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PrintSureを活用したオンライン入稿データ管理

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:PrintSureを活用したオンライン入稿データ管理

 

 東京カラーフォト・プロセス株式会社

 営業統括本部長 高木 尚之 様  班長 倉内 誠 様

 東京カラーフォト・プロセス株式会社(東京都新宿区市ヶ谷)は、昭和39年創業の印刷全般の総合プリプレス企業です。平成5年にはデジタル部門として「Cloud Nine」が、平成16年からは「Digital Shop CLOUDNINE」(東京都新宿区新宿)としてリニューアルオープンしています。
 制作部門の若松町事業所とはMacOS Xサーバでデータを共有し、オンラインデータ入稿を「PrintSure」を使って行っています。

 

◆サーバでつなぐ2つの事業所

 同時に何冊もの月刊誌を中心に制作物を扱う東京カラーフォト・プロセス株式会社では、ワークフローの管理用にPDFワークフローマネジメントシステム「Prinergy」を使用しており、何が現在どこまで進行中なのか一目で分かるようになっています。プリプレス生産管理支援システム「Konica NeoStream Pro」とVPJのオンラインデータ入稿ゲートウェイサーバ「PrintSure」の組み合わせで、ワークごとにセキュリティ、アクセス権を管理しています。
 入稿から印刷までの流れは、まず、「PrintSure」経由でサーバへ入稿され、CLOUD NINE事業部の営業が入稿データを把握し制作に流します。組版されたデータはPrinergyでアウトラインPDFにされ、印刷工程へと流されます。「現在の所、若松町事業所にある制作側でPrintSureを使っているとはいえ、従来のサーバへデータが入ってくる時との大きな違いは感じていません。それゆえ、違和感無く作業は進んでいます」(若松町事業所:三角氏)

 ◆「PrintSure」導入するきっかけ

出版社/印刷会社向けのデータ入稿システムとして「PrintSure」を2006年7月から稼働させています。
ますますデータ入稿が増えてくる現状を踏まえ、データ入稿における基準が作りたかったのです。どういったデータがいつ入っているのかを担当者が管理しなくてはなりませんし、制作と営業の拠点が離れているので、電話で「サーバにデータを入れました」という一言では現場も混乱します。
 雑誌制作では記者、デザイナーがそれぞれいろいろなデータをサーバに入れます。そのため、いつ、どのデータが入って来て、足りないのは何か、営業がそれをとりまとめるのが大変でした。社内にいてサーバの中身を見ないと、詳細は把握できません。一つの雑誌制作にはけっこうな人数が関わりますし、それを「ネーム」「レイアウト」と「素材」と、まとめていかなくてはいけません。
 求めていたのは入稿時に必要な情報を入れられて、入稿されたことがすぐ担当に通知される仕組みでした。そして、メール添付やAFPサーバ経由並に、だれでも簡単に入稿できるものであることが重要でした。
 最近は完全データ入稿が増えており、Illustrator、QuarkXPressなどの完全データ入稿で、チェックして面付けし、フィルムを出しておしまい、という自動的な流れができています。雑誌によっては、8割方が完全データ入稿をしています。将来的にPDF入稿になってもそのまま「PrintSure」で対応できます。データの種類によって入稿システムが違うのは混乱の元ですので避けたい所です。現状のワークフローの問題点を解消することはもちろん、将来的なワークフローの構築もできる点も「PrintSure」を選んだ理由です(CLOUD NINE事業部:高木氏、倉内氏)。

 

◆期待する変化

メールや無料ファイル転送サービスなどを使った入稿のトラブルが絶えず起こっており、その都度、再送をしてもらうのですが、最初からファイルが壊れていたのか、転送方法に問題があるのか、受け取った側では判断できないため、無駄な時間を取らせてしまうこともありました。「PrintSure」では、Macのファイル形式に完全対応しているのでそういった問題が無くなるといいですね(倉内氏)。

 

◆実際に稼働してみて

「雑誌名」「担当者名」「ページ名」「種類」などを簡便に入力できるようにして入稿側の負担を増やさないように工夫しています。そして入稿があったら担当営業と制作部門にメールが届くようにしてあり、素早い対応ができます。
 実際に、PrintSureを使ってデータが入って来た際のメール通知をとおして見てみると、ぽろぽろと頻繁にいくつもデータ追加や「間違えたので差し替えてください」などと、何度も入れ替えていたことが、今回になって分かりました。今までのように一つのサーバでやっていた時と、イメージが違いましたね。サーバにどんどん入れられていた物が、今までどうなっていたか分からないですね。正直こんなに差し替わっているとは思わなかったんです。今は履歴が残るので、差し替えたのがいつで、何かが、はっきり分かるようになりました。データの流れは完全な一方通行なので、いつの間にか差し替わっていることも無くなり安心です。営業側からは、こういうのが欲しかった、という声もありました(倉内氏)。

 ◆コミュニケーションの変化

 従来はMOなどでの入稿が基本でしたので、営業が取りにいく時に用件を聞いたりしていましたが、AFPサーバを使うようになってからも、「いつに入れました」というような連絡などの直接的なコミュニケーションは取っていました。
 今ではPrintSure上で、データを送信する時に入力する品目やコメントなどの情報だけで済んでしまうため、逆にコミュニケーションが無くならないだろうか? という不安感は無くは無いですね。
 土日に営業が居ないこともあるし、メールでの通知を見ることで、データを入れてくれているのだな、ということは把握できるようになり、フォローはすぐできるようになりましたよ(高木氏)。

 

◆今後の展開

 印刷も着実に進化しており、フィルムからCTPへと移り変わりつつあります。今まで4台稼働していたフィルムセッタも、現在は2台だけの稼働になっています。
PDF/X-1a形式などのPDF入稿から、アウトラインPDFを書き出して印刷、という流れの印刷工程になると、仕上がりまでの時間も短縮されるようになります。制作・印刷工程では、PDF入稿が増えるということは、作業が簡略化されていくためには、ありがたいことではあるけれど、出版社がPDF入稿をするに至るまでには、編集部側でのPDFフォーマットのスキルが必要になってきます。その基盤が育たないと難しいでしょう。PDF入稿も今現在まだまだ1~2割を数えるほどで、増えて行くにはこれから少し時間がかかるのかもしれません。これからは、PrintSureでの必要条件を満たしているかどうかPDFをプリフライトチェックしてくれる機能に期待しています(三角氏)。

 

このソリューションレポートは、ビジュアル・プロセッシング・ジャパンが発行する無料情報誌「VPJNews」に掲載されております。

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■関連情報
 東京カラーフォト・プロセス株式会社
 【CLOUD NINE 事業部】
   〒160-0022 東京都新宿区新宿1-30-16
ルネ新宿御苑タワー1F
  TEL 03-3354-3343
  URL http://www.cloud-nine.co.jp/
【市ヶ谷本社】
   〒162-0056 東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
  TEL 03-3235-1474

株式会社 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン
 印刷・出版システム事業部
  東京都渋谷区南平台町16-25 養命酒ビル11階
  TEL 03-5784-1180 FAX 03-5784-1184
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『プリンターズサークル』2006年9月号より

ソリューションレポート募集中

(2006年10月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スクリーン印刷機でも拡大

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:スクリーン印刷機でも拡大

 

 印刷業界は価格競争が厳しく、特殊印刷や特殊加工を施すことで、印刷物の付加価値を高め他社との差別化を図るために、スクリーン印刷技術を利用することで、インパクトの強い提案が可能になる。 スクリーン印刷機、オフセット印刷機を扱うメーカー販社で、特にスクリーン印刷については業界トップメーカーとして知られる桜井グラフィックシステムズのショールームで、実際の印刷サンプルを参照しながらスクリーン印刷の技術とその可能性についてお話を伺った。

会社の沿革と主力製品について

1928年東京日本橋において紙商として創業。1946年(株)桜井製作所を設立し、1961年には営業部門である桜井機械販売(株)を設立。1992年に両社を合併し、現在の(株)桜井グラフィックシステムズになった。1964年よりスクリーン印刷機の開発に着手し、現在の主力製品は中型多色オフセット印刷機と自動スクリーン印刷機である。同社のスクリーン印刷機は、工業用途のみならず商業印刷分野でも広く利用されているバキュームシリンダー方式の自動枚葉機である。以前は欧米も含め、多くのメーカーが競合していたが、最近では世界市場で見てもほとんど独占的に製造販売している。主力のマエストロシリーズの原理は、活版印刷機に使われていた一回転ごとに停止して用紙を印刷胴へ咥え込むストップシリンダー方式である。もう一つの方式は、1964年の製造開始以来創り続けている印刷吸着胴が往復運動を繰り返す方式の「SC-AⅡシリーズ」である。

 

スクリーン印刷技術の多様性

スクリーン印刷機は、かつて陶磁器の転写紙製造に大きな役割を果たした。現在でも陶磁器の絵付けのための転写紙は、サクライ製のようなシリンダー式スクリーン印刷機での印刷によっている。しかし現在は、より広範囲の仕事に利用され、シートものなら何でも印刷が可能であるという利点が生かされ、シリンダー式スクリーン印刷機はさまざまな工業分野で利用されている。 また、シルク(スクリーン)印刷という呼び方も、印刷の版になる紗(スクリーン)に、今ではシルク(絹)は使っていないので次第にスクリーン印刷に統一されている。原理的に布を通してインキを出すため、物理的にスピードや機械形状などに大きな変化をとりにくい分野でもあるが、インキの消費量が多く、印刷皮膜が厚いことに特徴がある。そのことで、厚みが必要なものへの印刷を可能にし、オフセットの後工程で装飾を施したり、工業部品などにも採用されたりする理由でもある。特に電機業界で、非常に多く利用されており、圧膜ICのような微小なものから60インチから100インチ近くのプラズマディスプレイパネルのような大きなものを印刷するスクリーン印刷機械を使用しているメーカーもある。

 

最近の傾向として、ブックカバーへの利用や電車の中刷り広告などの利用も増加している。オフセットだけでなく、部分的にスクリーン印刷の併用で蛍光色を施すなどの工夫を加えることで、店頭に並ぶ書籍や電車など公共の場で目立たせることができる。ポスターなどでは、UVクリアーインキなどで印刷物の一部を盛り上げたりという装飾を施すケースもある。また、同じ原理で証券類、紙幣など偽造防止用にスクリーン印刷を利用するということも広く知られている。

 

最近、利用が多いのは遊戯機械関係(ゲーム機)の仕事である。この分野の製品はプラスチックフィルムにインキ皮膜を比較的厚く印刷するため、スクリーン印刷である必要が多分にある。オフセット印刷だと被膜が薄いため透き通ってしまうが、スクリーン印刷だと厚みが出てプラスチックフィルムの透過を防げるので、より人の視覚に訴えることができる。スクリーン印刷では、幾重にも重ねて印刷できるので、重ねる回数が多いほどビジュアル効果が出てくる。オフセット印刷ではこうしたことができないため、ゲーム関係の印刷のほとんどがスクリーン印刷である。また、絵画の複製の作成でも多回数のスクリーン印刷の刷り重ねでより忠実に再現することができる。

 

サクライ全自動シリンダースクリーン機はこのほか、ビデオ、DVDのケースに使われるポリカードネートやポリプロピレンなどの硬い素材にも使われる。サクライシリンダー印刷機は、素材の厚みにおいてもコンマ0.05mmぐらいから1ミリぐらいまで対応できるので幅広い分野での利用が可能な所以である。

●記事に関する問い合わせ先
 桜井グラフィックシステムズ(株)
 東京営業部 澤田・郷原
 〒135-0032 東京都江東区福住2-2-9
 TEL 03-3643-1131 / FAX 03-3643-1138
 E-mail information@sakurai-gs.co.jp
 URL http://www.sakurai-gs.co.jp/

『プリンターズサークル』2006年7月号より

 

(2006年8月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

伝統と先進技術の融合でお客様の立場に立った印刷物を提供

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:伝統と先進技術の融合でお客様の立場に立った印刷物を提供

 

 

 代表取締役社長 丸山恵右氏

 丸山印刷株式会社(本社:兵庫県高砂市)は、1914年(大正3年)創業、従業員数210名の歴史ある総合印刷会社である。主な製造品目は、カタログ、パンフレット、チラシ、カレンダーなどの商業印刷物を中心に、商品ラベルなどの包装資材、ビジネスフォームなど広範囲に及び、環境保全にも配慮した顧客密着型の企業である。
いち早く先進技術を取り入れることにより製品の品質を高め、顧客へのサービスを品質保証と環境保全の両面から実現している。1999年にはCTPプレートセッターKodak Trendsetter(トレンドセッター)をいち早く導入。現在は、2004年にKodak Prinergy(プリナジー) ワークフローシステムと同時に導入したKodak Lotem(ロテム)とサーマルCTPプレートKodak ExThermo(エクスサーモ) TP-Wの組み合わせで、毎月5000版前後のCTPプレートを出力している。同社は常に、お客様の声をお聞きして、より良い印刷物の企画・提案を続けてきた。その成果として、現在では、年商数十億もの売り上げの企業へと成長した。
 本稿では、こうした同社の実績と今後の取り組みについて、代表取締役社長 丸山恵右氏、専務取締役 丸山元氏、製版部部長 福本祥克氏、製造部部長 北野芳朗氏にお話を伺った。

常に時代の流れに合わせた最新技術を導入

 同社は、創業時の活版印刷から、着実に事業を拡大させながら歩んできた。
なかでも1958年、MU式カーボン印刷を共同開発したことが大きな転機になった。この技術は、従来のカーボンペーパーによる手法から、印刷用紙裏面に直接カーボンを印刷する複写方式である。複写事務の能率を大幅に改善するものであり、この方式は現在も使われている(実用新案 昭33-12509)。
1966年にプロセス製版工場を建設、1996年には製版のデジタル化への移行を完了するなど、常に最先端の技術に取り組んできた。自社工場内にプリプレス工程をすべてもっていたので、早期のデジタル化への取り組みが可能であったと言う。

デジタル化により生産性が大幅に向上

 同社では、企画・デザインからDTPを中心としたプリプレス工程、CTP、印刷、製本、加工、納品までを行っている。取り扱う製品も幅広く、品質、価格はもちろん、短納期に対応することで顧客ニーズにこたえている。
 製造工程では、プリプレス設備としてMacintoshを始め、インクジェット・レーザープリンタ、フラットベッドやドラムスキャナがある。PDFワークフローサーバPrinergyを中核に、DDCP(Direct Digital Color Proof)のKodak Approval(アプルーバル)、CTP出力機Trendsetter、Lotemが使用されている。さらに、枚葉オフセット印刷機やUV枚葉オフセット印刷機、ラベル用凸版輪転機、ビジネスフォーム印刷機を始め、さまざまな印刷物の加工に対応するためのポストプレス設備も多々導入している。
PrinergyシステムをセンターRIPに位置付け、Print ready PDFを運用することで、CTPプレート出力はもちろん、プルーファへの出力などを行い、正確なプルーフの提供と効率化した安定生産を実現している。
いち早く、CTPシステムを導入し、プリプレス側から出力されたCIP3データを印刷機にオンラインで指示するシステムを活用していた。これにより、印刷時の色バランスを瞬時に解析し、色合わせに費やす時間を短縮すると同時に、色合わせ時のロス紙を削減するなどの効果を上げてきた。
また、2台のCTPシステムは、時差出勤による勤務体制(7時~23時)で、目標値の月産平均5000版を上回る稼働を続けている。
 福本氏は、「クライアントとの校正のやり取りやデータ修正で下版が遅れることはあるが、プリプレスワークフローにおいて、システム上のボトルネックはない」と語る。
 本機校正、平台校正、DDCPのApproval、カラープリンタ、リモートプルーフによる校正手法を、印刷品目によって使い分けている。Approvalやカラープリンタ、リモートプルーフなど、デジタル出力機は標準印刷物を基本としたApprovalをターゲットに、ICCプロファイルによってカラーマネジメントされている。
 定期的なキャリブレーションによって、どのようなプルーファで出力しても色のバラツキが基準内になるよう管理しているため、リモートプルーフでもある程度の色の校正が可能である。最近では、営業担当に目標値を設定してアナログの校正刷りからDDCP、カラープリンタ、リモートプルーフなどのデジタル校正へ積極的に移行を促進している。 福本氏は、「本社と各営業所をVPN(Virtual Private Network)で接続し、色が管理されている同型のプリンタを用いてリモートプルーフを行っているため、距離感なく仕事ができる」と言う。
さらに、デジタル検版機やセキュリティ関連システムも積極的に導入するなど、クライアントの信頼を勝ち得るためのツールを駆使している。そのため、地方自治体の発行する証明書や金券、商品券などの印刷を指名されることも多い。

 

こだわりの品質を提供する-Kodak Staccato(スタッカート)スクリーニング

同社では、従来からの高精細印刷(300lpi)に加え、Kodak Staccatoスクリーニング(FMスクリーニング)によって、モアレ、ロゼッタパターンなどの問題を解決しつつ高度な印刷品質を実現している。
 北野氏は、「Staccatoを使用すれば、滑らかな階調表現など印刷品質が向上するとともに、インキが乾燥しやすいなど効率化が図れ、インキ使用量の削減による経済性へも寄与する」と評価している。
 「高精細印刷の代わりに使用しており、細かい線や文字がある印刷物、アパレル関係などモアレが発生しやすい印刷物などでStaccatoは威力を発揮している」と続ける。 今後は、Staccatoスクリーニングによる印刷を付加価値印刷と位置付け、より戦略的な武器としても有効活用すると言う。
また、近年UV枚葉オフセット印刷機(A2判6色+コーター)を導入した。 北野氏は、「UVオフセット印刷によって、フイルム、プラスチック素材などの特殊素材への印刷に拡大し、より幅広い製品の提供ができるよう努力している」と言う。
この印刷機では、光沢部分とエンボス部分の質感を同時に再現し、今までにないメリハリの効いたユニークな仕上げが可能となる。このような表面加工を提案し、あらゆる面で差別化を図ろうとしている。
 北野氏は、「CTPによって版の管理が容易になったので、今後は温湿度などの印刷環境やインキの見極め、印刷機のメンテナンスがより重要な要素になる」と言う。

品質保証と環境保全により安心できる印刷物の提供

 同社はお客様に役立つサービスの提供を企業理念に掲げ、印刷物としての品質保証はもちろん、環境マネジメントシステムの国際規格「ISO 14001」においても、兵庫県下の印刷企業として初めて認証を取得する、地元企業のパイオニアとしてリードする存在である。 また、品質管理や個人情報保護活動の一環としてISO 9001:2000、プライバシーマークの付与認定、さらにFSC森林認証制度の「FSC COC認証」を取得するなど、品質保証と環境保全の両面を考慮した印刷物製作を行っている。 丸山社長は、「当社は、品質・価格・納期の3要素はもちろん、法律を順守しているため、どこでどのように製造、印刷したものか自信をもって明記できる。そのためお客様に安心していただける製品を提供できる」と、同社の顧客への姿勢を強調した。

お客様を始め、地域からも信頼される企業であり続けるために、さらなる進化

 本社は、正門から敷地内へときれいに整備され、社屋内の管理部門から製造部門おいても整理・整頓が行き届き、改善意識のしっかりとした企業であることが実感できる。本社工場では、各部署をガラス越しに見渡すことができ、風通しの良い職場の雰囲気を作り出していることも特徴の一つである。
また、時差出勤による勤務体制で効率良く仕事を流せるよう工場内では、製造物が西側から東側に流れて配送システムに至るよう一貫した生産ラインを構築するなど、生産効率を上げる工夫が随所に見られる。
お客様に役立つサービスの提供を理念とする同社は、印刷事業以外にも、印刷物製作のためのデータやCG、3Dなどの技術を活用した電子カタログ(CD-ROMなど)制作、データの2次利用の企画提案・システム開発、ホームページ制作、コンテンツ制作・一括管理サービスなどのマルチメディア事業も手掛けている。 ワンソース・マルチユースをベースに、印刷から電子カタログにとどまらないWebサイト構築までの一括管理を担い、制作コストの軽減やサポート強化を図り、何でも頼める会社であることをセールスポイントにしている。
また、金具を使用しないエコカレンダーや型抜き製本加工「ワンダフルカット」など、ユニークなサービスも展開している。
 丸山社長は、「厳しい価格競争の環境の中、Staccatoを始めとした前述のプラスαを評価していただき、今後もお客様の信頼を得られるサービスを提供し続けていきたい」と、今後の抱負を語った。また、「従業員の多くは地元の住民であり、大切なステークホルダーである。地域で操業するには、このステークホルダーを大切にしなければならない」と締めくくった。

 
会社概要
・会社名 丸山印刷株式会社
・代表取締役 丸山恵右
・所 在 地 兵庫県高砂市神爪1丁目11-33
・資 本 金 47,500,000円
・従 業 員 約200名
・本社・工場 工   場 TEL.079-432-1511 / FAX 079-431-1040
 本社営業部 TEL.079-432-1515 / FAX 079-432-7046
 事 業 所 神戸営業部 〒651-0085 神戸市中央区八幡通1丁目1-12
         TEL.078-251-4141 / FAX 078-251-3147
          大阪営業部 〒530-0042 大阪市北区天満橋1丁目4-16
         TEL.06-6358-5331 / FAX 06-6358-5341
      東京営業部 〒104-0033 東京都中央区新川2丁目1-10
         TEL.03-3553-7951 / FAX 03-3551-6269
クレオジャパン株式会社 TEL 03-5259-9300
コダック ポリクローム グラフィックス株式会社 TEL 03-5282-1541
http://graphics.kodak.com/

『プリンターズサークル』2006年10月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2006年11月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

デジタルプレスとクロスメディアにより印刷の未来をつくる

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:デジタルプレスとクロスメディアにより印刷の未来をつくる

 

朝日プロセス株式会社
クロスメディアと最先端の技術で印刷の未来を加速

 

 同社は、昭和50年に製版会社として創業し、業界でもいち早くコンピュータ化を行い、コダック社のデジタル印刷機Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)をかなり早い時期から導入した。本稿では、同機の提供するソリューションはもとより、一代にして創業し、製版業界トップにまで会社を成長させ、今やなお勝ち続ける、豊泉社長であるからこその言を伺った。

ネクスプレス導入契機とその効果

 同社は、マッキントッシュの導入など、デジタル化への設備投資など、生産性向上に早くから着手してきたことが成功の要因である。コダック社のネクスプレスを導入したこともその一つである。パソコン上で作成したコンテンツをフィルムや人員を介さずにダイレクトに出力できることに目を付けた。ネクスプレスが開発される前から、待ち望んでいた機械でもあったとのこと。また、製版業界が競争時代を迎えるに当たり合理化に踏み切ったことも、勝ち続けていることの理由と語る。「ネクスプレスのようなデジタル印刷システムを導入しない会社は、製版業自由競争時代に勝ち残れない」とまで豪語する。
ネクスプレスを選んだのは、用紙を限定しないこと、表裏が同時に印刷できること、多様な紙の種類に対応しデザイナーの要求どおりの紙を使用できることなどが挙げられる。また、色再現性は、コンテンツの有する色を再現するという使命を十分に果たし、必要十分であるとのこと。

Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)ならではのシステム

 コスト面で言えば、カウンター料金がゼロであることが大きい。つまり、試し刷りに要する枚数や損紙などがカウントされないため、メーカーには、無駄なカウンター料金を払うことがない。そのため、ユーザー側の利益が生まれるシステムになっている。印刷という仕事は、より良いものを作ろうとなると、刷り直しを要し、試し刷りにヤレを出さなくてはならない。そのため、余分な紙を使い消耗品にも費用がかさむ。インキも当然、残業代や光熱費も払うという多重なコストが発生することになる。それを考えるとカウンター料金ゼロというのは、ユーザーの立場を考えた当然のシステムであると語る。

デジタル印刷機は将来展開に不可欠

デジタル印刷機は、例えば、海外で行われたスポーツの試合結果を、通信によって各国にデータを送り、その2時間後には世界各地でカラーの新聞を手にすることができる。こうしたことができるのは、ネクスプレスのようなデジタル印刷機が生まれたからこそである。即時性が高いのは当然ながら、最新の情報を世界中の人たちと共有できるのが、大きな利点である。オフセット印刷機も使ってきたが、工場の環境など、機械性能以外の不安定要素もあり、完全自動化による無人運転は不可能である。工程管理には、どうしても人を要するのである。ネクスプレスは、無人運転ができ、オフセットと比べ、広いスペースも要さず、同社では社屋の5階に設置している。短納期要求が高まる中、ロットの少ないものや、サイズの小さいものはすべてデジタルに置き換わると予測する。

 

超一流だからこそできる総合力の実現

 同社では、早くにクリエイティブ部門と写真スタジオを社内に設置した。川上部門をもたなければ競争に勝てないと思ったのである。ただ、ネクスプレスを導入したからといって競争に勝てるわけではない。今や、企画提案からデータ作成、出力までを一気通貫で行い総合的に仕事を請けなければ、自由競争時代に取り残されると予見していた。それには、各部門に優秀な人材と最高の設備を配し、各部門が超一流でなければ総合力は生まれない。ネクスプレスも一流であるからこそ選んだ。目先の利益を優先せず、導入効果が現れるまでの先行投資として考えた。今では、投資費用対効果としての見返りは十分と語る。

デジタルとアナログの有するメリットを複合展開

 同社では、デジタルとオフセットの長所を生かしながら使っている。納期、品質、ロット、使用目的など、お客様のニーズによってどのやり方が良いかを提案している。最近では、デザイン会社や企画会社からの受注が多い。ネクスプレスの仕事としては、バリアブル機能を生かした仕事が多く、DMを始めバーコード、QRコード、連番チケットやカードゲームの番号などというのもある。「わが社では、お客様とは常に対等の立場で提案し、一緒に利益を出そうというパートナーシップの考え方をもって営業している」と豊泉社長は語る。
 同社のスローガン「クロスメディアと最先端の未来と印刷の未来を加速します。」の意味するところは世の中が通信ということを複合してさらに進化していくこと。印刷だけにこだわるのではなく、何かの社会事象や催しがあれば印刷物も作られる。そうなれば、印刷という概念もメディアの一つであり、通信やデジタルで想像以上に印刷メディアは進化していくことになる。これも、豊泉社長だからこその未来思考的な着眼点があるからこそである。

 

NexPress 2500デジタルプロダクション カラープレスの真価を探る

 デジタル印刷機は、各社とも余念なく技術開発に取り組み、ビジネスモデルの立ち上げなど、既に市場を確立したといえます。この度は、コダック社より発表されたカラーデジタル印刷機Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)の新機種について、その真価を探るべく中央区新川のショールームにおいて、ネクスプレス ソリューションズ 鈴木浩二氏にショールーム機能も含めてうかがった。

 

ユーザーとのコミュニケーションを築く情報発信拠点

このショールームは、NexPressの性能をいかに引き出してどのように活用するかということをお客様に知っていただく場として2004年10月にオープンしました。実機を見たいという方向けに、デモルームとして利用いただくほか、実際に機械を操作しながらオペレータートレーニングルームとしても役立てていただいています。既に導入されているお客様をお招きして、弊社から情報を提供したり、ユーザー同志の意見交換を行う場としても利用されています。

 

また、新規のお客様には、データを持ち込んでいただいてテスト出力したり、使いたい紙をテストしたり、導入前の検証にお越しいただくこともあります。来訪される方の多くは印刷会社様で、新しいビジネス展開のために導入いただくケースと、今まで外注に頼っていたオンデマンドの仕事を内製化し、外注費の削減や短納期対応などを目的に導入いただくケースがあります。
 弊社では、機械を導入いただくだけでなく、お客様と一緒にビジネス開発も行い、要望があれば、システム会社や各種コンサルタントを紹介するなど、一緒にビジネスを立ち上げることも行っています。
 最近では、印刷会社だけでなく、今までお付き合いのなかった異業種(印刷業以外)の方々も来訪され、テストや仕様の確認をされることが増えてきました。新しいビジネスを模索されているのでしょう。そうしたニーズも見据えて、今年は世界最大規模の映像見本市フォトキナ(PHOTOKINA)にも出展しました。今後も、そうした啓蒙活動は広がると思います。

NexPress 2500にみる高生産性と高品質

2500では、現行機種2100 plusの印刷スピードを20%アップし、さらなるハイボリューム印刷の生産時間短縮や、短納期を要求するお客様に対して大変大きなメリットを提供します。通常デジタル印刷機で生産スピードを上げると、印刷品質が落ちる傾向にありますが、品質を維持しながら、スピードを向上することを実現したのです。最大で一月約190万枚の印刷が可能で、24時間体制の運転にも対応でき、長時間稼働と色管理に優れ、色合わせや見当合わせに要する時間を短縮できますし、用紙についても、専用紙ではなく通常の印刷用紙が使えるため、同クラス機種と比べて扱える紙の種類は格段に多いです。

 

NexPress 2500にみる改良点

NexPressのような電子写真方式のデジタル印刷機は、トナーインキを熱定着させるフューザー部の役割が非常に重要といえます。印刷速度を上げる場合、フューザー部分の通紙時間を短縮させながら定着の熱温度を上げなくてはならないため、印刷品質や紙の耐久性への影響を心配しましたが、フューザーローラから紙に対しての圧力を可変させることでこうした問題を解決しました。紙幅も470mmから520mmまでに拡張させました。

 

各種特徴を活かした印刷アプリケーション

 バリアブル機能を活かした印刷として、弊社のお客様である太陽プリンティング様では、パーソナル絵本を作っていらっしゃいます。お子様自身の名前を物語の主人公にして専用の絵本を作るのです。
NexPressの仕事の特徴としては、表裏見当精度が高いため、ページ物の印刷も多く、本やカタログなどの印刷にも用いられています。また、金色やパール調の光沢色の印刷表現が可能です。これは、光沢色を印刷するのではなく、例えば黄色系トナーの印刷にクリアートナーを印刷することで金色を再現しています。他の光沢色も同様の手法で可能になり、これは、NexPressでしかできない印刷表現として、お客様の提案の幅を広げました。
その他の特徴として、「カウンター料金ゼロ」というのは、お客様に利益をもたらせる大変大きなメリットです。また消耗部品の交換などもお客様が自身でできるような特殊な設計になっていますので、休日や深夜のオペレーションも安心ですし、万一のトラブル時にメーカーのサービスマンを待つ必要もありません。

ニアラインのNexGlosserは、NexPress本体上でバーコード印刷された用紙特性や仕上げ情報を読み取り、人的エラーを減らすことを目指しました。インラインではなく、ニアラインにした理由は、NexPress本体の汎用性と生産性を最大限に引き出すためです。

 

問い合わせ先
朝日プロセス株式会社
 〒110-0014 東京都台東区北上野1-9-10
 TEL 03-3841-0978(代) / FAX 03-3841-7802

コダック株式会社 ネクスプレス ソリューションズ
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-9
koji.suzuki@kodak.com

『プリンターズサークル』2006年11月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2006年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

事業の3本柱を機軸に変革を目指す

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:事業の3本柱を機軸に変革を目指す

 

 株式会社ミヤコシ 代表取締役社長 宮腰 巖氏に聞く

 

ビジネスフォーム印刷(以下BF)市場は低迷傾向にあると見られてきたが、情報用紙の需要量は特に減っていないことから、工夫次第で事業拡大の見込みはある。本稿では、 BF機械メーカーとして知られるだけでなく、開発技術をコアにビジネスを多様に拡大しているミヤコシに、BF市場における今後の方向性について伺った。

――BF印刷機械メーカーとして知られます御社の現在の事業についてお聞かせ願います。

宮腰 現在弊社では、事業の3本柱を機軸にビジネスを展開していますが、一つは従来からのビジネスフォームの印刷機械です。弊社では一番のメインでやってきました。そして、その技術を応用したラベルの印刷機械。それともう一つが、弊社では「印刷革命」と称しているインクジェットのデジタル印刷機です。これを今、「3本柱」として展開しております。
ご承知のように、BF業界は決して景気が良いとは言えません。要因の一つには、デフレになってきて値段が下がったことの影響もあります。それで、弊社のユーザー企業にも 当然波及してしまったとの見方もあります。かつては、売上構成比の7割から8割がBF機械でしたが、最近では、その割合も3割程度に落ち着いた感じです。

――そこで事業の3本柱を立て、今までと違ったビジネスも展開されているということですね。2本目はラベル印刷とのことですが。

宮腰 ラベル印刷は、実はビジネスフォーム印刷会社にもっと元気になってもらいたい、また、新しい分野に進んでもらいたいという思いで開発しました。BFは印刷か ら加工まで全部受けられますから、その技術を生かすのはラベル印刷ではないかと思い開発に至りました。当然今までにない、新しい業種の顧客を獲得していくことも視野に 入れております。
そして、ラベル印刷の分野では、今年は売上構成比の15%を目標としています。しかし、ここへ来て逆にビジネスフォームの機械が出始めてきました。その要因は、BF印刷市 場自体、それほど仕事の量は減っていないのと、機械の入れ替えの時期に来ていることかと思われます。また、生産性をさらにアップしようとか、それと付加価値を高めよう という傾向もあり、色数が多い機械の出荷が増えています。

――3つ目の柱となる、デジタル印刷機はいかがでしょうか。

宮腰 デジタル印刷は、まだまだ特定のユーザーに限られているのではないですかね。注目はされていますが、依然としてインキの値段も含めてコストが高く、ランニ ングコストが高いという問題を解決しなくてはならないのかもしれません。

――ただ、近年御社では、パッケージ印刷機械やページ物の印刷機械など、いろいろなものを出されておられますね。そのように、今までとかなり異なる分野の仕事も手掛け ておられるようにお見受けしますが。

宮腰 弊社の長年にわたるDNAのようなものでしょう。顧客と一緒に、一体になって仕事をすることが、昔からのやり方で、それを発展させたということだと思います が。顧客の要望に一緒になってこたえていくのが弊社の姿勢です。

――新しい仕事にはそれなりに開発コストが掛かりますが、やはり新しい市場を作っていかなければならないことも考えなくはなりませんね。

宮腰 弊社のコアビジネスはBF印刷機械ですが、これを発展させていわゆるページ物の印刷機になり、牛乳パックの印刷機械にしたわけです。そのように、いろいろな 展開ができるエンジニアリング力が、弊社のコア・コンピタンスと言えますし、他社と差別化できることでもあります。それと顧客にも恵まれていて、共同開発的な仕事です と、従来品の改良の指示はあっても、「こういった仕事をやりたいから、こういったものを新しく作ろう」という考え方は、逆に中堅企業のほうが多いですね。

――自社の独自製品を作るとなれば、やはり御社のような機械メーカーと一体になって仕事をするのも必要ですね。印刷も業態変革の時期にきましたし、御社の事業開発営業 部というのはそうした一環でしょうか。

宮腰 弊社では今、「ルック・フューチャー(look Future)」つまり将来を見据えた事業開発を計画しており、頭文字を取ってLF事業部と称しています。今は、ある 製造会社と手を組んで、生産ラインの一部をロボット化しています。そうした印刷以外の新しい事業も今後開発していこうというのが、この事業開発営業部のスタートです。 つまり、生産ラインのFA化ですが、これもBFの搬送が基本になっていますが、これは印刷と異なる今までなかった分野です。

――御社としては、メカトロのノウハウも売りにできるということですね。ただ、従来の印刷物の仕様でやっていくと、やはり手作業が入る部分があって、製本に及ぶと人手 が掛かってしまい、今はまだ、理屈どおりにFAが進まないこともあるようですが、それを将来に役に立てるために開発をされているということですね。
 最後に、3本柱の一つ、デジタル印刷で「印刷革命」と言われましたが、具体的にはデジタルによる革命的な部分はどの辺りでしょうか。

宮腰 弊社のデジタル印刷機は「非接触」ということです。つまり、「印刷というのは表示と記録」と定義されるそうで、その意味でいくと、印刷分野は、かなり広が っていきます。さらに、「非接触」により印刷できるとなると印刷媒体があらゆるものに変わってくるのです。

――確かに今、電子部品や建材、テキスタイルの分野にもインクジェットの印刷分野が拡大し、その媒体も大きな広がりを見せています。

宮腰 そのことを応用すれば印刷業の業態変革も実現できると思っています。だから、それには、やはりデジタル印刷機は、すごくいいのですよ。印刷会社だけでなく 異業種でも応用されており、例えば、外壁材などにも応用されていたりします。これは、弊社のノウハウですが、インキ噴出の角度を変えるなどして凸凹のある媒体にもきちんと印刷ができるのが強みで、これはやはりメーカーだからこそできるのです。

株式会社ミヤコシ 本社 〒275-0016 千葉県習志野市津田沼1-13-15
 TEL 047-493-3854 / FAX 047-493-3071

 

(2006年10月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ハイエンドからローエンドまで,トータルなプリンティングソリューションを提供

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:ハイエンドからローエンドまで,トータルなプリンティングソリューションを提供

 
リコープリンティングシステムズ株式会社 取締役社長 片山利昭氏に聞く

 

--貴社設立の経緯並びに事業全般についてお聞かせ願います。

 当社の前身は,日立グループのプリンタ事業関連会社である「日立プリンティングソリューションズ(株)」でしたが,2004年10月に親会社の(株)日立製作所が(株)リコーに当社の株式全数を譲渡したのに伴い,リコーグループの関連会社として再出発しました。
 当社の事業の主力は,高速・高耐久の連続紙やカット紙の基幹系レーザプリンタとローエンド・カラーレーザプリンタにありますが,これらは従来の(株)リコーのプリンタ製品群とはほとんど重複することなく補完するものであり,両方の統合で業界でもあまり例を見ないフルラインナップが構築されました。また,要素技術の相互活用,リコーグループの強みであるオフィス・ソリューションと当社の強みであるITソリューションの融合などで大きなシナジーを発揮していくことも期待されています。ここに(株)リコーが当社を吸収した狙いがあり,今後の成長戦略の基盤も確立されたと理解しております。
さらに,当社の側から見ても,リコーグループのワールドワイドの強力な販売網を通じて当社の製品を拡販できるメリットも大きいと思います。

 --製品ラインナップについてお聞かせ願います。

 連続紙では,超高速機(最上位毎分3万1000行)から中速機までをそろえています。そして,カット紙の分野では,いずれも高耐久の高速機・中速機が各種あります。このなかには,モノクロのほかに赤,青,緑のいずれか1色を印字できるスポットカラーDDP184(黒のみ毎分184ページ,黒+カラー1色毎分92ページ)というユニークな機種もあります。また,最近,月400万ページのプリントアウトにも耐え得る超高耐久機のEMP156(毎分156ページ)を出し,注目を浴びております。これらの基幹系プリンタについても,WindowsやUNIX環境でも使用できるようオープン化をどんどん進めています。
もう一つ,当社のユニークな製品として,1回のプリントで最大8部の複写が取れる漢字ドット・インパクトプリンタKDシリーズがありますが,日本や中国などアジア市場で根強い需要が続いています。
 一方,ローエンド・カラーレーザプリンタでは,現在カラー毎分8ページ,モノクロ毎分31ページ機が主流で,OEM向けも含め出荷が急速に拡大しています。

 --印刷会社への販売戦略についてはいかがですか。

 印刷会社の業務では,まだまだ圧倒的にオフセット印刷が多いわけですが,デジタル印刷も着実に伸びていくことも確かでありますので,当社としましては今後もこの市場に積極的に力を入れていきたいと考えております。オフセット印刷とそん色ないコストと印刷品質を実現していくこともさることながら,ITシステムと連動したワンストップ・ソリューションの提供や大量印刷に対応できる高信頼・高耐久も極めて重要でありますので,その点でも当社の強みが生かせると考えております。 --リコープリンティングソリューションスクウェアについてご紹介願います。

 基幹システム製品を始め各種プリンタの展示だけではなく,お客様に対しデモもできる場として今年1月に開設し,当社と(株)リコーで共同運営しております。お客様ご自身のデータをおもちいただいて,実際にお使いいただく場面を想定したテストも可能ですし,セミナー室も用意しておりますので,システムトレーニングなどにもご活用いただけます。

 --今後の展開を教えてください。

これからも,リコーグループとのシナジーを高め,高品質・高信頼・高耐久を基本に,さまざまなニーズにこたえられるよう,製品ラインナップの拡充に努めてまいります。特に,今後はカラーが重要でありますので,ハイエンド,ローエンド含め,カラーレーザプリンタの開発に注力いたします。
また,お客様にとりましては,何と申しましても,業務に最適なソリューションが肝心でありますので,IT+オフィスを念頭に,ソフト/ソリューションメニューの一層の充実に取り組む所存です。

リコープリンティングシステムズ株式会社
本社所在地:東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟21F
電話:03-5783-0622

 ■リコープリンティングソリューションスクエア
所在地:東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー4F
電話:TEL 03-6716-7781

 

(2005年7月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)
 

プリプレス・デジタルワークフローで利益確保を実現

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:プリプレス・デジタルワークフローで利益確保を実現

 

コニカミノルタグラフィックイメージング株式会社 マーケティング部長 大貫満氏に聞く

 

DTPが登場し、DTPエキスパートも普及し、現在のグラフィックアーツ業界ではプリプレス部門のアナログ時代を知らない人も多くなった。こうした流れの中で、デジタル技術により、RGBワークフローからプリプレスワークフローまでのトータルソリューションを提供している同社の今後の展開と業界への貢献度を伺った。

 --コニカミノルタグループのアマチュアカメラおよびアマチュアフィルムからの撤退が発表されて、グラフィックアーツ業界では、印刷用フィルムの販売が今後も継続されるのかという心配の声はなかったでしょうか。製品開発動向なども含めて伺えればと思います。

大貫 オフセット印刷機を導入されているお客様には当然印刷用フィルムをご利用いただいておりますが、今後も印刷用フィルムの供給は続けていきます。デジタル機器や材料の開発までを手掛けておりますが、従来行っていたデジタルカメラのRGBからRGBへの変換を、他社との提携により「Imagehandler Pro(イメージハンドラープロ)」を共同開発しました。色変換の精度を高めるべく、テストマーケティングからモニタリングを重ねて製品化しました。デジタルカメラのほとんどのRAWデータを受け取りRGB変換ができるため、グラフィックアーツ業界におけるデジタルカメラの普及にマッチしています。川上から川下に至るワークフローにこのシステムの導入をお勧めしております。
さらには、高解像度カメラの「Phase One(フェーズ・ワン)」では、最高3900万画素のハイエンドコマーシャルフォトに用いられており、RGBワークフローと組み合わせて利用できます。また、DDCPにおいては、「Digital Konsensus Pro(デジタルコンセンサスプロ)」がトータルで700台を超え、お陰様でトップシェアとなっております。材料も今ではマットとグローに加えてハイマットもそろえ、上質紙の校正にも対応可能です。雑誌の電子送稿やデジタル技術が一般的になった今でも、校正作業はやはり紙に出力しなくてはという声が多く需要があります。今後、ますます、Digital Konsensus Proだけで校了という段にまで及ぶため、製品開発をさらに進めてまいります。

 --SOHOのようなところまで、カラーマネジメントを普及させるにはまだ少々難がありますし、印刷会社でもカラーマネジメントまで行っているところは少ないのが現状のようです。個々の工程でのカラーマネジメントだけでなく、プリプレス関係の開発を手掛けてきた御社ではトータルなソリューションを提供できることは大きなメリットでしょう。DTP導入後に入社された方には、画面上だけで色をイメージしてしまい、網点になった場合がイメージできない場合が多いため、そうしたことが起こらないように網点校正の意味が出てきたと言えるのではないでしょうか。

大貫 網点系DDCPのトップシェアNo.1のDigital Konsensusが威力を発揮します。さらに高品質DDCPであれば、「Color-Decision(カラーデシジョン)Ⅱ」を販売しており、大手化粧品会社や自動車会社などの色に大変厳しいお客様の要求にも対応できております。両システムともカラーマネジメントを有しており、色に関するお手伝いも実際行ってきています。

 --設備投資に関する調査によれば、MISが投資の上位に来ております。かつては、工程が複雑で、刷版でも面付けでも各工程で利益が出ていたが、今ではデジタル化によって、工程が短くなってきているため、利益の出せるところが少なくなっています。そのため、MISによって利益管理をしていきませんと経営のかじ取りが難しくなってくるため、利益の出せている間にMISを導入しておくべきでしょう。

大貫 プリプレス生産性向上支援システム「Neostream Pro(ネオストリームプロ)」を販売しています。MISのようなソフトの価格設定は難しいが、今後業界で必要不可欠となっていくでしょう。

 --今では、製版業が印刷機械を導入しているケースがあり、印刷会社よりも利益を出しているケースもありますね。

大貫 最近では、デジタル印刷機にも手を広げております。大日本スクリーン製造と共同で、「TruePress(トゥループレス)344」の販売を展開しており、ロール版材対応で刷り出しが速く、色精度も高く小ロットにも対応できます。またコニカミノルタ製品としては、複写機技術を生かした「Pagemaster Pro(ページマスタープロ)」があり、こちらもカンプに加えて小ロット・バリアブルプリントができ、さらに高速性も備え一般のデジタル印刷機に比べて安価です。

 --ただ印刷会社があまり凝ったバリアブルの仕事を受注するのはハードルが高く、最初はパソコンの差し込み印刷程度のところから始めて簡単なDMに使っていただくことから提案していくほうがよいかと思います。御社製品は、外国製のデジタル印刷機と比べて日本のオフィス・スペースも考慮してあり実用的と言えますね。

大貫 販売の際には実際にお客様のデータを頂いて色合わせを行い納得いただいてから、ショールームにお越しいただいておりますので、実用性は実感いただけております。また、大型のデジタル印刷機と違って気軽に購入決定いただけることは利点と思います。

 --かつてデジタル印刷機は、インキの紙への付着耐性が良くなかったため、はがれたりして後加工に展開しづらいという問題がありましたが、その辺りはいかがでしょうか。

大貫 後加工として、圧着DMなどさまざまなサンプルをそろえて提案しておりますので、そうした問題はなく、むしろ加工性の幅広さを感じていただけると思います。
 印刷会社にとって、こうしたデジタル印刷機を導入してランニングコストを下げ、バリアブルプリントの提案で営業の方々が仕事を増やしていけば、利益の拡大にもつながります。また、UVインキ開発とインクジェットプリンタヘッド開発も行っております。他社でもこうしたシステムの開発をしておりますが、サイズ、解像度、スピードなどの性能面の開発は各社とも試行錯誤です。コニカミノルタでは独自のノウハウをもっているので、市場のニーズに合ったIJシステムを提供していきたいと考えます。

 --今まで印刷会社では設備を入れれば仕事が付いてきましたが、今では仕事量が減ってきているわけですから、設備を入れたからといって仕事が増えるというわけではありません。御社では、MISも含め各製品によって印刷会社のコスト削減によって利益拡大を実現し、仕事を生み出すというソリューションまでも提供できるというわけですね。

コニカミノルタグラフィックイメージング株式会社
 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2
 TEL 03-5297-5602 / FAX 03-5294-0240

 

(2006年5月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

「コスト・エフェクティブ」をスローガンに顧客満足を提供

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:「コスト・エフェクティブ」をスローガンに顧客満足を提供

 

ミューラー・マルティニ ジャパン株式会社 代表取締役専務 宮崎靖好氏に聞く

 

 ポストプレスのトップメーカーとしてスイスに本社を置くミューラー・マルティニ ジャパンでは、「IPEX2006」でも注目されたように、印刷後加工におけるJDF対応製品を用意し、印刷前工程から後工程に至るまで一貫したデータ共有が可能な機械を生産し印刷全工程のJDF化を進めている。2006年1月に代表取締役専務に就任した宮崎氏に、日本の印刷産業における後加工の生産性向上の方策などについて伺った。

 --印刷後加工の生産性向上についてのご提案は?

宮崎 期待すべきは自動化の進捗になります。製本作業に代表される印刷後加工作業は、今日でも人手に頼ることの多い、言わば「労働集約型」になっています。経営的には省力化を進めたいが、それに関わる投資コストが利益としてかえってくるのか。そうした不安があるようです。今年のIPEXでは弊社は展示したすべての機械がJDF対応となりました。また、自動セットAMRYS(アムリス)を採用した機械も多種、提案いたしました。このAMRYSとJDFの組み合わせが、今後、日本においても、印刷後工程の生産性を目に見える形で改善してくれるのではないか、と考えています。

 --JDFとAMRYSで全工程が透明化されれば、クライアントにとってもコストや製本仕様までが発注の範ちゅうに加えられるようになるというメリットも生まれるのではないでしょうか。

宮崎 日本市場の特殊性について指摘を受けることがあります。日本では製本品質に過剰なこだわりをもっていないか、というわけです。中綴じ製本を例に取れば、針金はページをしっかりと綴じて外れなくて、先端がページにちゃんと収まっていればPLの問題もクリアできているはず。しかし、日本の現場では数冊の中綴じ本を見比べて、針金の位置や形状の変化なども問題になる。そうした品質規定にパスするために、機械で作った製品を人間が手に取って一つひとつ検査をしたり、それでいて、納期や単価は極めてシビア。結果として生産性は上がらず、製品のコストがなかなか下がらないという状況になっています。

 --透明化でクライアントとのコミュニケーションが円滑になれば、改善されるのではないでしょうか。

宮崎 発注元(クライアント)との円滑なコミュニケーションは、印刷製本業にとって、これからも大きな課題でしょう。特に品質、コストそれから納期という3つの要求について、タイムリーな連携が重要なテーマになってくると思います。弊社では昨年より「コストエフェクティブ」を展示会のキーワードにしました。コストエフェクティブとは「対費用効果」ということで、つまりはより良いROI(投資に対する見返り)を提案しますという考え方です。機械の稼動速度を上げて、生産性を向上させることが第一なのですが、それに加えて、AMRYSによる自動セットにより、「非熟練のオペレーターにも使いやすい機械にする」「セット間違いを減らして損紙を節約する」「プリセットで準備時間を短くする」といった目に見える改善が期待できます。また、JDFにより、稼動情報をリアルタイムで取り出し、コスト分析や進捗管理に利用できます。経営的に工場の稼動状況を透明化して、いつでもどこからでも仕事の状況あるいは結果を確認できることになり、これが、発注元との円滑なコミュニケーションに大いに役立つと考えております。ちょっと極端な事例ですが、近未来の印刷製本工場とは、自動化とJDF化の進んだ印刷工程に、印刷後工程を一貫ラインとして直結してしまうようなイメージをもっています。そのためのツールがJDFをベースにしたデジタルワークフローであり、欧米の弊社ユーザー25社くらいですが、既にそうしたラインの実用を試みているとも聞いています。

 --今後の日本国内での展望をお聞かせください。

宮崎 日本の印刷製本市場は過去約15年にわたり、あまり良い状況ではありませんでした。しかし、昨年からチラシや通販関係の商業印刷を中心に、しっかりとした回復基調にあるように感じています。出版においても、フリーマガジンの台頭、女性誌の厚本化やタイトル増加など新しい傾向が見られます。特にフリーマガジンは、そのターゲットが有料雑誌と異なり、年齢や性別、配布地域やコンテンツなどが非常に細分化されていますので、まだまだ増える余地があると考えています。また、フリーマガジンはそのタイムリーな発行と無料誌という特質から、印刷製本工程への要求は短納期と低コストが最優先されていると聞きます。素早く、安くというわけです。品質要求が低いということではないのでしょうが、すべてで最高のものを、という従来の常識を打ち破るものとしては、注目されていいのではないでしょうか。
 弊社の中綴じ機にスープラという高速機があります。毎時3万回転のスープラは、4m超という広幅のグラビア輪転機とセットで欧米で導入されており、印刷機の1回転でそのまま中綴じして冊子を製本してしまおうというラインになっています。究極の印刷製本直結構想ですが、こうした高生産性の印刷製本加工ラインが日本でも検討される日は意外と早いかもしれません。
 景気は上向き加減ですが、一方で、弊社顧客の共通のご意見として、印刷製本単価は下げ止まらないだろうというマイナスファクターが存在します。仕事量はある程度期待できるが、利益はちゃんと確保できるだろうかというのが、今年の最大のテーマとなるようです。そうした業界の現状にこたえるためには、「コストエフェクティブ」な機械を提供することに尽きると考えています。具体的には3つのポイントを提案しています。1つ目は、JDFとAMRYSの組み合わせです。日本においても印刷製本工場内のワークフローをデジタル化して透明性を上げ、コストの削減を図ろうという動きはますます進むでしょう。弊社の機械は今後すべてJDF対応となります。AMRYS機能もすべての機種で標準装備もしくは選択オプションとなる予定です。2つ目は、付加価値を作り出すことです。書籍、雑誌、カタログ、取扱説明書などといった紙メディアは今後ますます他メディアとの競合や共生が求められます。世界市場を対象に開発された弊社機械は先行する欧米などでの付加価値ノウハウが詰まっており、それらを積極的に日本で紹介していきたいと考えています。特に「環境に優しい本作り」というエコロジー精神は尊重されないといけないですし、それにこたえるための製本方法も提案していきます。例えば、PUR製本があります。反応型のPUR糊を使った製本ですが、繊維の短いリサイクル紙でも丈夫な本が作れ、また再生工程での糊の完全除去が可能なため、リサイクル性にも優れている製本方法です。3つ目は保守セミナーの日本開催です。従来はスイスにあるトレーニングセンターで定期的に開催されていましたが、昨年から日本国内でも始めました。事前保守を励行していただくことで、機械の故障を未然に防ぐことを目的にしています。見過ごされやすいのですが、機械の予期せぬ停止時間を減らすというのは、生産性向上のためにはとても安価で有効な対策なのです。

ミューラー・マルティニ ジャパン株式会社
 〒174-0042 東京都板橋区東坂下2-5-14
 TEL 03-3558-3131

 

(2006年7月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

「世界が私を追いかける」~印刷技術をリードするローランド

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:「世界が私を追いかける」~印刷技術をリードするローランド

 

ディック・マンローランド株式会社 代表取締役社長 吉原正志氏に聞く

 

現在注目されている付加価値印刷は、オフセット印刷の後工程にオフラインで加工を施すケースが一般的である。しかし、最近では、オフセット印刷に加工技術を内製化させ、さまざまな加工を施して印刷物に新たな価値を付加する動きがある。加工のインライン化によって、工程簡略による合理化とコストパフォーマンスの向上を目指している。そのことによって、会社経営の合理化という付加価値も生まれる。ディック・マンローランドでは、この度世界初となるインライン方式による箔押しを可能とする最新鋭機「ローランド707LV」を発表した。本稿では同機械の可能性と今後の構想について伺った。

 --ローランドは、数多くの最新技術を開発されていることでも知られております。今回発表のインラインフォイラーについてご紹介願えますか。

吉原 最近付加価値印刷が注目されていますが、弊社では、印刷物への付加価値だけでなく「顧客に付加価値を創造してもらえるような」製品開発を目指しています。そして、この度、オフセット枚葉機では世界初となる箔装置のインライン化を実現しました。インライン箔装置は、インキの代わりに糊を置き、箔が通常の印刷ユニットの中で付けられるということが特徴です。それにより、非常に精緻な光り物、きらきら光る印刷物ができ上がります。従来の箔押しの工程は、オフラインで行っているため時間もコストも掛かっています。インライン化によるアプリケーションの広がりとしては非常に大きな可能性を秘めていると言えましょう。そして、こうしたインラインで箔の上に印刷できることが弊社の特許で、アジアでは日本でいち早く導入されています。

 --オフライン製品の代替としてだけでなく、印刷機での加工装置の応用は、貼り合わせるとか糊で付着させることで、箔だけでなくほかにも加工方法に展開がありそうですね。

吉原 どういうものに使えるかということはこれからの検討となりますが、オフライン製品の代替え用途としてはアドバンテージがあるものと思います。また、従来のアルミ蒸着に匹敵するものに仕上がるので、コストメリットを発揮できます。例えば、同じ平米単価で4分の1くらいになり、経済的にも非常にメリットがあります。今までは、ラベル関係をメイン用途として開発してきましたが、これからは出版物やパッケージなどにも展開していきたいと思います。箔は現在欧州のメーカーより供給されていますが、国内メーカーも開発中です。

 --箔そのものがフィルム状で、いろいろな絵柄や図柄を形成することが可能でしょうから、簡易な偽造防止のような意味にも使えるのではないでしょうか。また、箔押しのような物理的に押した形跡が残らないということは、ある意味で従来の箔押しとの住み分けになるようで、デザイン的には工夫の幅がかなり広がるようですが。

吉原 紙の表面加工に自由度がありますので、箔とアートとは異質分野ですが、セキュリティにも活用できるでしょう。それだけ、波及する範囲が広く、箔という考え方でいくのか、あるいは、出版物のインキと同じように考えるのかは顧客次第といったところでしょう。絵柄の一部に使うなど効果的なデザインが非常に重要になります。

 --デザイナーにはきっとアピールできるでしょうが、印刷会社と一緒に用途開発を行うという形が理想でしょう。また、最近では、パワープリンターズ・セミナーを開始されたようで、印刷会社を元気づけるような名前で興味深いですが、そちらについて伺えますか。

吉原 お陰様で、弊社では昨年以来非常に受注は堅調ですが、このパワープリンターズ・セミナーは、全国行脚で開催し、さらなる販売力アップを狙っております。3月から福岡、岡山、仙台、大阪、名古屋、東京と、縦断キャラバンセミナーを実施しました。一つには会社の元気なところを見てもらって顧客との交流を深めようということを狙っております。しかし、スポット的なアクションだけでなく、全国レベルのストラクチャル(構造的な)ものにしていくことを狙いとしております。そのために、既存の顧客に満足してもらい、さらに、新規の顧客に対して本当に付加価値を生み出せるということや、ローランドの機械を使えばもうかるということを分かってもらうことも重要なのです。
 今回、弊社のスローガンに採用した「世界が私を追いかける」というのも、内容的には、ローランドで十何年前から採用されていたいろいろな機構が、世界の最新の製品で使われ、世界の先駆け的存在であることを皆様に知っていただきたいという思いもあります。
また、以前より、弊社が提唱してきた付加価値印刷に対して、経営マネジメントの人がいろいろなアイデアを求めておいでになるので、弊社が提唱してきたことが、需要にかなった現象かもしれません。
また、メンテナンスを適切に施せば弊社の機械は耐久性も高く、生産力も高いため、機械の生産性という付加価値も含めて、経営的な面なども含めたソフトウェアの付加価値もあるということも知っていただきたいとの思いです。

 注:パワープリンターズ
本年より同社ではすべのイベントに「パワープリンターズ」というブランドを冠して活動を行っている。その第1弾が、この春に行った全国縦断型のパワープリンターズ・セミナー。印刷スクールのパワープリンターズ・アカデミーは随時開催している。直近のイベントが、インラインフォイラーを披露したパワープリンターズ・フォーラムである。

 写真(PICT0278.JPG) 代表取締役社長 吉原正志氏 インラインフォイラーを装備した枚葉菊全機ROLAND700を背景に撮影 写真 第1候補(01Customers.jpg) 第2候補(01Faces.jpg) 6月9~10日に行われたローランドインラインフォイラーについてのパワープリンターズ・フォーラムの様子。当日は、ローランド700シリーズへの関心の高さから、両日合わせて約500人の参加者が集まり大変盛況であった。

ディック・マンローランド株式会社
 東京本社 〒135-0051 東京都江東区枝川2-24-12
 TEL 03-3647-5411(営業)03-3647-5410(サービス)
マーケティング活動に関する問い合わせ先 TEL 03-3647-5418 / FAX 03-3647-8355

 

(2006年10月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

さまざまな環境変化に対応し、DICグループのシナジー効果でユーザーニーズにこたえる

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:さまざまな環境変化に対応し、DICグループのシナジー効果でユーザーニーズにこたえる  

 

大日本インキ化学工業株式会社 インキ機材事業部 事業部長 住田和海氏に聞く

 

大日本インキ化学工業は、世界のリーディングポジションをもつ印刷インキ、有機顔料をコア事業とし、4事業部門により幅広く事業活動を展開している。今回は、ヒートセットオフ輪プロセスインキの新製品「ニューアドバン・プレミア」の開発背景を含め、世界最大手のインキメーカーとしての考えを、ユーザー企業の声などを紹介いただきながら伺った。

 

――新しいオフ輪インキを8月に発表されましたが、背景などをお聞かせください。

住田 8月に弊社のメイン製品「ニューアドバン」の後継新製品として、「ニューアドバン・プレミア」を上市しました。
このインキは、弊社と子会社であるサンケミカルのシナジー効果を最大限に発揮して開発しました。
インキというのは非常にローカルな製品です。これまでは例えば日本に通用するインキが欧米では通用しない、逆に欧米で通用するものが日本へもってきても通用しないというような環境にありました。弊社は世界シェア約30%を誇る世界最大手のインキメーカーであり、同時に世界シェア25%を占める顔料メーカーでもあります。ワールドワイドに通用する技術力・インキ製造力を有しております。DICグループの総合技術力によって、業界初のノンVOCインキ「ナチュラリス100」やハイブリッドインキ「ハイブライト」など革新的なインキを提供してきました。今回はシナジー効果を主力のスタンダードオフ輪インキに大きく採用しました。

――「ニューアドバン・プレミア」の特徴をお聞かせください。

住田 一言で言いますと、『オフ輪印刷の品質をワンランク上げるような紙面品質を実現しましょう』ということになります。
具体的に申し上げますと、スミで言えば漆黒性を大幅に高めることにより、非常に紙面にメリハリが出て、その印刷物を見たお客様に対してアピールができる。それから、カラーのインキに関しても、光沢をアップして紙面全体の品質を上げたことが一番のポイントです。

――確かにオフ輪も枚葉も、印刷物としては実際はあまり変わらないような使われ方をされてきていますね。

住田 オフ輪印刷の高級化は時代の流れだと思っています。当然、インキとしては、生産性の向上に寄与する・安定性に寄与する部分、そういう点についても以前の「ニューアドバン」よりもさらにワンランクアップしております。

――インキを設計する上で、苦労されている点や工夫された点などはございますか。

住田 私たちというより印刷会社が今最も苦労しているのは、いろいろな用紙が出てきているということです。品質のあまり良くない紙もあれば、輸入紙などもだいぶ入ってきて、紙の表面が相当変わってきました。これまではさまざまな用紙にインキを使い分けしなければなりませんでしたが、「ニューアドバン」の時から『一つのインキでかなり幅広い紙に対応しよう』ということを追い掛け、現在かなり幅広い用紙に対応できるようになりました。

――インキを替えるのはそれほど効率が悪いということでしょうか?

住田 用紙を替えたらインキも替えなければいけないということは印刷作業上、大変なロスになりますので、その点を解消することは大きな生産性向上につながると思います。

また、一つのインキですべての用紙に対応できれば、廃インキの削減にもつながりますので、環境面からのメリットも大きいと思います。

――環境への配慮についても積極的に対応されていますね。

住田 インキの環境保全策は石油系溶剤の削減が一つの方向性です。ノンVOC化はその先端になりますが、主力製品では大豆油インキ化を図りました。昨年秋に枚葉プロセスの「フュージョンG」に続き、この9月には中間色インキ「Fグロス」もリニューアルし、大豆油化を実現しました。これで弊社のほとんどの主力ブランドが大豆油インキとなりました。お客様には安心してご使用していただきたいと思っております。

――ユーザーから求められることで最近多いのはどのようなことでしょうか。

住田 具体的なところでは、FMスクリーンをやりたいという要望が多くなってきました。FMスクリーンでは非常に網点のサイズが小さく、小さい点を安定して打たなければならない。しかもオフ輪の高速回転の中でキッチリ微小点を印刷していかなければなりませんので、それを実現できる着肉性や印刷の安定性が高いインキの提供も重要なテーマとして取り組んでいます。FMスクリーンのほかにも、お客様からはさまざまな技術的な要求があります。そういったユーザー企業の多様なニーズにこたえて、これからもより質の高いインキ製品の提供を行っていきたいと考えております。

――最後に、印刷業界についてのご要望などをお聞かせください。

住田 常々思っているのですが、インキについての規格を決めて、その規格の中に入ったら承認していただく、そういう業界挙げての標準化を進めていくべきではないかと感じております。インキを標準化することによって、’どこででも、だれにでも質の良いインキを提供できるようになる’、これはムダを省けるという点から考えて非常に大きなコストダウンにつながると思います。一企業の力ではなかなか難しいことですが、業界団体などで標準化のために旗を振っていただければ、メーカー側もその方向に進んでいくのではないでしょうか。
ただし、標準化のみに目を向けていればよいというわけではありません。各インキメーカーでオリジナル製品の研究・開発・販売は必要ですし、それによってインキの質の向上、ひいては技術革新が進められるのも事実です。標準化されたインキと新しい革新的なインキが併存して、どちらを選ぶか、それはお客様のご判断です。われわれインキメーカーにとって最も重要なのは、あらゆるニーズにこたえられる体制を確保することではないでしょうか。
現在インキ原料事情は価格の高騰など非常に厳しい状況にあります。弊社としては値上げをお願いしたいところですが、弊社単独では実現できない状況です。一企業だけの努力でコストダウンをすることは、もう限界に来ているような気がします。そのような状況からも、標準化を行うことでのコストダウンを業界全体で真剣に考えていくべきではないでしょうか。

大日本インキ化学工業株式会社
本社〒103-8233 東京都中央区日本橋3-7-20
TEL 03-3272-4511 / FAX 03-3278-8558

 

(2006年11月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)