近年、日本製紙連合会の内需データからも明らかなように、「紙への印刷物の製造請負」に限定した狭義の“印刷ビジネス”は、印刷・情報用紙の需要減少とともに縮小傾向にある。
しかし一方で、この変化に機敏に対応し、従来の印刷業務で培った情報収集力やデジタルデータ処理のコアコンピタンスを活かして、コンテンツ制作やデジタルビジネスへと展開している企業も現れている。
たとえば、DI Palette(旧 第一印刷所)は、新潟市に本部と本社工場を構え、印刷を起点にプロモーション支援からビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)まで業務領域を広げた地域の有力企業だ。2024年には、さらなる企業イメージの刷新を図り、現在の社名へと変更した。
また、ヤマゼンコミュニケーションズ(旧 ヤマゼン印刷株式会社)は、栃木県宇都宮市に本社を置き、マーケティングリサーチから広告効果測定まで、統合的なマーケティング支援を強みとする企業だ。「栃ナビ」という口コミサイト運営から次の拡大展開を狙っている。こちらも2000年に社名を変更し業容を拡大中!!
両社に共通するのは、社名から「印刷」を外しつつも、“脱・印刷”ではなく「印刷を核としたビジネスの進化・拡大」を目指している点だ。本研究会では、それぞれの取組みとその実態についてご紹介いただく。
さらに、AIを活用したITツールの登場により、デジタルビジネス分野は急速に進化しており、印刷会社がこれまで築いてきた顧客との信頼関係を基盤に、新たな活路を見出すケースも増えている。
今回はその一例として、富士フイルムビジネスイノベーションより、印刷業界におけるAI活用の実際と可能性についても紹介していただく。