出版・レポート」カテゴリーアーカイブ

印刷白書2023

印刷白書2023
印刷産業の現在とこれからを知るために必携の白書『印刷白書2023』
第1章 Keynote 創注→連携戦略
第2章 印刷産業の動向
第3章 印刷トレンド
第4章 関連産業の動向
第5章 印刷産業の経営課題
ご注文はこちら発行日:2023年10月31日
ページ数:128ページ
判型:A4判オールカラー
発行:公益社団法人日本印刷技術協会
定価:9,900円(9,000円+税10%)
JAGAT会員特別定価:8,300円(7,545円+税10%)

解説

印刷産業のこれからを知るために必携の白書『印刷白書2023』

あらゆる産業を顧客とする印刷産業は、さまざまな産業と密接に関わりを持っています。「印刷白書」では、印刷産業の現状分析から印刷ビジネスの今後まで幅広く取り上げています。

印刷・同関連業界だけでなく広く産業界全体に役立つ年鑑とするために、社会、技術、産業全体、周辺産業というさまざまな観点から、ビジョンを描き込み、今後の印刷メディア産業の方向性を探りました。

印刷業界で唯一の白書として1993年以来毎年発行してきましたが、2023年版では印刷DX、AI活用などの項目を追加しました。

印刷関連ならびに情報・メディア産業の経営者、経営企画・戦略、新規事業、営業・マーケティングの方、調査、研究に携わる方、産業・企業支援に携わる方、大学図書館・研究室・公共図書館などの蔵書として、幅広い用途にご利用いただけます。

「第1章 Keynote」では印刷会社の「創注→連携戦略」をテーマに、印刷ビジネスの課題解決に取り組んでいます。「第2章 印刷産業の動向」では印刷産業の現状と課題を俯瞰的に捉え、「第3章 印刷トレンド」では技術課題を整理しました。「第4章 関連産業の動向」ではクライアント産業の動向を探りました。「第5章 印刷産業の経営課題」ではSDGsから人材まで印刷産業が取り組むべき課題を整理しました。
印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、UD書体を使った見やすくわかりやすい図版を多数掲載し、他誌には見られないオリジナルの図版も充実させました。

CONTENTS

第1章 Keynote 創注→連携戦略
「創注」「連携」こそ、印刷業界の目指すべきこと

第2章 印刷産業の動向
[産業構造]多種多様な課題に応えて印刷ビジネスは次の地平へ
[産業連関表]あらゆる産業の需要に応えて生み出される印刷製品
[市場規模]市場の断続的な回復と再編 起業家精神の再獲得に向けて
[上場企業]企業価値向上に向けて変化を加速する上場印刷企業
[海外動向]持続可能性と社会最適化が求められる情報メディアビジネス
*関連資料 産業構造/産業分類・商品分類/規模/産出事業所数(上位品目)/産出事業所数・出荷額/調達先と販売先/産業全体への影響力と感応度/最終需要と生産誘発/印刷物の輸出入額と差引額/印刷製品別輸出入額/印刷物の地域別輸出入額/印刷物の輸出入相手国/経営動向/上場企業/売上高前期比・景況DI/生産金額(製品別)/生産金額(印刷方式別)/設備投資・研究開発/生産能力/紙・プラスチック/印刷インキ/M&A
[コラム]「あなたの色眼鏡は、何色ですか?」

第3章 印刷トレンド
[デザイン]印刷・加工技術とデザインで社会の課題に応える
[ワークフロー]オンデマンドビジネスを成立させるワークフロー 業界を超えた標準化で付加価値を高める
[オフセット印刷/デジタル印刷]真の印刷DX に向けてワークフローの革新を
[用紙]収益改善も需要低調な製紙業界、プラ代替品の需要動向に注目
[後加工]スマート化や新技術の進展で、新たな需要が期待される製本業界
*関連資料 設備投資の動向/フォーム印刷業界

第4章 関連産業の動向
[出版業界]産業再生に向けた出版構造改革 連携と標準化、DXの始動
[電子出版]市場規模は横ばいながらも電子書籍の普及・利用が進む 進化を続けるEdTech、電子図書館に注目
[新聞業界]メディアの使命を果たし続けるためのデジタルシフト
[広告業界]広告費は過去最高の7.1 兆円、インターネット広告は3兆円を突破
[DM業界]ターゲットとタイミングの精度を高め、高品質化と利用範囲の拡大が進むDM
[地域メディア]地域メディアの新たな展開と機能 広告主・読者・商圏の変容を受けて
[通信販売業界]通販・EC市場、10.9%増で初の12兆円超え カタログやテレビのコロナ禍特需は終焉迎える
*関連資料 出版市場/電子出版市場/新聞市場/広告市場/通販市場

第5章 印刷産業の経営課題
[SDGs]SDGs活動が生み出す新しい地方創生の形 印刷会社の役割、そして連携と共創
[地域活性化]デジタル田園都市国家構想は仕事づくりが中核に 高まるスタートアップへの期待
[経営管理]企業変革と社員の成長がリンクする組織マネジメント
[デジタルマーケティング]デジタルマーケティングは業務のデジタル化へ
[印刷DX]DXの推進と共創で創注型事業モデルへの変革を促す
[AI活用]顧客接点から製造・出荷までのワークフローにおける生成AIの活用
[労務管理]賃上げと労働生産性の観点から新たな労務管理を考える
[人材]越境学習がイノベーティブな人材を創る
*関連資料 クロスメディア/AI活用/人材

●巻末資料
DTP・デジタル年表/年表

2015年基準の「延長産業連関表」で印刷産業の調達先と販売先の変化を見る

印刷物の生産にどれだけのモノ、サービスが投入されているか。印刷物はどの産業にどのくらい購入されているか。2015年から2020年の推移を見てみよう。(数字で読み解く印刷産業2023その9)

取引額は年々縮小、プラスチック製品のみ増加傾向

「産業連関表」は国内で1年間に行われたすべての産業の取引を一つの表にまとめたもので、各産業間のモノやサービスの取引状況を金額で把握できます。

日本全国を対象とした「産業連関表(基本表)」は、10府省庁が共同で5年ごとに作成していて、「平成27年(2015年)産業連関表」(2019年6月公表)が最新のものです。

経済産業省は、この「産業連関表(基本表)」をベンチマークとして、「延長産業連関表」を毎年作成していて、2023年9月29日に「2020年延長産業連関表」が公表されました。2015年基準の延長表としては今回が最後となり、2024年には2020年基準の基本表として、「令和2年(2020年)産業連関表」が公表される予定です。

『印刷白書2023』では、2020年延長表を中心に、印刷産業の産業構造を見ています。

延長産業連関表(96部門表)の「013印刷・製版・製本」を列方向(タテ)に見ると、印刷産業がどの産業から1年間にどれだけの金額の生産物やサービスを購入しているか、行方向(ヨコ)に見ると、印刷産業の商品・サービスの販売先がわかります

そこで、「013印刷・製版・製本」の行列を金額の大きい順に並び替えて、取引額の大きい産業を「原材料等の調達先上位10産業」「販売先上位10産業」としてグラフにしました。2020年の上位10産業に関して、2015年からの推移を見てみましょう。

「原材料等の調達先上位10産業」を実質表で見ると、材料費、商業(卸売マージン額など)、同業者間取引が上位を占め、上位10産業で取引額全体の9割を占めています。

印刷市場の縮小を反映して2015年から2020年にかけての取引額はトータルで19.8%減となりました。特に「物品賃貸サービス」(産業用機械器具賃貸業、貸自動車業、電子計算機・同関連機器賃貸業、事務用機械器具賃貸業など)が2015年比40.3%減、「印刷・製版・製本」が同37.4%減と大幅に減少しました。一方、被印刷物の多様化を反映して、「パルプ・紙・板紙・加工紙」の同29.6%減に対して、「プラスチック製品」(プラスチックフィルム・シート、プラスチック製容器など)は同23.0%増で、10産業で唯一プラスとなりました。

得意先は 「金融・保険」「映像・音声・文字情報制作」「商業」 まで同規模

「販売先上位10産業」から印刷産業の得意先を見ると、「映像・音声・文字情報制作」(出版、新聞など)が長年首位を占めていましたが、2017年以降は2~3位に後退しました。代わって「金融・保険」と「商業」が1位もしくは2位を占めるようになり、構成比は3位まで同じ規模になっています。

2015年から2020年までの間に取引額はトータルで22.2%減となり、「公務」以外は2桁台の減少で、10産業すべてで減少しました。特に減少幅が大きいのは、「印刷・製版・製本」2015年比37.4%減、次いで「広告」同32.8%減、「映像・音声・文字情報制作」同31.1%減となりました。

10月末発刊予定の『印刷白書2023』では、産業連関表を使って、印刷産業の取引の流れを細かく見ています。限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

JAGAT印刷マネジメントブック2023

石版印刷から進化した「オフセット印刷」

NHK朝ドラ「らんまん」で万太郎の植物画を印刷した技術は、現在の「オフセット印刷」の先祖である。(数字で読み解く印刷産業2023その8)

印刷産業は、ポスター、カタログ、チラシなどの「商業印刷」から、紙器、軟包装材などの「包装印刷」、書籍、雑誌などの「出版印刷」、ビジネスフォーム、事務用品などの「事務用印刷」、プリント合板、壁紙などの「建装材印刷」、商品券、宝くじなどの「証券印刷」、さらに「エレクトロニクス」(テレビ、PC、スマートフォン、自動車部品、電子部品など)まで、さまざまな印刷物を作り出しています。広告、包装、出版、マーケティング、情報伝達など、その目的もさまざまです。

これらに対応する印刷方式はそれぞれ異なり、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、デジタル印刷などがあります。
現在最も幅広く使われている印刷方式は、平版を用いたオフセット印刷になります。平版(ほとんど凹凸がない版)に、水と油の反発を利用して絵柄部分のみにインキをのせて印刷する技術です。

資料:経済産業省「2022年経済産業省生産動態統計年報」
注1:従業者100人以上の事業所が対象。
注2:四捨五入の関係で内訳は必ずしも合計と一致しない。

NHK朝ドラ「らんまん」では、神木隆之介の演じる槙野万太郎が、精密な植物画を印刷するために印刷所で修業します。当時最先端だった石版印刷は、石の表面に墨で絵柄を描いて、水と油の反発を利用して、絵柄にのみ付いたインキを紙に写す技術で、18世紀末に発明されました。木版は凸版、銅版は凹版なのに対して、平版である点が画期的な発明とされました。

19世紀の中頃にシリンダー式の印刷機が製造されると、版の材質も石版から亜鉛版、アルミニウム版へと変化し、印刷方式もオフセット印刷へと進化していきました。ちなみにオフセットとは、版に付いたインキを一度ゴムの胴に転写(オフ)してから紙に写す(セット)からです。

ドラマ内では、新しい印刷技術の登場によって、彫師も摺師も消えてしまったという嘆きに対して、万太郎は「磨き抜かれたもんは決してのうならん。新しい場所に合うた形で変化し、もっと強うなって生き抜いていく。それが生きちゅうもんらの理ですき」と力強く語ります。

自分で描いた植物画を線の太さや筆遣いまで再現したいという万太郎の思いは、高精細印刷を生み出した印刷技術の進歩に通じるものがあります。
技術は変化してもその本質は変わらない。印刷産業は、これまでも社会のニーズの変化に対応して、印刷技術を応用・発展させてきました。これからも印刷技術に託された使命を果たしながら、変化し続けていきます。

JAGAT刊『印刷白書』では、印刷産業の動向把握に必要な公表データを網羅し、わかりやすい図表にまとめています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

Keynoteは“印刷業界の「創注」に向けた「連携」戦略”~『印刷白書2023』10月下旬発刊

業界初の白書として1994年に発刊以来、『印刷白書』は29年にわたり、印刷産業の動向把握に必要な公表データを網羅・掲載する唯一の存在である。最新版の『印刷白書2023』は、Keynoteを“印刷業界の「創注」に向けた「連携」戦略”とし、10月下旬の発刊に向けて鋭意制作進行中である。 続きを読む

2021年の印刷産業出荷額(全事業所)は4兆8555億円(「2022年製造業事業所調査」)

「2022年経済構造実態調査 製造業事業所調査」によれば、印刷産業出荷額は4兆8555億円、事業所数は1万3536、従業者数は25万2593人。(数字で読み解く印刷産業2023その7)

「工業統計調査」に代わる「製造業事業所調査」を公表

製造業を対象とする「工業統計調査」は2020年まで毎年実施されてきました。ただし、全産業を対象とする「経済センサス‐活動調査」の創設に伴い、活動調査の実施年(2012年、2016年、2021年)には工業統計調査は中止となり、活動調査の産業別集計(製造業)が公表されています。さらに2022年からは「経済構造実態調査」の一部(製造業事業所調査)として実施されることになりました。

経済構造実態調査は、5年ごとに実施する「経済センサス‐活動調査」の中間年の実態を把握することを目的に、2019年に創設されました。工業統計調査に代わる「製造業事業所調査」は今回が初の実施で、品目別・産業別・地域別の集計結果が7月31日に公表されました。

印刷産業の事業所数・従業者数・製造品出荷額等・付加価値額は下表のとおりです。

また、製造品出荷額等の都道府県別順位を見ると、東京都では輸送用機械器具製造業(構成比15.7%)に次いで、印刷・同関連業は2位で構成比10.3%を占めています。

品目別の産出事業所数を見ると、「オフセット印刷物(紙に対するもの)」(8544 事業所)が最も多く、主な都道府県は東京、大阪、愛知の順です。品目別の出荷金額では、「オフセット印刷物(紙に対するもの)」は9位(2兆6636億円)となっています。

また、同じ日に公表された「2022年経済構造実態調査」二次集計結果 産業横断調査(企業等に関する集計)によれば、印刷産業の企業等数・売上高・付加価値額は下表のとおりです。一次集計(速報値)より企業等数・売上高は少し減少しました。

「工業統計調査」と「製造業事業所調査」は厳密には連結しない

JAGAT刊『印刷白書』では、「工業統計」が全事業所での調査を開始した1955年からの長期データなどを、わかりやすい図表にして掲載しています。ただし、『印刷白書2022』では「経済センサス-活動調査」の公表時期の関係で、従業者4人以上の事業所のデータに限られたものでした。そのため、事業所数が2019年の2万から、2020年は9千に激減したのかという問い合わせもいただきましたが、全事業所の事業所数は13,335であることが昨年12月26日に公表されています。

現在準備中の『印刷白書2023』では、「令和3年経済センサス-活動調査 製造業(産業編)」と「2022年経済構造実態調査 製造業事業所調査」を利用して、過去の「工業統計調査」と連結させていきます。

ただし、「令和3年活動調査」と「2022年製造業事業所調査」は個人経営を含まない集計結果です。また、調査対象となる母集団も工業統計調査は独自のものですが、両調査は「事業所母集団データベース」を利用しています。そのため、過去の工業統計と単純に比較ができないことに留意する必要があります。

JAGAT刊『印刷白書』では、印刷産業の動向把握に必要な公表データを網羅し、わかりやすい図表にまとめています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

印刷産業の企業数は2.3万、従業者数は32.7万人(「令和3年経済センサス‐活動調査」)

「令和3年経済センサス‐活動調査 産業横断的集計」によれば、印刷産業の売上高は7兆7803億円、純付加価値額は1兆6845億円、企業数は2万2705、従業者数は32万6677人。(数字で読み解く印刷産業2023その6)

産業横断的に経済構造を把握

「令和3年経済センサス‐活動調査 産業横断的集計(事業所に関する集計・企業等に関する集計)」が6月27日に公表されました。
2020年の全産業の売上高は1693兆3126億円、純付加価値額は336兆2595億円となっています。2021年6月1日現在の企業等の数は368万4049企業、民営事業所数は515万6063事業所、従業者数は5795万人です。なお、国、地方公共団体を含む事業所数は528万8891事業所、従業者数は6242万8千人となっています。

「経済センサス‐活動調査」は全産業・全事業所を対象とした大規模調査で、産業横断的に経済構造を把握することを目的として、5年ごとに実施されています。
3回目となる「令和3年経済センサス‐活動調査」(2021年6月1日調査)は、2022年5月31日に速報が公表され、その後順次確報が公表されています。
製造業に関する産業別集計としては、9月30日に概要版、12月26日に品目編・産業編・地域編が公表されました。

今回の産業横断的集計(事業所に関する集計・企業等に関する集計)は、全産業に関する集計の確報です。
産業大分類別に企業等数を見ると、「卸売業、小売業」が74万1239企業(全産業の20.1%)と最も多く、次いで「宿泊業、飲食サービス業」が42万6575企業(同11.6%)、「建設業」が42万6155企業(同11.6%)で、上位3産業で全産業の4割以上を占め、第三次産業で全産業の8割弱を占めています。
売上高を見ると、「卸売業、小売業」が480兆1679億円(全産業の28.4%)と最も多く、次いで「製造業」が387兆606億円(同22.9%)、「医療、福祉」が173兆3369億円(同10.2%)となっていて、上位3産業で全産業の6割、第三次産業で全産業の7割を占めています。

2020年の印刷産業売上高は7兆7803億円

印刷産業について見ると、売上高は7兆7803億円(全産業の0.5%)、純付加価値額は1兆6845億円(同0.5%)です。2021年6月1日現在の企業数は2万2705企業(同0.6%)、従業者数は 32万6677 人(同0.6%)となっています。

JAGAT刊『印刷白書』では、「経済センサス」などのデータを、わかりやすい図表にして掲載しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

DTPエキスパート最新受験参考書発刊

DTPエキスパート認証試験は第1期試験から30年が経過し、第60期試験が8月27日(日)に実施されます。受験申請受付はすでに開始しており、8月3日が締切ですが、試験対策参考書『DTPエキスパート受験サポートガイド(10版)』を7月1日に発刊しました。最新カリキュラムに対応した改訂版で、本試験だけでなく更新試験にも役立つ受験者必携の書です。 続きを読む

DTPエキスパート受験サポートガイド 10版

DTPエキスパート受験サポートガイド  10版

発行日 :2023年7月1日
編著 : DTPエキスパート認証委員会
定価 : 2,700円+税 ※税込価格2,970円
判型 : B5判
ページ数 : 本文168ページ
発行 : 公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)
ISBN :978-4-88983-174-0

gochumon

 

本書は、JAGAT主催DTPエキスパート認証試験の最新カリキュラムに準拠し、最新の出題傾向を反映した例題と、その解説を中心にした受験参考書です。
オールカラーで豊富な図版を用い、出題の背景や意図、重要ポイントを理解したうえで、正解を得られるような解説をしています。
また、DTP、印刷技術、それらの周辺環境の知識、最新のデジタル印刷テクノロジーについても取り上げています。

 

CONTENTS

DTPエキスパート認証試験の攻略法

【1章 DTP】
和文書体の特徴
PCの文字・フォント環境
カメラと撮影
画像データ処理の計算
画像レタッチ
トーンカーブによる色調補正
DTP組版設計
和欧混植の組み方
縦組みと横組み
レイアウトソフトの機能と役割
Photoshopの基本操作
Illustratorの基本操作
オーバープリントと透明効果
校正・校閲・検版
Acrobatでのデータチェック
トンボの役割
PDFワークフロー

【2章 色】
色の混合
モニターと反射物の観察環境
LED照明と演色性
配色の基本
照明と色評価
カラープロファイルの進展
レンダリングインテントの実践
デバイスプロファイル
色差の表現方法
カラーマネジメント

【3章 印刷技術】
プロセスインキの濃度と色
UVインキ
写真の2色刷りと特色
スクリーニング、高精細印刷
色校正技術と最新事情
製本と面付け
洋製本
印刷物の表面加工
広色域印刷
スクラッチ印刷
デジタル印刷機
電子写真方式デジタル印刷機
インクジェット

【4章 情報システム】
インターフェース
印刷業におけるクラウド利用
Webフォント
InDesignと正規表現
CG
3Dプリンターとモデリング
デジタルサイネージ
Web to Print
データのセキュリティー
情報セキュリティー対策

【5章 コミュニケーション】
印刷用紙と規格
版面設計と文字の配置
印刷物とデザイン、はがき
デザインとレイアウトの評価
ユニバーサルデザイン
マーケティング
マーケティングオートメーション
購買行動プロセスモデルの変遷
デジタル印刷ビジネスの発展
デジタルオンデマンド出版
個別原価計算とスマートファクトリー
社会課題と印刷ビジネス
デザインに関する権利と保護
知的財産権
個人情報保護法

 

持株会社化が進む上場印刷企業

2023年3月期決算では、上場印刷企業18社のうち14社が増収、8社が増益を達成した。持続可能な社会の実現と企業価値向上に向けて、事業領域の拡大や持株会社体制への移行などが加速している。(数字で読み解く印刷産業2023その5)

3月期決算の4社に1社が最高益、印刷企業は8社が増益達成

2023年3月期決算の上場企業のうち、純利益が過去最高だったのは全体の4社に1社となりました。

日本経済新聞が5月19日までに業績を発表した上場企業を対象に集計したもので、純利益が過去最高を更新したのは526社(集計対象の25%)、2022年3月期の615社(同29%)を下回るものの、新型コロナ禍以降では2番目の高水準となりました。なお、会計基準や連結・単独決算の変更は考慮せずに単純比較したものとなっています。

2023年3月期決算の上場印刷企業18社では、14社が増収、8社が増益を達成しています。

上場印刷企業の2022年度業績も堅調

JAGAT『印刷白書』では、社名もしくは特色などに「印刷」とある企業を、上場印刷企業としています。各社の業績は決算短信と有価証券報告書で見ていますが、提出時期の関係で前年6月期決算から当年5月期決算までを当年度としています。

『印刷白書2021』までは34社が対象でしたが、トッパン・フォームズが凸版印刷の完全子会社化により2022年2月25日付けで上場廃止となったことから、『印刷白書2022』では33社となっています。

上場印刷企業の2022年度業績を見ると、TAKARA&COMPANY(5月期決算、7月上旬決算短信発表予定)を除く32社の売上高合計が3.9兆円(前期比6.2%増)で、増収22社、増益14社と堅調です。

社名変更で「印刷」が消える

凸版印刷は2023年10月1日付けで持株会社に移行し、社名を「TOPPANホールディングス」に変更します。全体再編に先駆け、同社のセキュア事業とトッパン・フォームズの事業を統合した「TOPPANエッジ」を4月1日に設立しました。さらに凸版印刷の主要部門を母体とする「TOPPAN」と、トッパングループ全体でのDX 事業推進を牽引する「TOPPAN デジタル」を10月1日に設立します。

祖業である「印刷」を社名から外すことに関して、同社は「今後さらなる事業ポートフォリオ変革を推進していく意思を込めて、既存の事業領域を規定する『印刷』を含めない商号としました」としています。

このニュースは印刷業界のデジタルシフトの本格化を示すものとして受け止められましたが、社名から「印刷」が消えた印刷会社は、凸版印刷だけではありません。印刷事業からスタートして、事業領域の拡大を反映して、社名変更した印刷会社は少なくありません。

上場企業だけを見ても、1970年にナカバヤシ(旧:中林製本所)、1972年に総合商研(旧:総合印刷)、1976年にカワセコンピュータサプライ(旧:川瀬紙工)、1986年にセキ(旧:関洋紙店印刷所)、1987年にトーイン(旧:東京印刷紙器)、1989年にマツモト(旧:松本写真印刷社)、1990年にサンメッセ(旧:田中印刷興業ほか)、1991年に中本パックス(旧:中本グラビヤ印刷ほか)、2000年にウイル・コーポレーション(旧:わかさ屋情報印刷)、2006年にプロネクサス(旧:亜細亜証券印刷)、2017年にNISSHA(旧:日本写真印刷)が、それぞれ現社名に変更しています。

また、持株会社化で社名が変更になったのは、2012年のウイルコホールディングス(旧:ウイルコ)、2015年の日本創発グループ(旧:東京リスマチック)、2019年のTAKARA & COMPANY(旧:宝印刷)、2021年の広済堂ホールディングス(旧:廣済堂印刷+関西廣済堂→廣済堂)、2022年10月のKYORITSU(旧:共立印刷)、2023年 4月の竹田iPホールディングス(旧:竹田印刷)の6社です。それぞれの子会社として、ウイル・コーポレーション、東京リスマチック、宝印刷、広済堂ネクスト、共立印刷、竹田印刷が情報ソリューション事業を継続しています。

『印刷白書2023』は10月下旬発行を予定しています。上場印刷企業33社の分析では、事業展開の特色と売上高構成比、個別業績による規模・収益性・生産性・安全性・成長性、連結業績による設備投資総額・研究開発費、キャッシュフローバランスなどを比較します。

限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)