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2018年の印刷ビジネスを振り返る

2018年の印刷市場は持ち直し傾向と天災の影響で一進一退であった。しかし今後につながる様々な変化の兆しを見つけることができる。2019年を考えるために、2018年について様々な材料から振り返る。

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印刷白書2018

印刷白書2018
印刷産業の現在とこれからを知るために必携の白書『印刷白書2018』
第1部「特集 デジタル×紙×マーケティング」
第2部「印刷産業の動向」「印刷トレンド」「関連産業の動向」
第3部「印刷産業の経営課題」
ご注文はこちら発行日:2018年10月25日
ページ数:152ページ
判型:A4判
発行:公益社団法人日本印刷技術協会
定価:9,167円+税
JAGAT会員特別定価:7,685円+税

解説

印刷産業のこれからを知るために必携の白書『印刷白書2018』。
印刷・同関連業界だけでなく広く産業界全体に役立つ年鑑とするために、「印刷白書」は3部構成となっています。
印刷業界で唯一の白書として1993年以来毎年発行してきましたが、2018年版では創刊の1993-1994年版から2018年版までのキーワードと印刷産業の概況・環境変化・課題の推移を一覧表にしました。
印刷関連ならびに情報・メディア産業の経営者、経営企画・戦略、新規事業、営業・マーケティングの方、調査、研究に携わる方、産業・企業支援に携わる方、大学図書館・研究室・公共図書館などの蔵書として、幅広い用途にご利用いただけます。

第1部「特集」では「デジタル×紙×マーケティング」をテーマとしています。
デジタルと紙を組み合わせてコミュニケーションを行うこと、デジタルマーケティングで生きる紙メディアのあり方などの現状分析と課題解決に取り組んでいます。
第2部「印刷・関連産業の動向」、第3部「印刷産業の経営課題」では、社会、技術、産業全体、周辺産業という様々な観点から、ビジョンを描き込み、今後の印刷メディア産業の方向性を探りました。
印刷メディア産業に関連するデータを網羅、UD書体を使った見やすくわかりやすい図版を多数掲載し、他誌には見られない経営比率に関する調査比較などのオリジナルの図版も充実させました。


CONTENTS

第1部
第1章 特集 デジタル×紙×マーケティング
[プロローグ]「デジタル×紙×マーケティング」で新規ビジネスモデルを創出する
[特集1]デジタル化された印刷メディアの再定義
[特集2]デジタルマーケティングにおける紙メディアの特性
[特集3]「情報のデジタル化」と「情報処理の高度化」で進化するマーケティング
[関連資料]情報流通量/DTP・デジタル年表
[コラム]情報デザインで相手にわかりやすく伝える

第2部
第2章 印刷産業の動向
[産業構造]印刷ビジネスの可能性はどこまで広がるか
[産業連関表]ビッグデータで印刷需要を考える
[市場規模]印刷業の強みを生かした需要創造へのロードマップ
[上場企業]経営強化で収益改善を達成した上場印刷企業
[関連資料]産業構造/産業分類・商品分類/規模/産出事業所数(上位品目)/産出事業所数・出荷額/調達先と販売先/産業全体への影響力と感応度/最終需要と生産誘発/印刷物の輸出入額と差引額/印刷製品別輸出入額/印刷物の地域別輸出入額/印刷物の輸出相手国・輸入相手国/経営動向/上場企業/生産金額(製品別)/生産金額(印刷方式別)/売上高前期比・景況DI/設備投資・研究開発/生産能力/紙・プラスチック/印刷インキ/M&A

第3章 印刷トレンド
[デザイン]デザインの力で印刷・加工技術とマーケティングを結びつける
[ワークフロー]社外とつながる開かれたシステムで全体最適化の実現を目指す
[オフセット印刷]多品種小ロット対応から全体最適化に向けた挑戦へ
[デジタル印刷]デジタル印刷の有効性訴求で市場拡大へ
[包装印刷]水性フレキソ印刷とデジタル印刷の活用が進む
[後加工]本格的なスマート化で進展する印刷と後加工の連携
[関連資料]デジタル印刷/フォーム印刷業界

第4章 関連産業の動向
[出版業界]出版流通の多様化と出版ビジネスの多様化
[電子出版]独自のビジネスモデルで成長する電子コミック
[新聞業界]新聞メディアのデジタルトランスフォーメーションの進展
[広告業界]紙とデジタルの協同で広告メディアはさらに深化する
[DM業界]行動喚起力と顧客データベースの進展による新たな動き
[折込広告他]活用シーンの変わる折込広告と地域接点としてのフリーペーパー
[通信販売業界]依然としてネット通販が強く市場は7兆円規模へ成長
[関連資料]出版市場/電子出版市場/コンテンツ市場/新聞市場/広告市場/通販市場

第3部
第5章 印刷産業の経営課題
[地域活性化]人口減少と高齢化を見据えた政策動向と地域活性ビジネスの方向性
[経営管理]「見える化」で数字を共有し意識改革と収益の改善を図る
[クロスメディア]コミュニケーション手段としての動画利用の進展と付加価値
[デジタルマーケティング]個人による情報発信とマイクロインフルエンサーが影響力をもつ時代へ
[デジタルイノベーション]ビジネス、メディア、ソーシャルの3方向に進化するAI・SNS・VR
[人材1]採用案内ツールと体験型インターンシップで企業のブランドを伝える
[人材2]印刷業のビジネスビジョンを実現する「越境人材」
[関連資料]地域活性化/クロスメディア/人材
[コラム]”見えない世界”を克服する学びと気づき/進化を続けるICT活用のビジネスモデル

巻末資料
年表/『印刷白書』年表/主な統計調査の概要/印刷産業&関連団体アドレス/図表インデックス

『JAGAT info』2018年4月号

JAGAT info 2018年4月号表紙

■私の若手社員時代
疑問を持ったら、そのままにせず徹底的に答えを追究せよ
原価管理への疑問が早期のデジタル化対応につながった
共立速記印刷株式会社 代表取締役会長 吉岡 新氏

■特集
印刷ビジネスの動向と展望2017〜2018
強弱入り混じる状況の解釈と変化の方向性を読み解く

■特別企画
page2018カンファレンス報告 デジタル×紙メディア×マーケティングの可能性

■地域活性ビジネス事例研究
「本」による地域活性化、その背景と展開
「本のまち八戸」と「八戸ブックセンター」の試みを事例として

■マーケティング情報
ブロックチェーンと森友問題、その社会と印刷への影響

■技術トレンド/クロスメディア
ライブ配信でモノを売る!
2018年注目の「ライブコマース」の可能性

■技術トレンド/グラフィックス
人事評価と営業プロセスの見える化で次のステップへ

■Education
時代の変化で変わるマーケティングと営業活動

■エキスパート資格
DTPエキスパートに相応しい実技能力とは

■工場見学レポート
技術力プラスαで無限の表現にチャレンジする
2018年 印刷総合研究会 見学会より
株式会社ショウエイ

■デザイン・トレンド
まちづくりの担い手にスポットを当てた
地域×デザイン 2018 ‒まちとまちをつなぐプロジェクト‒

■メディア業界動向
次世代に向け新たな取り組み進展
〜IoTを活用して付加価値創造や働き方改革へ〜
井上 秋男

■森 裕司のデジタル未来塾
CCライブラリを使いこなそう

■デジタル印刷最前線
今年4月、東京に「イノベーションセンター」開設
デジタル印刷のさまざまなアプリケーション活用提案
Xeikon(ザイコン)CEO ブノワ・シャトラール氏に聞く

■DTPエキスパートのための注目キーワード
デザインに関する権利と保護
野尻 研一

■クロスメディアエキスパート試験で役立つメディア課題解決入門
技術の進化で変わるメディア提案
影山 史枝

巻頭言/印刷界OUTLOOK/『JAGAT印刷産業経営動向調査2017』のお知らせ
キーワード2018/西部支社便り/第4期工場マネージャー養成講座のお知らせ
印刷後継者・経営幹部ゼミナールのお知らせ/ニュースラウンジ
印刷営業20日間集中ゼミのご案内/通信教育のご案内/印刷経営ウオッチング
ニューメンバー/消息/『印刷白書2017』のお知らせ

2018年4月15日発行 A4判

「オフセット印刷物(紙に対するもの)」の事業所数は26都府県で第1位

2016年の印刷産業の事業所数(全事業所)は14.3%減、東京、大阪、埼玉、愛知で4割を占める。都道府県別産出事業所数は「オフセット印刷物(紙に対するもの)」が不動の1位となった。(数字で読み解く印刷産業2018その1)

印刷産業(全事業所)の事業所数は、昨年末に公表された最新の調査結果(総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査 製造業(産業編)」)によれば、2万2140事業所(2016年6月1日現在)で、前回調査の「平成26年工業統計表 産業編」(2014年12月31日現在)に比べて14.3%減となりました。

都道府県別に見ると、東京都が4256事業所(全国の19.2%)と最も多く、大阪府2420事業所(同10.9%)、埼玉県1543事業所(同7.0%)、愛知県1358事業所(同6.1%)と、都市圏が上位を占めています。増加率では47都道府県のすべてで減少し、最も減少幅が大きいのが東京の23.1%減、次いで大阪・佐賀の17.8%減、愛媛の17.3%減となりました。

次に人口に対する事業所数で見ると、東京に次いで、人口78万人の福井が事業所数241で2位となり、以下大阪、京都、長野、岐阜と続いています(下表参照)。福井県は眼鏡の産地として有名で、一番多い事業所は「眼鏡枠」ですが、次に多いのが「オフセット印刷物(紙に対するもの)」の事業所なのです。47位は人口623.6万人の千葉(事業所数472)、46位が914.5万人の神奈川(同743)、45位が山口、44位が鳥取、43位が長崎、42位が滋賀と、下位6県は前回と同じ顔ぶれとなっています。

1月19日に経済センサスの参考表として、「製造業(品目編)における都道府県別上位1~3位品目の産出事業所数及び出荷金額」が公表されましたが、1位「オフセット印刷物(紙に対するもの)」、2位「その他の製缶板金製品」、3位「その他の製造食料品」と例年どおりの順位となりました。

これを都道府県別にみると、「オフセット印刷物(紙に対するもの)」は東京1217事業所、大阪696事業所、愛知436事業所の3都府県合計で産出事業所数の3割強を占めています。この状況は、現在の品目分類となった2008年調査から変わらないものです。ちなみに2016年調査では26都府県で第1位品目、12道県で第2位品目、4県で第3位品目となっています。

印刷産業の事業所が存在しない県は一つもないことからも、印刷産業の裾野の広さがよくわかります。また、東京だけが1位から3位を「オフセット印刷物(紙に対するもの)」「写真製版」「紙以外のものに対する印刷物」と、印刷・同関連品が独占し、東京の地場産業が印刷産業であることが統計からも明らかになっています。

2008年より前のデータを見ると品目分類は違いますが、1位の「平版印刷物(オフセット印刷物)」が突出し、2位以下が半分程度という状況は、1996年ごろから続いています。ただし、1996年の時点では「凸版印刷物(活版印刷物)」が8位、「写真製版(写真植字業を含む)」が19位と、印刷・同関連品の産出事業所が上位30品目に3品目入っていることが大きな違いです。その後、凸版印刷物は徐々に順位を下げ、2007年の27位を最後にランク外となり、写真製版は2000年ごろまで20位前後を維持していましたが、2002年の29位以降はランク外となりました。平版印刷物の1位は1993年から現在まで続いていて、ここからも印刷需要の根強さがうかがえます。

 

JAGAT刊『印刷白書2017』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことなどは「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT 吉村マチ子)