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「印刷がもっと元気になってくる」~世界の印刷業界にMADE IN JAPAN「アキヤマ」をブランド展開

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:「印刷がもっと元気になってくる」~世界の印刷業界にMADE IN JAPAN「アキヤマ」をブランド展開

 

アキヤマインターナショナル株式会社
副社長 延原 雅三氏に聞く

 

同社は、中国上海電気グループの一員として2001年に誕生し、代表取締役として中国より胡 雄卿氏が就任し、営業を開始した。設立当初は、世界的な技術を持つ印刷機メーカが、日本と中国という異文化の中での動向に注目が集まったが、業績は依然として堅調で、数年の間に従業員も増員を目指すなど当初の懸念は払拭されたようである。こうした新体制のもと更なる躍進を目指すに至るまでの背景と今後の指針について、副社長 延原雅三氏にお話を伺った。

--御社は、技術力の「アキヤマ」というイメージが根強いですが、中国資本の新会社になり変わったことはありませんでしょうか

延原  当初は、私共もアキヤマのブランドイメージが残せるだろうかという心配はありましたが、発足当初より、日本ブランドの「アキヤマ」を世界に送り続ける姿勢をとっています。そのために、生産拠点もここ茨城県常総市に確立し、お客様にもご納得いただき、信頼を得られるまでに至っております。中国企業の上海電気が親会社ということで、文化の違いについても社内的に理解を得るまでには約1年を要しましたが、今では発展的な機運が生じ、事業もグローバル化してきました。現在、海外シェアが約60%と、国内市場40%と逆転しています。海外では欧州、北米、南米、中国、豪州、台湾、アジアなどが中心です。今では、各国に代理店も擁し、日本工場で研修した技術者を派遣するなどサービス体制も整ってきました。

--上海電気は非常に大きなグループ企業と伺っておりますが、その中での御社の位置づけを教えてください。

延原  上海電気グループは、300のグループ会社から成り、昨年の年商は1兆150億円、従業員24万人で構成されています。その傘下に、8社の印刷機製造メーカのコンソーシアム、上海電気集団印刷包装機械有限公司があり、アキヤマインターナショナルはその1社というわけです。2005年4月に香港市場で上場しましたが、現地でも、日本の代表的印刷機械メーカ一の一つとして成長性を期待されています。

--世界進出も果たし、欧州での展開を中心にされているとのことですが、現地での評価はいかがでしょう。

延原  やはり、12年前に世界に先駆けて開発した、両面印刷機Jprint(ジェイプリント)の評価が高いです。欧米では両面印刷は、反転機という認識でしたが日本発Jprint独自の反転を要しないシステムが好評です。日本では8色機が中心ですが、欧州では特に10色機を中心に、車や高級家具類など品質要求の高い印刷物の需要があります。日本市場は、片面印刷用の枚葉機を使っていたお客様には、両面が一度に刷れることによるコストダウンや、広いスペースを必要としないことなどが好評の理由です。 
新世代の多色両面印刷機「Jprint」

今後も中国へのアウトソーシングを含めて、お互いに協力し合いながら事業展開して行きます。従業員も5年前の設立当初は60名でしたが、現在では200名にまで増やし体制も整ってきましたが、今後は250名までの体制拡大を予定しています。

--他社の買収劇を見るように、中国は世界市場を見据えて投資をしているということでしょう。胡社長の人となりやお考えなどうかがえますか。

延原  ある日を境に中国の会社になったことで、グローバルな視点が養われていると感じます。今まで日本の印刷業は、国内での仕事が中心で外国に目を向けることがなかったのでしょう。中国人の生活の向上や経済の発展に対する意欲とパワーは大いに見習うところがあり、社員もそうしたパワーを吸収しています。

日本企業としての立場を崩さずに生産拠点を日本に定めたのは、現地法人の要求でもあり、そのため、新しい印刷技術も生まれそれを供与しお互いに良いものを作っていくという関係ができております。

一般的には、外国の方が社長ですと、合理的な経営手法を実施されるケースが多いですが、胡社長はこれまでの企業風土を生かして、その当時の待遇を維持しています。給与などの待遇はもとより、定年制の延長や再雇用など雇用条件も却って今までよりも整えており、大変従業員を大切にしています。中国資本でありながら、日本企業の特質を活かした経営をしています。やはり、社員が元気であれば、企業風土にも影響してひいては対外的にも元気が与えられるのではないでしょうか。
 
董(トウ)副工場長 プラント内、製造中のJprintを背景に撮影

問い合わせ先:
アキヤマインターナショナル株式会社
東京 東京都葛飾区宝町2-34-11 TEL03-3693-5191
名古屋 名古屋市西区清里町130  TEL052-505-2951
大阪 大阪市北区中津6-8-10   TEL06-4796-8753

 

         
(2006年12月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

お客様にとって、最も信頼できる液晶モニタ作りを目指して

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:お客様にとって、最も信頼できる液晶モニタ作りを目指して

 

株式会社ナナオ 企画部マーケティング担当部長 山口省一氏に聞く

 

ナナオは、国内だけにとどまらず「EIZO」ブランドとして世界的にも広く事業展開をしている液晶モニタメーカーである。今回は、「EIZO」ブランドの立ち上げから先日発表された新製品、カラーマネジメント液晶モニタ「ColorEdge CG211」のご紹介まで、幅広くお話を伺った。

――始めに、パソコンの世界を中心に、「EIZO」「ナナオ」というのは非常に大きなブランドとして確立されていますが、ここに至るまでの経緯などお聞かせください。
山口 自社ブランドでパソコン用モニタの開発・製造・販売を始めたのが1985年です。この時「EIZOブランド」を立ち上げ、まずはヨーロッパを中心に海外からスタートすることにしました。
ちょうどそのころパソコンのモニタ表示能力はどんどん高まっている時期で、特にヨーロッパでは解像度の高いモニタが求められていました。そのため、高品質で解像度の高い特性をもった「EIZO」ブランドはすぐに受け入れられました。
ヨーロッパ市場で受け入れられた数年後、いよいよ国内販売を始めました。国内向けには当初会社名の「NANAO」ブランドで展開いたしましたが、事業展開を進めていくにつれ、「EIZO」と「NANAO」は別ブランドだというイメージが広がってきてしまい、このままではお客様が混乱してしまうということで1996年にブランド名を「EIZO」に統一いたしました。

――DTPの世界との関わりについてお聞かせください。
山口 当初モニタ解像度を高めたり画面を大きくするなどの性能を上げていっても、国内ではまだそれに対応できる性能をもったパソコンがほとんどありませんでした。それに対応できる性能をもっていたのはアメリカから入ってきたMacぐらいで、その当時国内製大画面モニタでMacの性能を十分に発揮できるものをわれわれがもっていたために、この分野で多くご導入いただいたということがDTPとの関わりのスタートです。
1990年代の初めごろはCRTモニタを取り扱っておりました。CRTモニタは最終的な工場の調整がその製品の見やすさなどの品質を左右しますので、工場ではかなり厳しい調整を行っておりました。これがヨーロッパでも高い評価を得られた信頼性の高さにつながっていると思います。
その後、1996年・97年ごろから液晶モニタがだんだんと出始めるようになってきて、他社に先駆けて液晶モニタ「FlexScan」シリーズの開発・生産を開始しました。当時の市場では15インチ以下の製品がほとんどでしたが、当社では18インチの高解像度、大画面の製品で市場をリードし、これが2002年に発売になったプロフェッショナル向けの「ColorEdge」シリーズにつながっています。

――「ColorEdge」シリーズについてもう少しお聞かせください。
山口 ある時期からブラウン管の生産がだんだん減ってきて、CRTモニタを提供することができなくなってきました。グラフィックアーツの世界でCRTがなくなるということになると、やはり代替えになる液晶モニタを開発しなければいけないということで「ColorEdge」シリーズの開発が始まったわけです。
開発当初は、視野角はまだCRTモニタには若干劣りましたが、IPS方式という視野角による色の変化や階調特性の変化が非常に少ないパネルが出てきましたので、「ColorEdge」シリーズはその技術を利用し、デメリットを克服しました。
また、液晶というのは階調特性がCRTのようにアナログで出しておりませんので、滑らか感が若干弱いですが、われわれはそれを工場で1台1台調整して正確で滑らかな階調特性をもたせて出荷しております。

――液晶モニタの特長をお聞かせください。
山口 グラフィックアーツの世界で申し上げますと、やはり色の安定性はぶれる要素が少ないので、CRTモニタよりも高いです。また、完全フラットなので幾何学的なゆがみがないのも、デザイン系では非常にメリットが大きいと思います。写真などを扱う場合、写真画像自体にゆがみがありますので、モニタがゆがんでいるのか、データがゆがんでいるのかCRTモニタでは分からないということがありますが、液晶モニタではそれがありません。

――先日発表された新製品「ColorEdge CG211」についてお聞かせください。
山口 「ColorEdge CG211」はグラフィックアーツ業界で求められる正確な色再現を実現する、ハードウエア・キャリブレーションへの対応や高精度な演算処理、工場で1台1台調整した正確な階調表現などに加え、1番大きい特長は、新たに独自開発した「デジタルユニフォミニティ補正回路」という、画面全体の輝度ムラや色ムラをモニタ側で補正するという機能です。これにより、従来の液晶モニタでは実現の難しかった、画面全域の輝度および色度の均一性を向上させ、さらなる高性能化を実現しました。

――御社がお客様に製品を提供する際のセールスポイントをお聞かせください。
山口 お客様にとって信頼できるモニタを提供し続けている、ということです。もちろん画質には徹底的にこだわっておりますし、技術レベルの向上は常に行っております。先ほどご紹介しました「デジタルユニフォミニティ補正回路」技術などが、その好例です。また、5年間の製品保証や、アフターサービスにも力を入れています。特にColorEdgeでは、定期的にモニタを調整し直すなど、お客様に長く使っていただけるようなアフターサービスメニューもご用意しています。

――今後の事業展開・業界への要望などお聞かせください。
山口 「ColorEdge」シリーズでは、今のところ静止画に対する性能のブラッシュアップは行っておりますが、動画についてはまだまだです。動画については、静止画とは違った性能の要求が出てくると思いますので、それらをクリアしながらお客様に信頼される製品を開発していきます。
業界への要望としては、現在色校正は紙での校正が主流ですが、海外では既にモニタ校正システムが導入されつつあるという段階です。
海外では確かに地理的条件もあり、モニタで校正のほうが効率が良いという事情はありますが、モニタの色再現精度がますます高くなっていけば、日本の市場でもモニタで校正をしてもよいというお客様は出てくると思います。おのずとそうなっていくかもしれませんが、われわれとしましてもそういった方向に進んでくれることを望んでおります。

 株式会社ナナオ
〒924-8566 石川県白山市下柏野町153
TEL 0120-956812(EIZOコンタクトセンター)
URL http://www.eizo.co.jp/

 

(2007年1月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

グラフィックス業界の良きパートナー企業を目指して

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:グラフィックス業界の良きパートナー企業を目指して

 

株式会社きもと 営業本部 グラフィックス部門長 福岡 康氏に聞く

 

機能性フィルムの総合メーカー、きもとのグラフィックス部門では、「製版を中心としたプリプレス」と「サイングラフィックス向け大判インクジェットプリントソリューション提供」の2本柱で事業展開し、特にCMSに重点を置いている。中国でのDTPの受託サービスも展開している。

 

――始めに、貴社のグラフィックス業界との関わりについてお聞かせください。

福岡 きもとはもともとコーティングメーカーですので、グラフィックス業界向けにはマスキングフィルムなどのアナログ製版用の消耗品を中心に製造・販売をしておりましたが、ここ7~8年ほどはインクジェット関連製品のシェアが年々大きくなってきました。具体的には、サインディスプレイ向けに開発された「キモアート」「スーパーキモアート」といったインクジェット出力用フィルムで、用途としてはポスターや看板などです。
一方、「キモセッター」というデスクトップ簡易型CTPを販売しておりますが、専用のフィルムプレートとして、「キモプレート」があり、当社のオリジナルコーティング製品となります。 現在、グラフィックス向けのコーティング品として製造しているのは、この2つが中心となっております。
グラフィックス事業全体に対する当社としてのポジションを考えますと、メーカーというよりも、商社的な位置付けが大きくなっており、事業規模では国内で約50億円弱の販売実績を上げています。基本的にはさまざまなソリューションをアウトソースし、独自のオリジナリティを付加して印刷業界にご提案を続けております。

――グラフィックス部門についてもう少しお聞かせください。

福岡 グラフィックス部門は、「製版を中心としたプリプレス」、および「サイングラフィックス向け大判インクジェットプリントソリューション提供」の2本柱で事業展開をしております。現状あらゆる部分でデジタル化が進んできたので、それへの対応ということも含んで、当社は品質の説得力としてCMS(カラーマネジメントシステム)に重点を置いております。
現在はエックスライト社に統合されましたが、旧グレタグマクベス社の国内正規代理店として同社の測定機器、ソフトウエアを中核とし、インクジェットDDCPの「ORIS ColorTuner」および出力用メディア、これらを特にグラフィックス業界向けに「CMSソリューション」として提供しております。
さらに、ハードやソフトだけではなく、人的なテクニカルサポートの充実も重要との認識から人材育成には重点を置いており、 大きな商品価値としてお客様にご提供させていただいております。

――お客様のCMSに対する関心はいかがですか。

福岡 当社は大判インクジェットとの関わりが大きいのですが、例えば看板・ポスターなどのサインの用途では、「締まった黒」「ビビッドな赤」などが好まれますが、最終成果としてのグラフィックスの色品質に基準値と言いますか、製作プロセスにおける標準化がなされていないのが実情です。
従来、この分野でもインクジェットで任意の色を出したいという需要は常にあり、ここに当社のCMSの考えや技術、ソリューション提供を行うようになりました。今では業界全体がCMSを求める傾向にあり、CMSソリューションが、サイン・看板・ディスプレイといった分野にも受け入れられつつある状況です。

――デジタル化が進めば、グラフィックス業界の会社は事業の幅が広がりますよね。

福岡 ええ、当社としてもその部分にはこれからも重点を置いて、提案を強化していきたいと感じております。
もともと当社が提供しているサイングラフィックス向けのソリューションは、ハイエンドのアプリケーション向け、つまりコマーシャルラボ、サービスビューローといったお客様を主体に始まりました。印刷会社の高い技術力を、大判オンデマンドプリントでも生かせるよう、それにこたえられるシステム、部材を当社が提供し、最終的にはクライアントが満足する「品質」を実現する、これが理想的な形だと思います。
実は、印刷業界にもこういった提案を7~8年前より行っておりますが、当初サイングラフィックスの出力サービス業務は、枚葉印刷のおまけのような位置付けとして見られていました。ところがここ2年ぐらいの動きで、一部の会社が社内に独自のプロジェクトを立ち上げられたりして新たな設備投資をし、事業を展開するケースを多く見かけるようになりました。 この動きは当社としても歓迎できる方向ではありますが、この動きを加速するためには、経営者が事業展開をどう考えているかがポイントになりますので、今後は経営者に対し当社がもっているノウハウを提供しながら啓蒙活動を続けていこうと考えております。

――この分野に関して、印刷会社でこれからのことをいろいろと考えた時、良き相談相手がなかなかいないという状況がありましたが。

福岡 当社は、その’良き相談相手’としてのポジションを得たいと思っております。
高い投資金額で導入したシステムが、当初の見込みに反して、段々と価格競争の渦に巻き込まれたり、成果品のスペックに融通性を求められたりして、身動きが取れなくなることがよくあります。ですが、そういった点では当社の場合、これまで蓄積した豊富な経験を元に、お客様に不安のない提案が可能と信じております。最新技術の導入および品質的な差別化はもちろんですが、それをサポートする事細かな面倒見の良いメンテナンス、これが非常に重要で、この点に関しては、お客様のお役に立てる自信があります。

――最近、屋外広告の分野が伸びているように思いますが、貴社の取り組みなどお聞かせください。

福岡 当社では、屋外看板を中心に媒体の付加価値を上げるという意味で、2年前に「セルフクリーニングフィルム」を開発いたしました。用途としては長期の屋外媒体の保護材料として使用しますが、表面に光触媒技術を使っており、紫外光を照射した状態で雨が降れば、その雨で自動的に汚れを落としていくというフィルムです。当社としては「セルフクリーニングフィルム」を自然界の力だけで表面洗浄を行えるという特長から、環境にも優しい製品の一つと考えております。

――最後に、中国での事業展開をご紹介ください。

福岡 規模的にまだまだ小さいですが、2年ほど前に中国東北部の瀋陽にある現地法人(SKI=瀋陽木本実業有限公司)で、DTPの受託サービスを開始いたしました。
人件費が安いというところに着目し、GIS関連の受託処理業務を行う会社として、地図関係の入力など、人海戦術的な作業を請け負うことが多かったのですが、事業展開を進めるうちに閑忙期がはっきりしていることが分かってきました。その状態を解消する意味で、通年仕事の見込めるDTPサービスを手掛けるようになりました。具体的には、一部レタッチを含んだ画像の切り抜き業務です。今後も中国での事業展開は拡大していく予定です。

株式会社 きもと
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-19-1
TEL 03-3350-0304 / FAX 03-3350-4900
URL http://www.kimoto.co.jp/

 

 
(2007年2月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ブラウザを超えて進むインターネット

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:ブラウザを超えて進むインターネット 

 

イースト株式会社 代表取締役社長 下川和男氏に聞く 

 

1985年設立以来「パーソナルコンピュータとともに」をテーマに、Windows系ソフト開発において、高い技術力と信頼を得てきたイースト株式会社は、常に新しい技術に基づく製品を提供し続けている。
Vista技術の普及啓蒙に力を入れている、イースト株式会社の下川和男社長に、ブラウザの制約から解放されて、アプリケーション開発の自由度が増した技術の特長と、Web2.0の動向を伺った。

 ――今最も力を入れておられることは?

下川 マイクロソフトの最新OS Vistaはすごい仕組みをもっているのに、あまり認知されていません。例えばWPF(Windows Presentation Foundation)機能を使うと、インターネットに接続しているのに、ブラウザがない世界が作れます。Flashを使ったWebサイトでは、ブラウザのメニューと枠の中でFlashアプリが動きます。それがブラウザのメニューがなくてアプリケーションだけが動くようなプログラミングが可能になります。利用者はブラウザを抜きにしてアプリケーションに集中できます。
Vistaではドキュメントも大きく進化しました。WPFドキュメントの一番の特徴は自動段組み機能で、ウィンドウを広げると自動的に段組み数が増えて、縮めたら少なくなるし、文字サイズも自由に変えることができます。

マイクロソフトのXAMLというXMLのアプリケーション言語体系は、膨大な機能をもっていて、HTMLの機能も包含し、その上に新しいテクノロジーが入っています。例えばFlash的なスクリプトをXAMLで書くことができます。それを再生すればFlash以上に、きれいに動くアプリケーションが作れるし、ドキュメント用の構造も定義されているので、T-Timeのような電子書籍風の表示も行えます。
今まではブラウザで印刷すると右側が欠けて出ていましたが、WPFの印刷機能では、A4と指定すればA4判で一番きれいなレイアウトで印刷します。 現在、XAML関連のソフトを開発していますが、1月4日に次世代Windows技術を使った、Web2.0実証実験サイト「est.jp」を公開しました。Vista技術の普及啓蒙を図りたいと考えています。

――入り口はWebで、そこから先はシームレスに開発ができるようになるということでしょうか。

下川 Webからリンクしてアプリケーション起動もできるし、Vistaのサイドバーにいろいろなアプリケーションのランチャーを置くこともできます。
例えばVistaを起動すると「ニューヨークタイムズ」というメニューがサイドバーに表示され、クリックするとアプリケーションとしてそれが動き、「ニューヨークタイムズ」の最新ニュースが見られるという形になります。
今回のVistaやOfficeの特徴は、「インターネットへの接続方法として、なぜみんなブラウザばかりを使うのか。アプリケーションを作れば、Web側のSOAPを使ったサービスを使ってやり取りするだけでよいではないか」という考え方です。今でもWebサービスをOfficeから呼ぶことができますが、もっとやりやすくなり、さらにOffice製品のデータ構造がXMLになったことで、アプリケーションからOfficeドキュメントを生成することもできるようになります。アプリケーションがOfficeのXMLドキュメントを読むという世界が作れ、アプリケーションの自由度が高まります。

――XPからVistaへ移行の問題がありますが。

下川 マイクロソフトが危惧(きぐ)しているのは、「今のままでいい」と言われることでしょう。次のもっと良い世界に入ってしまえば古いものの不便さが分かりますが、「これでいい」と思っていると、変われません。

――企業のITシステムのグランドデザインがしっかりできていると、新しいテクノロジーを取り込みやすくなります。しかし、会社としてのグランドデザインがパソコンに移り切っていないところもまだ日本にはあります。

下川 マイクロソフトもインフォメーションアーキテクトという言い方で、アーキテクトを育成して、グランドデザインができるようにと考えています。顧客からのさまざまな案件に対して「基本構想はこうしよう」という提案をする人をイースト社内でも育成しようとしているし、デザイン会社と組んでWebデザインの向上にも注力しています。

Vistaの普及が今のXPと同じレベルになるには、5年くらい掛かるのではないかと見ています。XPへの.NET Framework3.0の追加で、WPFは動くので、数年後には、「ニューヨークタイムズ」のTimes Readerなどの有用なWPFアプリケーションが普及すると思います。

――最近はSNS(ソーシャルネットワークシステム)に力を入れられているようですが。

下川 3年越しでBizPalというサービスに取り組んでいます。SNSを根幹としてWeb2.0技術で会社のコミュニケーションを向上させようという顧客も現れています。 さまざまな会社から、いろいろなAPIをもったサービスが出てきます。例えばOffice Liveというサービスは、スケジュール管理、顧客管理など豊富な機能があるのですが、それとBizPalを連携させたり、Grooveという、共同作業の仕組みともBizPalを連携させたいと考えています。
何かシステムを作る時、私たちはインターネット上のサービスとして提供するわけですから、他社のさまざまなサービスとも連携して、多展開していこうということです。

――Webも単に情報提供したら終わりではなくなって、受発注や広告など、いろいろなものが絡んできて、拡張性が求められています。トランザクションやレポーティングなどの機能も必要です。

下川 RSSやWeb APIなどをうまく組み込んでおくと拡張性がもてるようになります。

デザイン系の人はWebの見えるところだけに特化して、バックオフィス部分は全然気にしていないので、イーストのような会社とデザイン会社が組めば良いサイトできると思います。
VistaにしてもOffice2007にしても、今までのいろいろな課題に対応した知恵を盛り込んだ製品に仕上がっているので、その辺に着目すると解決策のヒントになり、そういう技術を組み合わせて作ったほうが、早くソリューションが提供できます。
イーストのMyDictionaryという仕組みはWeb APIを公開していますので、それを使って、W-ZERO3でウィキペディアの検索サービスを作りました。もちろん無料です。イーストの辞書プロジェクトは10年以上の歴史があるので、これからは辞書検索の広告連動ビジネスなども手掛けたいと思っています。また、IE7のOpen Searchにも対応させますので、IE7の検索窓で辞書が引けるようになります。

現在のテクノロジーで、これから4~5年はいろいろな新しいサービスが出現し、インターネット上も伸びる企業と伸びない企業が振り分けられ、2010年ごろには企業の隆盛に決着が着くと考えています。

イースト株式会社
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-22-8 代々木かえつビル
TEL 03-3374-1980 / FAX 03-3374-2998

 

(2007年3月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

顧客とともに印刷ビジネスを考える

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:顧客とともに印刷ビジネスを考える

 

株式会社光文堂
代表取締役社長 小澤久隼氏に聞く

 

光文堂は1946年の設立以来、印刷機器・資材の販売を中心とした総合商社の立場から全国の印刷業界をサポートしてきたが、創業60周年を機に、新たな事業体系の一貫として「クロスメディアソリューション開発本部」を立ち上げた。印刷業界とともに発展してきた同社の小澤久隼社長に、さらなる飛躍に向けたキーワードを伺った。

――全国の印刷業界を長年サポートしてきた立場から、現状と問題点をどうお考えですか。

小澤 印刷業界を取り巻く環境は、デジタル化の進展によってネットワーク環境が充実してきましたが、一方ではグローバル化を始め、短納期化・小ロット化・低価格化といった課題を抱えています。速いスピードで大きな変革が起こっている中で、この変化に対応し切れていない印刷会社は伸び悩んでいて、伸びている会社とはっきりと差が出てきています。
アナログの時代はある程度自社の仕事を想像してその範囲で設備を選択してやってこれましたが、デジタルになって、何をやっていいのかさえ分からなくなっている会社もあります。
99%エンドユーザーとの取引ですが、大半の地域で新しい事業の柱を見いだせないで悩んでいる顧客に直面しました。そこで、2006年11月に「クロスメディアソリューション開発本部」を立ち上げました。発注者のマーケティングの状況も含め、顧客のビジネスまでをサポートすることを目指したものです。顧客と一緒に考えていく中で、最適な設備やソリューションを提供したいと考えています。

北は北海道から南は沖縄まで、25店舗で地域に密着したサービスを行っていますが、そこで問題になるのはやはり人材の育成です。本店には技術も含めて幅広い人材がいますが、各拠点でマーケティングを含む幅広いサポートを行うのは困難です。また、拠点ごとのばらつきも問題になります。そこで、拠点の教育や地域のサポートを行うことができる人材を育てるための研修を行っているところです。新部門は9名でスタートし、スタッフを常時各拠点に派遣できる体制を整える予定です。
KBDブランドのソフトを自社開発してきましたが、社内ですべてを行えばノウハウは蓄積できますが、かなりのマンパワーが必要で、販売機会を逸する恐れもありました。アウトソーシングや専業者との提携によって開発期間を短縮し、顧客に最適なソリューションをいち早く提供できる体制に切り替えました。さらに、この人材を新部門のスタッフに振り分けることで、ソフト開発のノウハウを生かしたいと考えています。

――クロスメディアに着目したのはどうしてですか。

小澤 今までは、規模なりの仕事をもっている顧客に対して、品質向上や納期短縮、コストダウンを実現するソリューションを提供すれば、顧客の収益につながり、当社のビジネスにもなっていました。しかし、デジタル化や他産業の参入によって、今までの設備ややり方では規模に合った仕事を確保できない状況になっています。
当社は自社ブランド商品はもっていますが、あらゆるメーカーのハードからソフトまで取引していることから、本当に顧客の仕事に合ったソリューションを提供することができます。もちろん、品質向上や納期短縮、コストダウンに対応することが今後も基本になりますが、業界の変化にどれだけパワーを掛けられるかが大きな課題です。
PAGE展の移り変わりを見ても、アメリカの市場動向を見ても、短納期、少部数、デジタル化の方向にさらに進むことは間違いありません。印刷機械を動かせばもうかった時代から、ノウハウやソフトが企業の柱になってきました。印刷機と違って、オンデマンド機ではカウント料金が収益となるビジネスモデルになります。印刷会社も紙媒体だけではビジネスが成立しなくなっています。

このような状況から、当社が培ってきた最新の技術・情報を印刷業界の発展に活用できないかと考え、クロスメディアに着目しました。従来、生産部門に偏りがちだった当社の業務に営業部門の視野も入れることで、多様な環境変化にも対応する体制を整えました。 例えば、電子ブック作成アプリケーション「e-Book II」などの自社商品を活用してデータの資産性を高めるなど、顧客とともに印刷ビジネスを考え、顧客自身の問題解決を図っていきたいと考えています。また、カラージップジャパンの提供する次世代バーコード「カラーコード」の販売も開始しました。クロスメディアソリューションの重要なツールとして、既存の販売チャネルに加え、顧客を通じて顧客の顧客である企業や官公庁などへの拡販も図っていきたいと考えています。

――中小や地方は特に厳しい状況で、連携も必要になるのではないでしょうか。

小澤 現在の売上構成比は、材料関係が52%、自社開発製品やOEMを含む機械が48%です。事業所数の減少とデジタル化によって、材料関係の売り上げは減少傾向にあります。10年ほど前はMacintoshの導入やサポートがかなりの売り上げになりましたが、現在はEビジネスサイト「K-bazaar」に移行しています。このような変化に対応して新しい分野にシフトしていかないと、収益を確保できないだけでなく、顧客とのパートナーシップも築けません。
現在全国で100名近い営業担当者がいますが、制作からプレス、ポストプレスまで全部担当していて、これだけ変化の激しい状況で、あらゆる知識を覚えさせるのは無理があります。新しい分野に対応できるスタッフを本部で教育して、拠点のサポートをしていく必要があると考えています。

全印工連の業態変革推進プランに「原点回帰」がありますが、当社も61年目に入り、もう一度原点に戻って、見直すべきものは見直して、適正な利益を確保することで、体力を付けて次の手を打てる体制を整えたいと考えています。新しいことにリスクは付きものですが、リスクを最小限にするためにもやはり人、社内の人材が一番のカギになります。
東京、大阪、名古屋などと比べて、地方ほど厳しい状況にあります。そこで、顧客と一緒にマーケットをリサーチして、具体的なアドバイスや最適な提案ができれば、信頼・安心していただけるパートナーとして、取引にもつながるでしょう。
今までは、印刷物の品質管理を実現する「KBD Quality Reporter」や、紙粉による印刷トラブルを解消する「KBDペーパークリーナー」、インキカラーコントロールシステム「KBDマイクロカラー」、既存システムをCIP3化する「KBD EPLEX」などの自社ブランド製品によって、高品質・短納期・低価格を実現できました。しかし、今後は顧客にとって最適なシステムを提案するだけでなく、システムに合った仕事を確保していくための提案が必要になってくるでしょう。
1月25~26日に開催した「第43回新春機材展」では、「変革と飛躍」をテーマに、昨今の印刷業界が直面する「デジタル」「ネットワーク」「クロスメディア」という3つの課題に対して、新鋭の機器・最新情報を披露しました。また、前回に引き続き「コラボレーション展」を併催しました。全国から21社の印刷会社がそれぞれの強みを披露し、共創ネットワーク作りやビジネスチャンスの拡大にお役立ちできたのではないかと思います。

株式会社光文堂
〒460-0022 愛知県名古屋市中区金山2-15-18
TEL 052-331-4111 / FAX 052-331-4691

 

(2007年4月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

お客様の成功へのサポート

※本記事の内容は掲載当時のものです。
事業紹介インタビュー:お客様の成功へのサポート 

 

ハイデルベルグ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 山本幸平氏に聞く

 

 ドイツ・ハイデルベルグ社は世界170カ国に20万社の顧客をもつグローバル企業である。
そのハイデルベルグの印刷機が初めて日本に上陸してから今年で80周年。そして、未来に向けて、ますます日本の印刷業界、お客様に対するサポートを強化しているハイデルベルグ・ジャパンに、印刷機器メーカー、またトータルソリューションプロバイダーとしての事業展開と顧客支援ついてお話を伺った。

――印刷産業市場とハイデルベルグ社の現況についてお聞かせください。

山本 まず、世界の印刷産業市場を見ますとヨーロッパは微増、北米はM&Aによる企業格差の増大が特徴的で、成長しているのは南米と中国・インドを中心としたアジアです。日本は企業格差が拡大しています。印刷の事業者数が減り、1事業所当たりの売り上げが伸びてきています。また、世界の製品別印刷媒体の生産割合では販促物のシェアが一番高く、パッケージ・出版・ビジネスが多いのですが、今後はパッケージ印刷が伸びていくと考えています。カラー化も進んでいて印刷物出荷量で4色以上の割合は1990年に35%だったものが、2005年には50%、これは予測ですが2020年には70%に達すると見ています。
ハイデルベルグの社員数は1万8700人(このうち日本法人は約500人)で、設備の活性化によって今年度は力強い成長を維持しています。ヨーロッパ、アメリカ、日本など印刷先進国での10、12色の両面兼用機、UVやコーティングなどの特殊機、生産性と高品質のためのXL105機の出荷増によっています。それから中国やインド、ラテンアメリカで4色機などの標準仕様を中心とした高成長です。

――開発と生産への取り組みはいかがでしょうか?

山本 ハイデルベルグはドイツを中心に世界に14の生産・開発拠点をもち、ソリューションプロバイダーとして印刷プロセスを取り囲むハード、ソフト、ブレインウエアを提供しています。印刷の将来を見据えた総合的な研究開発のために昨年は総売り上げの約6%を投資しています。約1500人が研究開発に携わっていて、そのうちの約350人がソフトウエア開発に従事しています。大学、研究所、サプライヤーなどとの国際的なネットワークを構築し、研究開発に活用していて年間5500件の特許を申請しています。
ウイスロッホの組み立て工場は87万3000m2あり、サッカー場の約120面に相当する広さで、従業員が6000人です。アムシュテッテンにある鋳造工場では、ギアやシリンダー、フレームなど印刷機の品質を実現するために重要な役割を果たす部品が鋳物から作られています。非常に優れた品質でハイデルベルグの機械が高精度に保たれている一つの理由です。

――どのような顧客支援をされていますか?

山本 今、お客様にとっての課題の解決を3つの観点からサポートさせていただいています。一つは「スピードアップ」を求められているということ。次に「コスト削減」、それから「付加価値(印刷価値)の向上」です。
スピードアップについてはプリネクトによるプロセスの最適化と全体生産性の向上を図っています。基本的にお客様にとっての理想的な生産工場、生産現場とはどういうものかということを考えています。いくらデジタル化や技術が進んでも、やはり印刷というのはアナログの感性が必ず必要になってきます、そういうことをアナログの感性を損なわずにデジタルネットワーク化への適合をご説明して提供させていただいています。営業、制作、工場がやはり共通の認識をもってお客様サイドでスキルアップに努められる環境作りのお手伝いさせていただく。それから、多種多様な仕事、非常に効率良く対応できる生産設備を提供・提案させていただく。これによって工場内での標準化、つまりだれが刷っても品質にムラがないように指導させていただくこと。無駄のないワークフローのご提供で環境に優しく、人に優しい工場を作っていきましょうということ。これが弊社の営業担当者のエッセンスです。お客様の必要に応じて提供できるソリューションがたくさんありますけれど、それを駆使して印刷の前から後ろまで製品完成品が納品できるまでのフローのお手伝いがワンソースでできますよ、ハイデルベルグ・ジャパンとお付き合いしていただければできます。そういうアプローチをさせていただいています。

――今後、どの分野で成長が期待できますか?

山本 高品質の印刷を正確に行うためには印刷機と連動するCTPが不可欠ですが、ハイデルベルグのCTP、特にサーマルのスープラセッターに対する評価が非常に高くなっています。印刷機も生産性向上に貢献しています。同じ菊全判の4色機でも2000年と比べて2004年では20%アップしていますし、2006年では50%アップしています。値段はほとんど変わっていません。
新しい技術の一つとしてアニカラーが、今年から日本に入って来るのですが、これが驚異的な機械です。従来機に比べて損紙が約80%削減でき、前準備時間も50%削減できるんです。100~1000部くらいのロットの仕事に最適です。この部数でしたらデジタル印刷機より高い利益率が得られます。
後加工の効率化では断裁機、折り機、中綴じ機の導入も進んでいて無線綴じ機も間もなく日本仕様で入ってきます。
パッケージ部門は非常に強化していてヤーゲンベルクを買収してから後工程の加工技術が急速に向上しました。

――ハイデルベルグだから提供できるさまざまなソリューションについてご紹介ください。

山本 まず、装置の先進性が挙げられます。生産性の高い装置は設備投資の額も高くなりますが、お客様にとってのメリットは非常に大きいのです。さらに、印刷の標準化を徹底的に追求するサービスと、PMAによる人材教育のサポート。そして保守メンテナンスプログラムの豊富さも弊社ならではの特徴です。幅広い人材が揃っており、彼らがプロセスを超えてコミュニケーションしサポートしますので、いい機械をきちんとメンテナンスさせていただくと同時に最高のレベルに保つことができます。こういった観点からも、お客様のトータルコストの削減に寄与できると思います。入り口から出口まで一気通貫でいかにコスト削減ができるか、いかに収益を確保できるかということが、今の印刷会社には大切なことだと思います。
また、リモートサービスと呼ばれる遠隔サービスも提供していますが、これはインターネット回線を使ってお客様の機械とつなぎ、状態を見ながら診断をするというものです。リモート点検でトラブル対策もできますし、リモート操作指導もできます。機械の状態を見ながら電話で担当者が適切なアドバイスをいたします。
昨年は、ジャパンロジスティックセンターも開設しました。今まで以上に、ハイデルベルグの機械に最適なパーツや消耗品を素早く確実にお届けできるようになっています。 プリント・メディア・アカデミーでは、印刷業界のお客様と従業員の方々のために豊富なトレーニングコースをご提供しています。また、ファイナンスサポートでは設備投資の資金調達だけでなく、財務コンサルティングといったこともお手伝いさせていただいています。

――付加価値向上についてはいかがでしょうか?

山本 付加価値向上という観点からスーパーファインカラー、ワイドカラー、UV特殊印刷、インライン加工など印刷に関する技術指導を行っています。有償でプリントコンサルタントという専門スタッフが印刷工場のオーディット(現地監査)を行って問題解決への提案をしています。印刷の高品位化・標準化、収益性の改善、経営効率の改善などです。また、会員数が約700社のハイデルフォーラム21もマネジメント、テクノロジーなどに関する最新情報の提供やお客様同士のネットワーク構築の場として活動を支援しています。

ハイデルベルグ・ジャパン株式会社
〒140-8541 東京都品川区東品川3-31-8
TEL:03-5715-7255 FAX:03-5715-7250

 

(2007年5月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ハイエンド・デジタル印刷機「imagePRESS」により印刷業界への本格参入

※本記事の内容は掲載当時のものです。
事業紹介インタビュー:ハイエンド・デジタル印刷機「imagePRESS」により印刷業界への本格参入

 

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 ビジネスプロダクト企画本部
ビジネスドキュメント機器商品企画部 部長 岩屋 猛氏に聞く

 

デジタル印刷機は、既に小ロットやオンデマンドの市場を確立し、各社の技術開発はより高度化の傾向にある。プロユース向けに開発されたキヤノン「imagePRESS」も、高画質の印刷を提供できるハイエンド・デジタル印刷機として登場した。特に商業印刷市場を視野に入れて開発されてきたという製品開発の背景と業界参入に対する考えを、岩屋猛部長に伺った。

――ハイエンド・デジタル印刷機「imagePRESS」には印刷業界でも大変関心が寄せられていますが、製品開発の背景からお話しください。

岩屋 キヤノンは、ここ数年オフィスカラーMFPを中心に製品ラインナップを充実してまいりましたが、振り返ってみますと、1987年に「CLC1」を発表した当時、高画質のデジタルカラー複写機ということで大変好評をいただきました。それから2年後に「CLC500」という商品を発表しました。初めて、パソコンやワークステーション、アプリケーションからの出力が可能になったデジタルカラー複合機の走りでした。その時以来、いわゆる「カラーはキヤノン」「高画質はキヤノン」ということで、商業印刷の皆様にもカンプ用としてたくさん利用いただき、高い評価をいただきました。今回のimagePRESSは、その商業印刷市場にフォーカスしながら、今までのCLC以上に「オフセットに迫る高画質」「オンデマンド出力」を追い求め、ようやく昨年、披露できるような段階まで仕上がってきたということです。

では、なぜこの業界にキヤノンが本格参入したかということについてですが、以前からキヤノンは、ワールドワイドでのオフセット市場の変化に大変注目しておりました。これらの市場では、電子写真がキーとなりプリント・オンデマンドの新しい世界が創造できる、という仮説の下、マーケティング調査をしてきたわけです。その後、電子写真に置き換わっていく市場があるという調査結果が得られました。さらには、3年間でプリント・オンデマンド市場が160%ぐらいは伸びるだろうという調査結果もあり、こうした目算の上で商品開発を手掛けてきたわけです。

一方、国内ですが、ワールドワイドに比べ約10分の1の6兆円から7兆円の市場規模がありますが、プリント・オンデマンドに置き替わる市場というのが、恐らく2009年には3000億円ぐらいになるだろうという調査会社の資料もあります。こうした市場のポテンシャルに大いに期待しております。

――コンペティターも参入している中、印刷業界においてはどのような方向性をもって取り組んでいかれるのでしょう。

岩屋 商業印刷市場に参入するということを、模索し続けてきましたが、この業界は商品をただ買っていただくだけではなくて、その先にやはりお客様があるということが重要です。そのため、「プロダクションの市場」で、プロダクションの商品を販売するにあたっては、専門の知識とサービス・スキルをもった陣容が必要であると考えています。また、お客様にご提供するワークフローなどもきちんと備えていかなければならないとも思います。

現在、約50名ほどの専任部隊を揃え、商業印刷のお客様だけでなく、企業内の集中コピーセンターやプリントセンター、また、複写産業などにも営業展開しています。まずはお客様のところに1軒でも多く足を運んで、お客様の抱える現状の課題や、あるいは業務フローの問題点などをお聞きして、それらを解決できるようなソリューションを行っていきたいと考えています。そのためにも、この度品川本社にプロダクションシステムセンターを新設し、予約制でお客様と1対1で接することができるようにしました。ご導入前の検証をお客様とともに行いながらビジネスをシミュレーションしたり、ご購入後のお問い合わせにも対応できるようにしていきたいと計画しています。

――imagePRESSというネーミングは、印刷業界に参入される意気込みというものを感じますが、そうした姿勢の表れと言えますでしょう。また、さまざまな媒体で展開されているプロモーションも、そうしたことの表れではないでしょうか。

岩屋 PRESSは印刷機のプレスでして、やはりそれなりのバックヤードがないといけません。あえて、PRESSという名前を付けることにしたのは、電子写真で最高画質、限りなくオフセットに近い品位とグロス感をうたい文句に開発したことにあり、ターゲットは、オフセット印刷の高画質ということで挑戦を進めていくということです。 また、プロモーションについては、今年はモーツァルト生誕250周年にあたるということで、JTBが企画するウィーンへのツアーに弊社も協力させていただくことになりました。

今、JTBとはカタログの電子化とPODを進めていることもあって、「JTBのお客様に対して新しい付加価値をどう生み出すか?」「JTBがお客様に何か付加価値を提供できないか?」というところからスタートしました。
ツアーにご参加いただいたお客様にプロのカメラマンがサポートし、ツアー中に写真を撮るわけです。モーツァルトのオペラ「魔笛」を鑑賞すると、そのチケットが存在します。その日付と個人の名前が入ったチケットを大切に保管したいというようなご要望におこたえして、そのチケットをウィーンのJTB事務所から、わたしどものColor imageRUNNERでスキャンして東京に送ります。東京では編集者が待ち構えていて、プロのカメラマンがデジタルカメラで撮った画像とチケットを東京の事務所で全部合成をしまして、思い出のメモリアルブックを製作し、最終的にはimagePRESS C1で製本して出力するわけです。

そして、宣伝にもありますとおり、成田空港にお客様が帰ってきた時にその場でお土産としてお渡しできるようにいたします。こうして、imagePRESSの画質や機能性を知っていただくだけでなく、印刷会社には、クライアントとの関係の中でこうした用途展開もあるという何かのヒントにしていただければと思います。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
本製品に関する問い合わせ先:
キヤノンお客様相談センター 050-555-90053

 

 

(2007年1月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

顧客とともに栄える~印刷機材の総合商社

※本記事の内容は掲載当時のものです。
事業紹介インタビュー:顧客とともに栄える~印刷機材の総合商社

 

株式会社モトヤ 代表取締役 古門慶造氏に聞く

 

活字、組版メーカーとして創業85年の歴史をもつモトヤの三代目社長古門慶造氏に、同社の「昨日・今日・明日」を伺った。

――85年という長い歴史の中でエポックメーキングをお聞かせ下さい。

古門 もともとは印刷業を営んでおりましたが、3人兄弟のうち、2人が印刷業を継ぎ、私の祖父が「印刷のもとや」ということで活字の製造、印刷材料の販売を始めたのが「モトヤ」の始まりです。当時は姫路に拠点があり、戦争中は空襲の戦火から鋳造機を守るのに大変苦労しました。 戦後は1949年に株式会社に改め、本社を大阪に移し、第二の創業として出発しました。その後、経済の復興とともに全国主要都市に営業所や代理店を拡大していきました。 エポックな出会いとなったのが1963年の父親のアメリカ視察でした。IBMの工場見学をして大きなショックを受けてきたようです。『日本では活版全盛であるが、これからはコンピュータの時代だ』と父の頭の中はコンピュータ一色になったようです。でもコンピュータでどうやって印刷をすればいいのか…、それが後の電算植字(1969年)、とタイプレス(1970年)に発展することになりました。

――タイプレスはまさに時代を象徴するヒット商品ですね。

古門 活字を使わないコールドタイプシステムとして画期的な商品として迎えられました。タイプ印字を自動制御化して電動タイプレスEEを発売し、第3回発明大賞考案功労賞を受賞しました。この年(1978年)にワードプロセッサ(東芝JW-10)が発表されました。当初は価格面と品質面から賛否両論ありましたが、モトヤでは「これは敵ではない。どうやって使おうか」と開発に力を入れました。DTPの前進となる電子組版機「MT-5000」「WP-6000」の開発、誕生となりました。1984年に普通紙出力の「レーザー7」を発表しました。

――ハードを生かすにはソフト面の継承が重要ですね。

古門 ハードの自由度が高まればいろいろなことができますが、それをどう利用するかが難しくなってきます。タイプレスのころは活字組版をどう継承するかで自問自答しながら開発しました。ワープロからDTPとなりオープン化になったことで組版能力をもった機械(専用機)から自在性をもった安価なソフトで仕事がこなせるようになりました。つまり専用システムの時代ではないことから、メーカーから商社へと軸足を移動させました。そこで私たちは「お客様が一番困っていることは何だろう」と考えました。その一つが「人材派遣」でした。なぜかといいますと、印刷(プレス)の前工程(デザイン、組版、版下)はコンピュータの中で統合化され、印刷業界以外のところで制作されることが多くなりました。印刷業は刷るだけの下請けになってしまうのではないかと危機感を感じ、データ作りが他業界に流れないように教育をした人材を派遣をし、レベルを維持したいと考えたわけです。

――かなり大きな方向転換ということでしょうか。

古門 実は人材育成の歴史は古いんですよ。1970年にタイプレスという商品を出したわけですが、始めはオペレーターがいないわけです。そこでタイプレス学院という学校を作り、操作、組版ルールから印刷会社への受け入れ準備などを始めました。ワープロが登場し、DTPが普及しても組版のことを知る人は少なく、印刷業界内部での人材育成は難しいことから、機器開発と並行してオペレーター教育をずっとやってきた歴史があります。
ハードだけ売るのは簡単ですが、それだけでは魅力も夢もありません。お客さんが本当に使っていただけるものにするのが私たちのサービスであると思っております。新しいサービスのように見えますが、わが社の姿勢として以前からやっていることでもあるのです。「顧客とともに栄える」というのが社の理念です。それで85年ずっとやってきています。

――顧客とともに栄える、というもう一つの具体例がp-collaboでしょうか。

古門 そうです。だいぶ業界の中でもp-collaboの認知度が上がってきました。切っ掛けは1995年の阪神・淡路大震災です。印刷業界はどう復興すべきかを考えると、復興に向けて機械を買ってほしいけれど、一人で儲けようとか、そのために設備を全部自社で設置しようとか、そういう考えはやめましょう。互いに協力し合いましょう、下請け感覚はやめましょう、復興のために対等な立場で仕事の仲間作りをしましょう、ということを呼び掛け賛同をいただきました。それで「印刷作業のコラボレーション」という展示会がスタートしました。お客さん同士が新しい仕事仲間が増えた、今まで困っていた仕事ができるようになったと非常に喜んでいただいています。
「印刷作業のコラボレーション」のサポートサイトとして「p-collabo.com」を立ち上げて、ここに今現在で約400社の印刷会社に登録していただいています。31のカテゴリー(キーワード)に分けて、自社の強みの分野に登録しています。1社で3分野出せるようにしています。例えば、「会社案内/パンフレット」が得意、もしくは「大判の印刷」が得意というような分野カテゴリーが31あり、そこへ登録していただいて、そこから印刷会社が簡単に見つかるようになっています。自社の仕事に対して、身近なところあるいは逆にちょっと離れたところで仕事をやっていただける仲間を見つけるパートナー探しのサイトにしております。現在もう一段進めまして、一般企業からの問い合わせにお応えできるサイトにしたいと考え、お客さんのご要望を受け取り、自動的にメールを配信し、あとは直接やりとりができるようにしています。業界全部がしっかり儲かるような形にしていただきたいというのが一番の願いです。
私は1948年生まれですから団塊の世代の真っ只中です。団塊世代は、コンピュータ化されるプロセスを体験しており、昔の手作業とコンピュータ化の両方を知っている人間ですね。定年になった方々のノウハウを、業界のために生かしたいと考えて定年退職者の方々の派遣業務をやらせていただこうと考え「キャリア世代登録」を設けました。また最近始めたのは、生まれ故郷で仕事をしたい、そういう人には登録していただいたら定年までにお仕事を見つけますよ、というような「シニアUターン登録」も作りました。

――最後に文字というものをこれからのビジネスの中で、どういうふうに位置付けられてやっていかれるのでしょうか。

古門 ビジネスとしてはなかなか難しいですね。しかし、文字メーカーはとして、日本語というすばらしい財産をきちんと後世に継承していけるようにしたいと思います。どんなに電子化が進んでも、それぞれの国、民族の言語は文化であり、印刷物もパソコンでも携帯も全部日本語を使っていますからね。

株式会社モトヤ
東京本社:〒104-0032 東京都中央区八丁堀4-5-5
TEL 03-3523-8711 / FAX 03-3523-8712
大阪本社:〒542-0081 大阪市中央区南船場1-10-25
TEL 06-6261-1931 / FAX 06-6261-1930

 

 

(2007年6月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

紙は情報伝達素材の一つ~思いを伝えられる紙製品作りを目指して

※本記事の内容は掲載当時のものです。
事業紹介インタビュー:紙は情報伝達素材の一つ~思いを伝えられる紙製品作りを目指して

 

株式会社竹尾 代表取締役社長 竹尾 稠氏に聞く

 

竹尾は1899年の創業以来、紙の専門商社として、特に紙自身に色や風合、そして模様を施した特殊紙の研究・開発・提供に注力し、多くのオリジナル商品が高い評価を得ている。 竹尾の歴史の中で培ってきた紙へのこだわりとまなざしは、全国主要都市で1965年以来毎年開催している「TAKEO PAPER SHOW」にその一端をうかがうことができる。「TAKEO PAPER SHOW 2007」を盛況のうちに終えた竹尾稠社長に、同展への思いを中心に今後の取り組みなどを伺った。

―「TAKEO PAPER SHOW」は’特殊紙の竹尾’と呼ばれる貴社ならではの充実した展示内容によって、業界唯一の、 そして最大規模の展示会として各界からも評価されています。「TAKEO PAPER SHOW 2007」は、 以前とは様変わりしたような印象を受けましたが。

竹尾 「TAKEO PAPER SHOW2007」は4月12日からの3日間、東京丸の内・丸ビルホールで開催しました。42回目を数える今回は、会場をこれまでの青山から丸の内へ移し、新たな「TAKEO PAPER SHOW」を展開しました。 「FINE PAPERS」をテーマとして、A~Zの頭文字の26銘柄のファインペーパーを使い、丸ビルおよび周辺のショップやカフェ、そして国内および世界で活躍するアーティストとのコラボレーションによる作品を展示し、展示作品は会場内展示と同時に開催期間のみ各ショップにて、数量限定で配布することもいたしました。 ファインペーパーは紙市場全体の2~3%程度と考えられますので、市場を拡大していくためには何か大きなプロモーションを行う必要があるというところから企画されました。今年も含めここ数年は毎回常に企画内容に変化を与えるようにしていますが、以前はお客様が使った紙製品そのものや紙を使った成果物などを並べて、「こういう使い方があるのか…」「他の人たちはこう使っているのか…」ということを感じていただく内容でした。それが段々と「この製品はこう使ってほしい」「こういう印刷加工技術を使うとこうなる」といった、われわれから新しい提案をしていく「TAKEO PAPER SHOW」に変わってきました。 竹尾の営業担当者が、来場されたお客様に印刷の周辺市場にある、例えば「グリーティングカードはどう使うのか」「カタログもここまでできるようになりましたよ」と、その周辺市場の技術がどこまで進んできているかをお話しすると、お客様がそれに刺激を受けて自分たちももっといい印刷物を作ろうと感じていただけます。これによって、紙と印刷加工技術とデザインそれぞれのレベルが上がってきますので、竹尾・印刷業界・お客様ともにメリットのあるイベントとなっています。 また、「TAKEO PAPER SHOW」にとって紙と印刷加工技術とデザインの3つはとても大事な要素です。どれが欠けてもいけません。デザイン性が前に出過ぎるとファッションショーのようになってしまいますし、技術が出過ぎてしまうとマニアックな感じになってしまいます。つまり、「TAKEO PAPER SHOW」が独り歩きしてしまうわけです。これでは見る方々にとって面白くないものになってしまうので、原点に戻りながらそれぞれがバランス良く感じられるイベントであるように定期的に軌道修正を行っています。

―過去の「TAKEO PAPER SHOW」を振り返ってみて、印象に残っていることなどをもう少しお聞かせ下さい。

竹尾 「TAKEO PAPER SHOW」では日本にないような海外のいろいろな市場を紹介することも随分やりました。例えば非常にニッチなものであった「アニュアルレポート」を紹介したこともありました。日本は機関投資家が多くて個人株主が少ないので、今でもあまり定着したとは言えないかもしれませんが、日本にはなかった紙に関わるアメリカの文化を紹介したことはとても印象に残っています。ただ、今後については「アニュアルレポート」よりも「環境報告書」のほうが重要となりニーズが高まってくるかもしれません。

―ニッチな市場も大切ということですね。

竹尾 印刷の定義・範囲が広がってきて、印刷技術が多様化しているように思います。コンピュータが個人のものとなって、当然限界はありますがデザインも印刷も個人でできてしまう。それに比例してニーズも多種多様になりますので、ニッチな市場が多くなってくる。これらの多種多様な少量生産ニーズに竹尾はこたえてきました。 私は、紙は情報伝達素材の一つと考えております。紙には、インキをのせてデザインで勝負するための土台というイメージが強いかもしれませんが、紙そのものにも勝負する力があると思っています。個人の感情や企業のイメージを伝えることができる紙があれば、ニッチな市場でのニーズにもこたえていくことができると思います。

―貴社はグラフィックデザイナーを中心としたクリエーターの方々とのお付き合いも長いかと思いますが…。

お客様とのつながりとして、二つの側面をもっています。一方は、紙を製品の素材として使っている紙文具や封筒、出版関係方々で、竹尾にとって直に接することの多いお客様となります。もう一方は、印刷業界を通じたお客様で、こちらは間に印刷会社が入りますので、エンドユーザーの方々はその先にいます。 それぞれ求められるニーズはさまざまですが、それらをしっかりと捉えることは非常に重要だと考えています。竹尾がこれまで提供してきた各種ファインペーパーも、こういったさまざまなニーズにこたえていく中で、研究・開発・販売へとつながってきたものです。常に良い紙製品をご提供していくためにも、今後もエンドユーザーの方々とのつながりはあらゆるチャネルを使って大事にしていきたいと思います。 お客様との接点としては、見本帖本店もあります。1Fでは、竹尾の常備在庫品のうち300銘柄(2700種類)の紙が色のグラデーション別に一覧できるシステムを用意し、2Fでは紙やデザイン関係書籍を閲覧いただけるほか、紙とデザインの作品をサンプルとして常時展示しています。年に何回かの、紙とデザインに関するさまざまな企画展やセミナーも開催しています。

―環境への取り組みを非常に熱心ですが。

竹尾 竹尾では、「『環境対応紙GA(グリーンエイド)商品』の積極的な開発を展開し、地球環境への負荷がより少ない製品を提供していく」をスローガンに、環境対応を行っています。「GA(グリ-ンエイド)商品」は、竹尾の非木材紙・再生紙・ 無塩素漂白パルプ紙、およびその他の方法で環境保護に貢献する紙の総称で、効率的な材料確保のための森林管理、印刷適性に合うような製品・技術の開発、原料問題への対応など、多面的に考えております。 ただ、今は原料価格が上昇してきており、数年単位で「竹尾に求められること」「竹尾ができること」が変わってくるかもしれませんので、今後も環境への対応には力を注いでいきたいと思います。

株式会社竹尾
本社:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-12-6
TEL 03-3292-3611 / FAX 03-3292-9202
見本帖本店:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-18-3
TEL 03-3292-3669 / FAX 03-3292-3668

 

 

(2007年7月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

「第二の創業」に向けて

※本記事の内容は掲載当時のものです。
事業紹介インタビュー:「第二の創業」に向けて 

 

富士フイルム株式会社 グラフィックシステム事業部 商品技術戦略グループ 技術担当部長 森本恭史氏に聞く

 

「第二の創業期」と位置付け新たなグループ経営体制に移行し、グループ全体の戦略立案機能の強化、経営資源の全体最適配分、コラボレーション領域の拡大などさらなる連結経営の強化を進める富士フイルムに今後の展開を伺った。

--第二の創業期とは?

森本 グラフィックシステム事業も富士フイルム全体の第二の創業に従い変わっていくということだ。本年2月、持ち株会社の富士フイルムホールディングス、事業会社の富士フイルム・富士ゼロックスの本社機能を東京ミッドタウン(以下、TMT)に集結させた。そして、現在、施策展開の質とスピードを向上させて、より高度なシナジー効果を追求しているとともに、戦略的なグループ経営を強力に推進している。その全社的な動きをブレークダウンし、グラフィックシステム事業でもデジタル印刷分野などで富士ゼロックスとのコラボレーションを本格的に開始した。

--基本的な戦略と事業展開は?

森本 中期経営計画を2004年2月に策定し、2006年4月に再策定した。その中に3つの基本戦略がある。それが、「経営全般にわたる徹底的な構造改革」「新たな成長戦略の構築」「連結経営の強化」だ。富士フイルムグループには3つのセグメントがあり、1つ目はカラーフィルムやデジタルカメラなどのイメージングソリューション部門、2つ目は印刷システム機材や医療画像機材、フラットパネルディスプレイ材料などのインフォメーションソリューション部門、そして3つ目は富士ゼロックスが担うドキュメントソリューション部門である。

--構造改革について

森本 イメージング分野を中心に2005~2006年度で集中的に実施した。デジタルカメラとカメラ付き携帯電話の普及により、カラーフィルムの需要が減少していく中で、既に需要に見合った事業体制の最適化を完了させた。他社がカラーフィルム事業から撤退している状況だが、当社はきちんと写真文化を守っていくということを力強く申し上げたい。写真の価値、その素晴らしさを引き続き伝えていくことが使命と考えている。

--新たな成長戦略について

森本 5つの重点事業がある。それは、[1]液晶ディスプレイ用の偏光板保護フイルム「フジタック」などの高機能材料、[2]メディカル/ライフサイエンス、[3]グラフィックシステム、[4]ドキュメント、[5]関連会社のフジノンが中核となる光学デバイスである。これらの事業に対して、積極的な設備投資、研究開発、M&Aを実施している。設備投資に関しては、九州に「フジタック」の新しい生産工場が稼動し、さらに今後、第2、第3の工場が立ち上がる。M&Aに関しては、グラフィックシステムやメディカル/ライフサイエンスの事業分野などを中心に、スクリーン印刷用インクや産業用インクジェット用インクメーカーのセリコール社(英国)やインクジェットプリンタ向けインク染料メーカーであるアビシア社(英国)、産業用インクジェットプリンタ用ヘッドメーカーのダイマティックス社(米国)、放射性医薬品メーカーの第一ラジオアイソトープ研究所(日本)などを買収した。富士フイルムの強みや技術を生かせ、シナジー効果が発揮できるM&Aを行っている。研究開発に関しては、2006年4月に「富士フイルム先進研究所」をオープンさせ、先端基礎研究、新規事業や新製品の基盤となる要素の研究開発をさらに強化している。

--連結経営の強化について

森本 2006年10月に、社名を変更するとともに、富士フイルムホールディングスを中心に、富士フイルムおよび富士ゼロックスの2大事業会社を傘下に束ねた新たなグループ経営体制に移行し、本年2月には、別々にあった本社機能をここ(TMT)に集結させて、連結経営の強化をさらに加速させている。この新体制の下で、富士ゼロックスとのコラボレーションを推進し、グループの技術力の強化も図っていく。

--グラフィックシステム事業の展開は?

森本 富士フイルムグループの売上高は約2兆7千億円で、グラフィックシステム事業はその約10分の1を占めている。現在の主な製品はCTPで、ワールドワイドに展開している。販売戦略はエリアごとに異なるが、全体の傾向として言えるのは、省力化、環境対応などを考慮したCTPのプロセスレスやケミカルレスという商品の開発、販売に注力している。国内では、既にET-Sというサーマルプロセスレスの商品を販売中。さらにバイオレットのケミカルフリーを来年投入することを発表した。その先には、デジタルプリンティングの市場が拡大してくる。M&Aでインクやヘッドのメーカーを買収したのはそういう背景もある。もちろん、この分野での研究開発にも注力している。特にdrupa2008では、デジタルプリンティングに重きをおいたコンセプトを強く打ち出していく予定。

--オフセットの置き換えと新たな市場は?

森本 近年、書店などの陳列でお気づきだと思うが、雑誌など印刷物の種類が増え、動向としては少量多品種化の傾向であり、高耐刷を必要としないデジタル印刷には有利な環境になってきている。その中で、デジタル印刷のキーとなる高画質化などが達成されれば、オフセット印刷からの置き換えも進んでくると予測される。また、デジタル印刷は必ずしも雑誌といったメディアだけでなく、新たな市場として商業印刷以外の産業用印刷分野、いわゆる、サイングラフィック、スクリーン印刷などにも拡大していくと思われる。

--デジタル化でグラフィックシステム全体はどう変わるか?

森本 あるアンケート調査結果ではコストダウン、環境対応、省スペース化の観点で印刷会社は中間材料が少ないほうがよいという意見が多く出ている。その意見に対する提案の一つがデジタル化(廃棄物削減、スペース減などのメリットがある)である。この影響により従来の印刷方式は徐々に減少する可能性がある。ただ、新聞印刷などのオフ輪分野は高耐刷が必要であるため、デジタル化には課題が多い状況である。従って、今後のグラフィックシステムの市場ではこれまでのアナログ・コンベンショナル対応とデジタル化対応の両方が必要とされるだろう。今後、グラフィックシステム事業は富士ゼロックスとのコラボレーションを拡大していくとともに、市場の将来予測と日常の市場動向をよく注視しながら、市場への最善的なサービスを目指していくことを考えている。

--これからのグラフィックシステム事業の使命は?

森本 お客様に最大、最善のメリットを与えることであり、われわれは、業界の数年後がどんな状況になっているかを想定し、その時々にお客様が何を考え、何を求めているかを的確に判断していく。そして、求められている価値を創造する商品化を進め、提供していくことこそが、われわれの使命だと考えている。 既にお話ししたとおり、この使命を全うするためには、市場の将来予測(仮説)とその検証を1歩ずつ行う(日常の市場動向の注視)ことが大事だと考えている。

<<関連情報:印刷物製作工程の大幅な省力化・効率化を実現した 【FUJIFLM WORKFLOW XMFの概要】

富士フイルム株式会社
東京ミッドタウン本社
〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-3
TEL 03-6271-3111(大代表)

 

 

(2007年7月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)