2026年3月期決算では、上場印刷企業18社のうち11社が増収、9社が増益を達成した。紙メディアで伝えるべき価値の再認識も進む中で、印刷テクノロジーをベースに新たな価値創出に取り組んでいる。(数字で読み解く印刷産業2026その5)
上場企業2026年3月期は5期連続最高益、印刷企業は18社中9社が増益達成
上場企業の2026年3月期決算は、5期連続で最高益を更新しました。
日本経済新聞が東証プライム市場に上場する1037社を集計したもので、純利益は前期比12.5%増の57兆7945億円となり、製造業は微減の一方、非製造業は22.5%増と好調でした。2027年3月期通期予想(957社)では、純利益は前期比5.2%増で6年連続で最高益を更新し、製造業は28.1%増になる一方、非製造業は10.4%減の見通しです。
上場印刷企業18社(東証プライム市場上場は5社)の2026年3月期決算では、11社が増収、9社が増益を達成しています。2027年3月期に関しては、「中東情勢による影響を現時点で合理的に算定することが困難であることから未定」としている1社を除く17社の予想が出ていて、14社が増収、7社が増益を予想しています。
上場印刷企業35社の2025年度業績も堅調か
JAGAT『印刷白書』では、社名もしくは特色に「印刷」などとある企業を、上場印刷企業としています。上場印刷企業の社数は、親会社による完全子会社化による上場廃止がある一方、新規上場もあって、33~35社で推移してきました。
『印刷白書2025』では2024年12月25日上場のMIC(ミック)が加わり36社になりました。現在準備を進めている『印刷白書2026』では、トーインが他社による買収(公開買付け、株式等売渡請求による取得)により2026年3月27日付けで上場廃止となったことから、35社で分析する予定です。
各社の業績は決算短信と有価証券報告書で見ていますが、提出時期の関係で2025年6月期から2026年5月期決算までを2025年度としています。
決算短信が公表済みの33社で上場印刷企業の2025年度業績を見ると、売上高合計は4兆3102億円、ビーアンドピー(2025年10月期より連結財務諸表を作成しているため、前期数値の記載なし)を除く32社で前期比を見ると3.9%増で、増収18社、増益17社、黒字転換1社と堅調です。
社名に「印刷」とあるのは35社中7社
上場印刷企業35社のうち、社名に「印刷」とあるのは7社だけです。事業領域の拡大や持株会社体制への移行によって、社名から「印刷」が外されてきました。
35社のうち連結決算は27社ですが、そのグループ企業には印刷産業とは全く関連のない事業もあって、連結業績から印刷事業の実態を見ることは難しい。そこで、『印刷白書』では、個別業績に印刷事業が含まれない持株会社7社とアサガミを除外し、単独決算の8社を含む27社の個別業績の企業力比較なども行います。
『印刷白書2026』は10月下旬発行を予定しています。上場印刷企業35社の分析では、事業展開の特色と売上高構成比、個別業績による規模・収益性・生産性・安全性・成長性、連結業績による設備投資総額・研究開発費、キャッシュフローバランスなどを比較します。
限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。
(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)


