凹凸の曲面に表示されている部分にはどうやって印刷されていますか。

掲載日:2014年8月17日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:凹凸の曲面に表示されている部分にはどうやって印刷されていますか。

A:市販されている様々な製品のコントロールパネルやスイッチャー等の表示部分を印刷し曲面に成形することをインサート成形といいます。インサート成形されたものは、あくまでも製品の中の一部品です。ここでは、どうやって曲面に印刷され加工されているのか順序について簡単に述べたいと思います。 

 被印刷体である素材はフィルム状のポリカーボネート又はPETがありますが、ポリカーボネートが多く使用されています。
第一に、平面のフィルム素材の裏面から逆像で多面付けされて印刷します。版式は孔版印刷です。
第二に、印刷されたフィルム素材の絵柄をホーミング(型をはめ込んで成形すること)という作業で曲面の型に変形させます。
第三に、変形されたフィルム素材の裏面から高熱の樹脂を流し込みます。工業部品などは腰が必要なので、強度をつけるために凹部から樹脂を流し込みます。流し込む樹脂はABS、ポリカーボネート、ナイロンです。 
 基本的には、面付けされている状態にそのまま流し込めないので、この段階で個別にカットします。カットした状態で一個一個に樹脂を流し込み製造します。
 
 成形の過程では、フィルム素材をホーミングしてインキが伸ばされた時にインキが割れず、しかも高温で溶かした樹脂を型へ流しこんだときにその熱でインキも流れださない専用のインキが使用されます。
 製造された部品の断面は、フィルム素材・インキ・樹脂という三層になっています。結果的にフィルム素材によって表面加工された状態になっていますのでインキは剥がれることはありません。
 従来から曲面への印刷手法としてはいくつか方法はあります。コントロールパネルやスイッチャー等のように人の手が触れて耐磨耗性が要求され、且つ成形できるものについてはインサート成形で製造することが多いでしょう。

 

(2004年5月24日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)