新しい時代に必要な知識とスキルを持った人材育成を

掲載日:2018年7月5日

ある印刷会社の経営者の方に話を聞いていて、印刷市場の縮小に対して印刷の減少を補い、新たな成長を目指すための新規ビジネス開拓への強い意気込みを感じた。と同時に、なかなか新しいビジネススタイルに対応しきれない危機感もひしひしと感じた。

例えは悪いが、口をあけていれば仕事が入ってくる時代が続き、待ちの受注体質が浸み込んでしまった印刷業にとっては、創注の時代になったといっても、なかなか対応できないのはある意味仕方がないことだ。

しかし、仕方がないで済まされないのは今の印刷会社が置かれた状況であろう。創注型の仕事では、まずはなんとかして顧客との関係性を深く、強くしてお客様の相談相手になることが必要だろうが、これがなかなかできないことが課題の一つに挙げられる。

受注体質を改善して仕事を創り出す会社にするということは、究極は人の問題だからなかなか厄介で、技術変化に対応したときのようにメーカーが助けてくれる領域ではない。
可能であればできる人材に総取り換えできればよいのだが、それは現実には無理な相談だ。

となると、顧客課題を見つけて企画提案できるように現社員の教育を進める。さらに少しずつでも新しい創注スキルを持った人材を入れていくのが現実的な解かもしれない。この場合は、体質が違う上に起こり得るかもしれない従来の人材と新しい人材の社内での対立を経営者がうまくコントロールしなければならない。

現有人員についてはビジネスのスピードが増しているなかで、その養成を急がなければならないし、継続して教育をしていかなければならない。それができる企業は実際に成長しているし、元気がいい。ある印刷会社は年間の総就業時間の10%を教育のために割いているという。社員の自助努力だけに期待するのでは間に合わない。

かといって忘れてならないのは、印刷会社はモノづくりの会社であるということで、これは土台であり、強みに結びつけるようにしないとならない。創注型の人材が必要になるが、モノづくり企業としての最低限の印刷知識は欠かせない。それがないと単なる企画会社と同じで、より厳しいレベルでの競争にさらされる。印刷業である限り、印刷知識は必要不可欠で、それが企画提案する上での強みにならなければならない。そういう意味でもJAGAT DTPエキスパート資格などは基礎から最新の印刷知識習得までの有効な手段となるはずだ。

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