2019年2月6~8日、page2019を開催いたします。 続きを読む
投稿者「中狭亜矢」のアーカイブ
「〇〇放題」の波はオーディオブックにもやってきている
音楽、雑誌、動画などで増えている定額制の波がオーディオブックにも広がっています。今回は、サブスクリプションでの提供やスマートスピーカーの普及によりユーザー数が増えているオーディオブックについて紹介します。
デジタルコンテンツの利用形態として広がるサブスクリプション
毎月一定の利用料を支払い、利用枠内で提供されているアイテムを制限なく利用できるサービス提供方式をサブスクリプションと呼びます。携帯電話事業者のソフトバンクが提供している「動画SNS放題」のCMを目にした方もいると思います(白戸家おとうさんが風呂敷に包まれてしまうやつです)。日本では「〇〇放題」という呼び方のほうがイメージしやすいかもしれません。
この〇〇放題型サービスは、Netflixやhuluなどの動画、AWA、Spotifyなどの音楽、dマガジン、ビューンなどの雑誌など、デジタル系サービスで広がっています。リアルでも洋服やバッグ、コーヒーなどで定額サービスが登場しており、人気を集めています。
ユーザーにとっては都度購入する手間がなく、たくさん利用すればかなりお得になる利点があります。サービス提供側にとっては毎月安定した収入が見込める、ファン育成に役立つといった利点があります。
オーディオブックでも定額制が増えてきた
最近ではオーディオブックでもサブスクリプション型で提供するサービスが登場しています。
オーディオブックとは、書籍をナレーターが読み上げた音声コンテンツを指します。昔はカセットテープやCDに録音されたものが本屋さんやCDショップで販売されていました。iPodなどの携帯音楽プレーヤーが普及してからはダウンロード販売、さらに最近ではストリーミング配信が一般的になっています。
音によるコンテンツは目や手を使わずに楽しめることから、「聴きながら何かをする」ことができるのが特徴です。オーディオブックを提供するオトバンクが2018年8月に公開した調査結果によると、オーディオブックを利用するシーンは移動中が58%ともっとも多く、ほか就寝前や家事の最中など何かをしながら読書する「ながら読書」が全体の9割を占めています。(オトバンクリリース)
サブスクリプション型を提供しているオーディオブック提供サービスは下記のようなものがあります。
audioboook.jp(オーディオブックドットジェーピー)
オトバンクが運営するaudioboook.jpは、2007年からオーディオブック配信サービスを運営しているオーディオブック老舗です。2018年からは月額750円で対象書籍が「聴き放題」となるプランも導入されました。会員数30万人以上、作品点数2万点(2018年発表)で国内最大級のオーディオブック配信サービスです。
Flier(フライヤー)
フライヤーが運営するFlierは、2013年に開始したテキスト型の書籍要約サービス。「ビジネス書を短く要約する」という選書&要約モデルで短時間に情報を得たいビジネスパーソンを中心に利用者を増やしています。無料ユーザーは月20冊が利用できるほか、月額500円、月額2,000円の有料プランを提供。2018年からは書籍でテキストを音声で読み上げるAIを活用して自動読み上げの音声コンテンツを提供するサービスを開始しています(9割ほどの書籍で提供)。現在会員数18万人(2018年4月)、2016年よりメディアドゥ傘下になっています。
Audible(オーディブル)
アマゾンが運営するAudibleは、2015年からオーディオブックの定額サービスを国内で開始。2018年からはコイン制に移行。月額1500円で月1冊購入できるコインが付与されるほか、追加料金なしで楽しめるニュースや落語などのコンテンツを配信するAudible Stationを提供しています。AIアシスタントAlexaとの連携も進めており、「アレクサ、(コンテンツのタイトル)読んで」というとダウンロード済みコンテンツを再生できるようになっています。
2019年はオーディオブックがさらに伸びる期待も
オーディオブックはアメリカでは大きな市場で、2017年オーディオブック売上は前年22.7%増の25億ドル(約2800億円)以上あります(Audio Publishers Associationのリリース)。オーディオブックは世界的にも伸びており、2018年10月に開催されたフランクフルトブックフェアでもオーディオブックのカンファレンスが開催されるなど、成長分野として捉えられています。
国内ではそれほどの規模はまだないものの、スマホアプリでの利用が後押ししてオーディオブック利用者数は伸びてきています。
最近では前述のFlierのようにAI音声版の作品もあります。通常は声優やナレーターを起用するコストがかかりますが、自動化することで制作コスト削減やスピード化が期待できます。現在はビジネス書が中心ですが、将来的には小説などでもAI音声版が提供されていくでしょう。
またスマートスピーカーの影響も気になるところです。スマートスピーカーの普及が進むアメリカでは、オーディオブック利用者のおよそ4人に1人はスマートスピーカーで利用しているといわれています(前述APAリリース参照)。国内でもスマートスピーカーが増えていくのに合わせてオーディオブックの利用がさらに増えていく可能性があります。
+++
デジタルデータで提供されている書籍という意味ではオーディオブックも電子化された書籍です。テキストから音声にフォーマットを変えることで、視覚的な情報がなくなった代わりに「目や手を使わずに楽しめる」という新しい価値を提供しています。今後は電子書籍と同様に、新しいコンテンツの楽しみ方として広がっていくでしょう。
(JAGAT 研究調査部 中狭亜矢)
関連イベント
音声コンテンツの市場とビジネス可能性~ボイスUI時代に訪れる3つの変化、3つのチャンス~
【11/29開催】スマートスピーカーの普及に伴い音声ユーザーインターフェイス(VUI)が注目されている。VUIの現状と可能性を理解したうえで、音声コンテンツの事例から今後のビジネス可能性を考える。
音声コンテンツの市場とビジネス可能性~ボイスUI時代に訪れる3つの変化、3つのチャンス~
【11/29開催セミナー】スマートスピーカーの普及に伴い音声ユーザーインターフェイス(VUI)が注目されている。VUIの現状と可能性を理解したうえで、音声コンテンツの事例から今後のビジネス可能性を考える。 続きを読む
スマートスピーカーの普及で注目が高まる「音声」操作とコンテンツ
Amazon Echoなどのスマートスピーカーが登場したことで、音声で操作するユーザーインターフェースや音声で提供するコンテンツに注目が集まっています。 続きを読む
新たな市場はどこにある「デジタル×紙×マーケティング」をテーマにJAGAT大会2018開催
2018年10月25日(木)、ホテル椿山荘東京にて「デジタル×紙×マーケティング」をテーマにJAGAT 大会2018を開催した。参加者は180名を超え、今年も当日発行の『印刷白書2018』をいち早く渡すことができた。 続きを読む
営業成果を高める展示会の活用法とは【特別講演会+ネットワーキングパーティ】
【11/14開催】シンフォニーマーケティングの庭山氏が効果的に名刺情報を活用するためのポイントを解説する。 続きを読む
JAGAT大会2018
JAGAT大会は、毎年開催している年に一度の会員大会です。2018年10月25日に開催する「JAGAT大会2018」では、これからの経営・マーケティング戦略について考えていきます。参加者にはJAGATの最新刊 『印刷白書2018』 をお持ち帰りいただきます。
IGAS2018のポイント
印刷会社からJAGATへ「何を買ったら良いですか?」的な質問が多い。その中で今後の印刷業に必要な知識、技術情報を選んで紹介する。 続きを読む
ZOZOTOWNの「ワンコインランチブック」に見る、新たな価値の生み出しかた
通販で発送する商品と一緒にチラシやカタログを送る同梱サービスは確実に手元に届くのが特徴です。ファッションECのZOZOTOWNが実施しているオマケについて紹介します。 続きを読む
人材不足時代をデジタル印刷でどう乗り切るか
JAGATでは印刷物で一番大切なことは「価値」だと考えています。
従来、印刷物で大事なことは品質だとか、正確さであるとか言われていますが、大事なことはビジネスモデルで有り、その結果生み出される価値であるという考え方です。
通常印刷業界では印刷物の価格を積算的に考えますが、こういう時代は終わった(つつある)と思います。原価や人件費、コストから逆算して価格を決める時代の終焉です。
その印刷物にどれだけの価値があるのかは、クライアント(世の中)が決めることで、結果論でこのチラシをまいたらこれだけ売り上げが上がったとか、ブランド価値がこれだけ上がったとかとかで、価値は決まってきます。その他の評価としては、その印刷物がどれだけ効果を上げたか?つまり、この印刷物がどれだけ役に立ったかで決まってきます。例えばマーケティング活動の中でリードナーチャリング(顧客を真の顧客に育てること)がありますが、この活動に「紙がどれだけ価値があるか?!」なんですが、正直これには効果が大きいと思っています。手を変え、品を変え、顧客がその商品を好きになるのに紙が果たす役割は大きいということです。今までだったらマス的にこの効果をとらえて、その内容を決定していたんですが、デジタルマーケティングと結びついた、デジタル印刷ならその個人に対して、ピンポイントにヒットさせることが可能です。データがかなり集まっている現在は、相当高い精度で効果が期待できます。(昔はプアな情報でしたが、インターネットになって劇的に変化しました。)
そういう時代になっていくときに、どのように印刷ビジネスをとらえるか?
皆さんに、率直に問いたいと思います。要するにデジタル印刷時代の紙の価値です。
JAGAT的に言うと「デジタル×紙×マーケティング」ということです。
そして何かしようと思っても、人材の問題が浮かび上がってきます。
IGAS2018期間中にビッグサイトで行われたDscoopイベントで、HPのIndigo責任者のアローンさんが、欧米ではアナログ印刷機のオペレーターを募集しても「なかなか若い人材が集まらない」と言っています。だからIndigoを6台も入れた。これは北米の大手印刷会社の例なのですが、日本でも特徴ある地方の印刷会社が言い始めています。「地方でやる気のある子はアナログ印刷にそっぽを向く」そんな話を最近色々耳にします。もちろん異論反論はあると思いますが、若い人が印刷に抱くイメージ、例えば若い女性が「活版印刷はとっても暖かくて大好きです。このカスレが特に良いですよね」なんて言うのを耳にすると、私は喜ぶというより「カスレねぇ・・・」と、やりきれない気持ちになってしまいます。また自分の職業を真剣に考えている若者と話して「アナログ印刷の技術習得って難しいんでしょ?!」「三年、イヤ五年かかるんですか?せっかく習得しても、我々が50歳くらいになった時にその技術が通用しますかね??」と懐疑的なことを言われてしまいます。もちろん、その場では真剣に印刷の素晴らしさを説くのですが、正直そういうことがあった晩、寝る前に考え込んで寝不足になってしまいます。
そういう風に悩む若者は紙好き、本好き、文字好きの人間なんで、デジタル印刷の可能性を、説明すると「印刷がそうなっていくのは自明ですよね」と非常に肯定的です。もちろん全ての若者が、行動を論理的に判断するわけではないのですが、雰囲気はこんな感じでは無いかと思います。全世界でアナログ印刷オペレーター不足が問題になっています。デジタル印刷ならアルバイトでも対処できるという理由もありますが、若者にとってこの「技術の将来性が、ピピッとくるイメージ」も非常に大きいと思います。特にビジネスモデルの話は真面目な若者ほど理解されると思います。
これから人材確保は死活問題になってきます。省力化や体力の要らないヘルプ機構はアナログ印刷システム維持のために考えていかねばならないと思いますが、人材面から観たデジタル印刷の魅力も見直す必要があると思うのです。
(JAGAT専務理事 郡司秀明)
関連イベント
8月22日(水) 10:00-11:30【講演会場A】
日本においてはこれから少子高齢化だけでなく、団塊世代のリタイアが進み、人材確保がさらに急務となります。その一方で、印刷会社におけるデジタル印刷機のオペレータは若年化が進み、女性のオペレータも増えているといいます。デジタル印刷機の導入に際し、品質面や価格面でのオフセット機との比較がある中、労働環境の変化という事象を鑑みた新たなデジタル印刷の可能性を模索します。


