コロナ禍における印刷会社新入社員の意識調査

掲載日:2021年9月7日


コロナ禍において新入社員はどのように厳しい就職活動をのり越えたのか。また、どのようなことを考えて入社してきたのか、新入社員意識調査アンケートの結果をご報告します。

JAGATでは毎年、「新入社員意識調査」を行っており、今年も東京・大阪開催のセミナーに加え、富山・愛知・岐阜・石川の各県印刷工業組合様のご協力をいただいた。以前は300名を超える回答があったが、今年はこれまでよりも少なく、244名の回答であり、ここからも、新型コロナウイルスの感染拡大が印刷業界の採用にも影響が及んだことがうかがえる。このような厳しい経済環境の中で新入社員はどのような就職活動をしてきたのか、また入社してからのやりたいことなどのアンケート調査を行った。

「学校求人」は使い分けられている
  まず、就職活動をする際に利用した媒体について聞いたところ、「就職ナビサイト」が51.5%、「企業の採用サイト」が23.8%とインターネットの利用が多い。これは近年の傾向であり、企業も自社の魅力を学生に伝えられるよう、より一層の内容の充実をはかる必要がある。一方で「学校求人」は53.2%であり、依然と利用している学生が多いようだ。(図1)


         (図1)就職活動で利用した媒体

 特に「専門学校・短大卒」と「高校卒」の利用が多く、企業も専門学校や高校との関係を作りながら「学校求人」を通して人材を募集するケースがある。

インターンシップは有効な企業アピールの場
 今年の意識調査から「インターンシップ」について聞いている。何らかの企業で1社以上のインターンシップに参加した経験の有無については、62.8%が「参加した経験がある」と回答した。
 また、印刷会社のインターンシップに参加した人の割合は23.9%であった。(図2)


(図2)印刷会社のインターンシップに参加者した割合

印刷会社が実施したプログラムの内容について自由の記述では、「パッケージの印刷会社で箱を組み立てた」「会社概要の説明を受けてから工場見学・質疑応答」「制作実習」「営業同行」などの印刷に特化した職場見学、職場体験が多かったようだ。 
 就活イベントがオンラインで実施されたものを聞いたところ、「会社説明会」が79.6%と多く、次に「個人面接」が73.2%で「合同説明会」が34.5%であった。学生もオンラインでの実施が良かったことについては「会社説明会」が63.2%と多く、次に「個人面接」が38.8%で「合同説明会」が26.4%であった。

若手社員が勉強できる環境づくりが大切
 今後、新入社員が教育プログラムとして関心のあるテーマは何かを聞いたところ、一番多かったのが「印刷技術」46.5%、「ビジネスマナー」40.4%、「デザイン」36.1%「営業/マーケティング」35.2」%となった。「印刷技術」は印刷会社で働く上で部署を問わず共通して知っておくべき知識と認識する人が多いことがうかがえる。これを基軸としてデザインやマーケティングという専門分野の知識を勉強していこうという人が多い。
 これに関連した質問で、これから伸ばしていきたいことについて聞いたところ、「マナー・一般常識」、「コミュニケーション能力」が多かった。この理由としては、「営業として大事だと思う」「仕事を円滑に行うために必要不可欠だから」などの記述が目立った。
 これらの質問から、新入社員の多くは印刷人として一般スキル、専門スキルという基礎知識を勉強するとともに社会人としてのビジネスマナーを身に付けて積極的に仕事に取り組みたいという姿勢がうかがえる。

新入社員は真面目でエキスパート志向
 入社した会社にどのくらい勤続したいかの問いには、一番多かったのが「定年まで」で25.6%、「10年以上」が23.1%、「6~10年」が18.1%で6年以上勤めたい人は66.8%であった。(図3)


(図3)入社した会社にどのくらい勤続したいか

一方で(株)マイナビが行った全業種向けの同様の調査では、6年以上勤めたいと思っている人は34.6%であった。比較的長く勤務したいと考える人が印刷業界の新入社員には多い傾向がうかがえる。その理由はもともと印刷に興味をもった新入社員が多く、入社してからやりたい仕事も明確に決めている人が多いからかもしれない。
 将来、経営幹部、管理職への昇進を希望するかの問いに対し「はい」が30.4%で「いいえ」が69.6%を占めた。昇進を望まないと回答した人の理由としては「あまり関心がない」、「責任ある立場を望まない」といった意見があるが、「専門分野のエキスパートを目指したい」人もおり、専門分野に特化して仕事に打ち込みたいと考えている人もいる。

有望な人材をどう育成するかが課題
 今年の新入社員が仕事を通して将来実現したいことや目標について意見を求めたところ、目についたのは改革意欲の高い意見である。「印刷工程の生産性を向上したい」「会社の新しいかたちを探し続ける」など、会社の体制を変えてもっと発展させたいという意見があった。会社経営者にとっては頼もしいことかもしれない。
 一方、厚労省の調査によると2017年3月に卒業した新入社員新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者39.5%、新規大卒就職者32.8%であると発表されている。
 会社は過去の退職者の理由を分析して、採用プロセスにおいて現実とのギャップを小さくするのと同時に、悩んでいる社員の気持ちをできるだけ聞き出して解決策を探ることも、離職防止と人材育成に必要なことといえるだろう。

 このように、新入社員は入社前から印刷に関連することを勉強して希望する職種も決めている人が多い。アンケートでもこれから教育プログラムとして関心のあるテーマとして多かったのが「印刷技術」である。しかし、入社時に勉強した技術の基礎知識も間違って理解していたり消化しきれていなかったりと不安を抱えているてる人もいるだろう。
 ここで入社して半年の時期に基本知識を再確認する機会を設けることは大切なことである。また、新人・若手社員にとってこうした機会は「心のリセットと頭のリマインド」といえる。それまで指示され・教えてもらう姿勢から、自らが考えて行動する自律性をもった業務遂行も期待できる。
JAGATでは10月5日から基礎知識を再度確認して早期戦力化を目的に「フォローアップ総合研修」を開催させていただく。企業人育成のための一環として、ぜひご活用ください。                                                                                                               

(CS部 伊藤禎昭)

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