通信教育も対象となる人材開発支援助成金とその活用

掲載日:2023年8月8日

これまで原則として「対面」による訓練が対象の厚生労働省「人材開発支援助成金」は、昨年度より一定の条件をクリアすることにより、通信制およびeラーニングによる訓練も対象となっている。計画的に人材育成に取り組む企業であれば、社員の職場定着促進、ひいては安定的な企業運営にもつながり、ぜひ活用したい制度である。

 

令和4年4月より、通信教育やeラーニングも対象になった人材開発支援助成金は、事業内の職業能力開発計画を立て、計画に沿って従業員に職務に関連した専門的な知識及び技能の習得を目的とした訓練を実施する事業主等を支援する制度で、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される。
従って、業務上の義務として実施されるものでなく、労働者が自発的に行うものや、接遇・マナー講座などの職業人として共通して必要となるもの、日常英会話や趣味教養を身につけることを目的とするものなどは対象とならない。
一般的に通信教育を取り入れている企業では、自己啓発的なOFF-JTとして社員自らが講座を選択し、受講料を補助する例が多いが、その場合は対象とならないので留意したい。また、通信教育講座には上記のように語学の習得のみを目的としたものや一般教養や趣味的なコースも多々あり、これらも対象外となる。

では、通信教育においてどのようなケースで助成金を活用できるかを考えてみたい。
まず、助成対象となる講座の基本的な要件は以下のとおりである。

・訓練時間の要件
通信制の場合、実際の訓練時間ではなく受講案内等に記載されている「標準学習期間」で判断し、その期間が2ヶ月以上であることが必要である。
→JAGAT通信教育の専門的講座は、ほとんどが2ヶ月以上なので要件を満たす。

・修了の証明
訓練期間が発行する「受講を修了したことを証明する書類(修了証等)」により、訓練を修了していることを確認する。
→JAGATでは、在籍期間内にすべての添削課題を提出し、平均点数が60点以上であれば修了証を発行している。

・計画提出および支給申請期間
訓練の計画提出は受講開始音1ヶ月前まで、支給申請は計画期間終了日の翌日から2ヶ月以内に提出する。
→助成金の問い合わせ、申請先はこちらの案内を参照。https://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/toiawase.html

 

以上のような助成金の趣旨及び基本要件から、次のようなケースでは具体的に助成金を活用できる可能性があると考えられる。

■指名受講型(「企業内教育における通信教育の活用法」参照)
1)部門/グループ特定型:多くの印刷会社で活用しやすいのは新入社員の教育計画に通信教育を取り入れて実施する方法である。
JAGATの通信教育では「印刷業のための新入社員コース」「よくわかる印刷技術・基本コース」が該当する。

また、現場解決型として、特定部門の課題解決やレベルアップを目指して職業能力開発計画に通信教育を採用する。例えば、「印刷技術者トラブル解決」、「印刷技術者のための品質アップ講座」、「印刷現場の予防保全講座」などが候補となるであろう。

2)昇進昇格連動型:職務昇格要件として特定の通信教育の修了を義務付け、人事評価制度と連動させる場合、業務上の義務として受講させるため助成対象となる可能性が高い。
オフセット印刷技術者」、「印刷現場の予防保全講座」、「印刷営業の基本と実務」など、JAGATでは業界で唯一印刷業に特化した専門講座を開講している。

3)すでに人材開発支援助成金を利用している企業も多くあると思うが、その場合、職業能力開発計画書に通信教育を取り入れることで活用が可能であろう。

※なお、前記の通り受講者選択型(自己啓発型)は助成の対象にならない実施方法となる

 

以上、人材開発支援助成金の概要については厚生労働省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)は
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000997456.pdf
を参照していただきたい。

(CS部 橋本 和弥)

 

【関連情報】
・JAGAT通信教育 https://www.jagat.or.jp/cat4
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