7月号に続き、会員企業を対象にした「2022年度印刷産業経営力調査」の調査結果を誌上にて報告する。8月号では、印刷会社103社の経営戦略に関して分析を行った。具体的には財務、顧客、内部プロセス(生産・営業)、組織と人材の各観点における重点項目について分析を行い、その経年変化を明らかにしている。 続きを読む
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「変化」が定着した経営戦略と、戻された戦略
営業成果を高めるデータ活用と運用面の課題
勘や経験に頼らない営業組織にするには、データに基づいた営業分析が必要です。ただし、成果を出すには運用面の課題があり、営業パーソンの「心理的障壁」と「人材スキル」がキーポイントとなります。
■属人化から組織営業へ
営業成果を高めるには、会社、部門等の組織単位で営業の戦略と戦術を考えていく必要があります。しかし、多くの営業部門の課題として個の営業担当に依存する属人化が挙げられます。優秀な営業パーソンが多ければ個に依存することは、短期的な目で見れば成果は出るし良い側面もあります。ただし、長い目で見れば組織に営業ノウハウが蓄積されない問題が生じます。また、個人レベルで営業情報が止まるケースが多く、客観情報に基づいた営業部門全体の問題分析や改善がしにくいです。結局、個の営業担当に依存するほかなく、勘や経験だけの営業活動になり属人化への負のループが繰り返されます。
■進むIT投資、課題となる運用
そこで、組織営業の重要性が叫ばれ、営業データ活用による分析が必要になります。そのためには情報の蓄積が必要であり、CRM・SFAに代表するようなシステムツール、営業・売上分析のBIツールを導入する企業が増えています。一方、IT投資によるハードの整備が進んでも、上手く使いこなせない、頓挫するケースは少なくありません。その多くの要因は、ソフト面での課題が多いことが要因です。
【ソフト面の課題】
1)営業パーソンが情報を入力しない(できない)
2)入力された情報にバイアスがかかっている
3)営業情報を分析、活用する人材のスキルがない
上記の3つの課題はすべて「人」に起因しています。その「人」を大まかに二つに分解すると「心理的障壁」「人材スキル」です。会社や営業部門の上長の目線では、可視化や見える化で情報を透明化することは重要ですが、部下の目線だと管理されている、監視されている、あるいは入力する作業が面倒である等の感情が生まれます。運用として半ば強制的に入力されるルールや、それをしないと評価が下がるような引き算式評価制度を作ると、心理的な壁を更に厚くする恐れがあります。そうすると、うるさいからとりあえず入力だけしておこうが発生し、信ぴょう性に欠ける質の低い情報が蓄積されます。
■営業パーソンの動機付けには目に見える営業成果が重要
営業パーソンが能動的に営業情報を収集して共有するには、相応の動機付けが必要になります。それは評価と報酬です。手間暇かけて収集し入力したデータが生かされて、営業成果に結びつき自身の評価や報酬に繋がることです。見える化は経営側の論理であり、評価と報酬がセットになっていなければなりません。それを実現するには、営業パーソンが汗水垂らして収集したデータを営業活動に活かす必要があります。そこで重要なのが、データ分析と活用できる「人」のスキルです。近年では、データ分析人材を育成することが急務となり、取り組んでいる企業が増えています。データ分析というと膨大なデータや高度な分析が求められるイメージがありますが、それでは中小企業にはハードルが高いです。まずは今ある社内のデータである過去の受注履歴、営業日報、CRMデータ等、から整理して、現状の営業プロセスの課題をExcelベースでもできるデータ分析の人材育成からスタートするのが現実的です。「問い合わせ」「訪問ヒアリング」「提案」「見積」「受注」のプロセスで、どこで失注しているのか、あるいはムダ打ちが多いのか。「社内指示」「校正」「印刷」「納品」のプロセスで、やり直し等による提案営業以外の活動がどれ位あり、営業効率が下がっているのか。社内にあるデータからでもスモール分析、改善ができます。分析の実践を踏んでスキルを高め成果を少しずつ出していき成功体験を積み重ねることがスキルアップのポイントとなります。
組織営業を展開し営業成果を高めるには、従来の勘や経験も必要ですがデータによる客観分析が重要です。そのためには、質の高いデータが集まりやすい環境整備と、データを生かした有効な営業施策が打てる人材の育成が必要です。JAGATとしても創注をキーワードに掲げており、そうした人材育成の場も設けていきたいと考えております。
JAGAT 塚本直樹
DXと人材育成
DXが進まない第一の壁は人材であり育成がカギとなる。優先するべきはビジネスを創出、変革できるX人材の育成と、組織全体のデジタルリテラシー向上を促す全体教育が必要である。
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「ヒアリング」という言葉がある。『広辞苑』を紐解くと「①聞くこと。特に、外国語教育における聞き取り。②公聴会。聴聞会。」という二つの意味・用例が紹介されているが、ビジネス用語としては「聞き取りによってお客様のことを理解すること」といった文脈の中で用いられていることが多いように思われる。 続きを読む
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2023年度が始まり、この4月から勤務を開始する新人を迎え入れた会社も多いのではないだろうか。JAGATでも4月より新入社員向けの各種セミナー・通信教育講座を順次開講している。 続きを読む
新商品・サービス開発を進めるのは、トップダウン?ボトムアップ?
新商品・サービスの開発は、新たな収益の軸を作り、企業が成長し生き残るために必要不可欠である。では、組織全体でどのように取り組めば、より良い商品・サービスの開発を推進できるのだろうか。
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データを読み込み、それを事業に反映させよう 〜『JAGAT info』2021年9月号のご案内
『JAGAT info』9月号では、例年実施している「印刷産業経営力調査」の調査結果を基に、2020年度の設備投資戦略というフェーズにおける各種分析・考察を行っている。 続きを読む
2日間集中講座で得た印刷知識の習得と理解 ~「生産性向上支援訓練」上半期実施報告~
今年で4年目を迎えた「生産性向上支援訓練」の講座では、2021年度上半期は、新人~若手向きの印刷関連基礎講座を中心に6講座開催した。いずれの講座も満足度が高く、そのアンケート結果を報告する。 続きを読む
令和3年度「人材開発支援助成金」改訂のポイント
生産性向上や利益の拡大など更なる成長を見込み、社員教育を重視している企業も多い。しかし、人材育成には時間の確保や研修費などのコスト面での負担が大きい。そこで、助成金を有効に活用し、少しでも負担を軽減させるために、令和3年度「人材開発支援助成金」の改訂のポイントを紹介する。
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