターネットの普及は、企業が消費者に対して情報発信できる頻度が高くなるため、機会に捉えられそうである。その反面、消費者が取得できる情報量が増加し、商品やサービスに関する知識が豊富になっている。消費者が選別する目が厳しくなっているので、効果的に商品価値を訴求していかないと、顧客が離反し、脅威や弱みに変化することになる。また、一方の企業には脅威であっても、他方の企業にとっては機会になる場面もある。例えば通常、円安は輸出企業には機会であるが、輸入企業にとっては脅威である。逆に円高は、輸出産業にとっては脅威であるが、輸入産業にとっては機会になる。

JAGAT CS部
Jagat info 2013年1月号より転載

学び続けるエキスパート

今期のDTPエキスパートおよびクロスメディアエキスパートの更新試験が始まった。試験期間は9月1日より9月30日までの1ヶ月間で、受験者はCBT(Computer Based Testing)方式の試験に取り組む。 続きを読む

2016年9月実施更新試験開始

更新試験専用サイトオープンしました。
更新試験申請者の方は、下記期限内に必ず試験にお取り組みいただくようお願いします。

更新試験専用サイトはこちら

試験実施期間:2016年9月1日(木)10:00~2016年9月30日(金)23:59まで

※試験専用サイトのパスワードがご不明な場合は

更新試験専用サイト上の「パスワードをお忘れですか?」よりパスワードを取得していただくか、
更新試験専用サイトサポート窓口までパスワードをお問い合わせください。

更新試験専用サイトサポート窓口
株式会社 イー・コミュニケーションズ サポート窓口
TEL 03-3560-3905 e-mail cbt-support@e-coms.co.jp
受付期間:試験期間内のみ対応
受付時間:平日10:00~17:00

2016年9月実施更新試験・再取得試験ログイン案内配信完了

9月1日より開始となりますDTPエキスパート/クロスメディアエキスパート認証更新試験につきまして、更新試験専用サイトへのログイン案内(パスワード案内)を本日一括配信いたしました。(エキスパート基本台帳「ご自宅メールアドレス」欄にご登録のメールアドレスあて)

まずは受信されているかどうかお確かめください。
届いていない場合は、下記①②いずれかのご対応をお願いいたします。

①試験開始(9月1日 10時)後に、更新試験専用サイト上の「パスワードをお忘れですか?」よりパスワードを取得していただく。
②試験開始(9月1日 10時)後に、更新試験専用サイトサポート窓口までパスワードをお問い合わせいただく。

更新試験専用サイトサポート窓口

株式会社 イー・コミュニケーションズ サポート窓口
TEL 03-3560-3905 e-mail cbt-support@e-coms.co.jp
受付期間:試験期間内のみ対応
受付時間:平日10:00~17:00

※試験サイトへのログインは、試験開始となる9月1日 10時以降に可能となります。
それ以前はログインできません。

その他ご不明点がありましたら、JAGAT資格制度事務局(e-mail:expert@jagat.or.jp)
までご一報ください。

2016年9月実施更新試験専用サイトへのログイン情報配信予定

9月1日より開始します第46期DTPエキスパート/第22期クロスメディアエキスパート認証更新試験につきまして、更新試験専用サイト(CBTサイト)へのログイン情報は、

8月29日(月)に配信

予定です。

基本台帳上のご自宅メールアドレス欄にご登録のメールアドレスあてに配信いたします。
(配信が完了しましたら、あらためて本お知らせ欄に掲載いたします。)

ご案内まで今しばらくお待ちください。

【クロスメディアキーワード】プロジェクトとPMBOK

クロスメディアキーワード【第3回】

プロジェクトは、主に組織の戦略計画を達成する手段として実施され、管理手法としてPMBOKが活用される。

組織とプロジェクト

組織において定常業務が継続的・反復的であるのに対し、プロジェクトは独自の製品やサービスを創造するために実施される有期的な業務である。

多くの組織にとってプロジェクトは、その組織における通常の業務範囲内では対処できない要求に応えるための手段である。プロジェクトは組織のあらゆる階層 で実施され、1人から数千人規模の場合もある。アライアンスやジョイント・ベンチャーなどでみられるように、組織の境界を超える場合もある。

プロジェクトの特性

プロジェクトの特性の1つである「有期性」とは、どのプロジェクトにも明確な始まりと終わりがあることを意味している。プロジェクトと定常業務の目的は本 質的に異なり、プロジェクトの目的は、その目標を達成して終結することである。継続的な非プロジェクト型定常業務では、ビジネスを持続させることにあるの が普通である。

さらに、プロジェクトの特性の1つとして、「段階的詳細化」がある。段階的とは、「ステップを追って進め、継続して着実に 内容を追加すること」を、詳細化は、「注意深く詳細に練り上げ、完全に作り込むこと」を意味している。製品やサービスの特性は、プロジェクトの初期段階で 大まかに定義され、プロジェクトチームが成果物をより良く、かつ、より完全に理解することに従い、明確で詳細なものとなる。

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)

PMBOKは、プロジェクト活動を管理するための基本的な考え方、手法をまとめたガイドであることから、ガイドに従うだけでは、様々なビジネスに使用できる具体性はないが、概要を理解することで、プロジェクト管理手法として礎として活用できる。

PMBOKとは、プロジェクトマネジメントに関する知識体系である。アメリカにあるプロジェクトマネジメント関する技法を研究している団体である PMI(Project Management Institute)がまとめている。現在は、PMBOKに従いプロジェクトマネジメントを実施することが、国際標準となっている。PMBOKの内容は、 4年に1回改訂が行われており、2012年に英語版である第5版が公開された。

管理体系の分類とプロセス

PMBOKは、プロジェクト管理体系に関する知識を9つに分類し、さらに、プロジェクトのフローを「立ち上げ」「計画」「実行」「管理」「終結」といった、5つのプロセスに区切り、9×5の中にどのプロセスで何を作成・管理すべきかを定義している。

9つの知識エリアは、日本の製造業において従来から使われてきた3つの管理項目である「品質管理」や「コスト管理」、「納期管理」に対し、「スコープ管 理」、「人的資源管理」、「コミュニケーション管理」、「リスク管理」、「調達管理」といった5つの分類を加え、それらをトータルに管理する「統合管理」 を含めたものである。プロジェクトの請負範囲や成果物が何であるかを定義・計画する分類は、スコープ管理にあたる。

個別の知識エリアにお いて、「コスト管理」では「コスト見積書」、「人的資源管理」では「プロジェクト体制図」や「リソースヒストグラム」といった、計画のアウトプットが作成 される。これらは相互に関連し、統合管理で各計画の整合性を保つ。「プロジェクト計画書」は、他エリアの計画プロセスで作成する計画ドキュメントと重複し ないように配慮する。

また、プロジェクト体制の構築、プロジェクトメンバーの確保、プロジェクトメンバーの育成を行う知識エリアは、「人的資源管理」である。ただし、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといった中心人物の選任については、スコープ管理の「立ち上げプロセス」の 範疇になっている。

「人的資源管理」のアウトプットは、プロジェクトスタート時に速やかに作成し、受注業務においては、受注側だけでなく、発注側の体制についても明記する。

スコープ定義とWBS(Work Breakdown Structure)

スコープ定義(Scope Definition)とは、プロジェクトの主要な要素成果物を小さなマネジメントしやすい構成要素に分解することである。その目的は、①コスト、所要期 間、資源の見積りの精度を高める、②実績を測定し、コントロールするベースラインを決める、③明確な責任分担を促進する、が挙げられる。適切なスコープ定義は、プロジェクトを成功に導くために極めて重要である。

PMBOKでは、要素成果物によりプロジェクトの構成要素をグループとし、プロ ジェクト全体のスコープを系統立ててまとめあげ、定義したものをWBSという。の各項目には一般に固有の識別子が付けられる。これらの識別子により、コス トや資源を階層により集計する仕組みを表す。特にアーンド・バリュー・マネジメント方式を採用している組織では、WBSの最下位レベルの項目を「ワーク パッケージ」と呼ぶ。この「ワークパッケージ」は、下位のサブプロジェクトにおけるWBSとして、さらに分解されることもある。

リスク識別

リスク識別(Risk Identification)とは、どのようなリスクがプロジェクトに影響を及ぼすかを見定め、その特性を文書化することである。リスク識別はプロジェ クトの全期間で定期的に実施する。またリスクを識別するために、「リスクそのもの」と「トリガー」、「他のプロセスへのインプット」の3つがアウトプット となる。トリガーは、リスクの兆候(リスクの警鐘)とも呼ばれ、リスクが発生した、あるいは発生しようとしていることを示すものである。例として、中間の マイルストーンに遅れることはスケジュールの遅れが差し迫っているということが早期警報である。また、他のプロセスへのインプットで、リスク識別により他 の知識エリアでさらに対策を講じる必要性が明確になる。スケジュールが不完全、論理的でないなどが例として挙げられる。

コンティンジェンシー計画(Contingency Plan)は事前に、プロジェクト計画中に識別したリスクが発生した場合に適用する。前もって計画を立てておくと、リスクが起こったときの対応コストを大きく減らすことができる。

例題

PMBOKにおけるプロジェクトの定義に関する記述として最も不適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア プロジェクトとは、以前に同等のものが実施されたことがなく、新しく行う独自の活動である。
イ プロジェクトチームは、プロジェクトの目的を遂行するために編成され、プロジェクトが終結した時点で解散する。
ウ 1人で実行されるのは業務であり、プロジェクトではない。
エ プロジェクトでは、進行と共に具体性が増すため、初期段階では製品やサービスの仕様は、大まかに定義される。

[解答群]
 ①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
 ③ウ

※本ページの内容は掲載当時(2013年10月15日)のものです。

JAGAT夏季休暇のお知らせ 8月11日(木)~8月15日(月)

8月11日(木)~8月15日(月)までJAGATは夏季休業いたします。
16日から通常営業いたします。

8月21日(日)開催エキスパート認証試験の受験票が未着の場合は、下記資格制度事務局メールアドレスあてにメールにてご連絡ください。
休業明け速やかに対応いたします。

JAGAT資格制度事務局
e-mail: expert@jagat.or.jp