AIを組合せた「進化系AR」でコスメのオンライン販売が身近になる

掲載日:2020年1月23日

顔認識技術を活用した自然なARメイクについて

AR(拡張現実)とは、現実の風景にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術のことです。印刷業界でも紙媒体と連動したプロモーション手法としてよく知られており、キャラクターと一緒に写真撮影、購入前に時計を試着、部屋に家具をバーチャルに配置、といった事例があります。

AR×AIで「まるでメイクしているかのよう」な体験を

従来のAR技術は、基準位置となる画像や位置情報をもとに座標を合わせてコンテンツを表示します。腕時計の試着であれば、ARマーカーが印刷された紙製のリストバンドを腕に巻き、その位置を基準に原寸大の腕時計の画像が表示されます。

最近では、AI(人工知能)を組み合わせた進化系のARが登場しています。今まであった「サイズや位置が自然に合わさらない」という課題を、高度な認識技術を用いることで解決しました。

韓国のアクセサリー販売サイトのロロジェムでは、イヤリング・ピアスの仮想試着サービスをはじめたところイヤリングの商品売上が前年比20%以上アップしました。(参照:BRIDGE

顔認識で顔の位置を検出して適切な位置にイヤリング・ピアス画像を表示、商品サイズも顔に合わせて調整するので、実際に試着したのに近い感覚で試着できます。

AR技術であたかもメイクしたかのように見える「バーチャルメイク」もあります。これはカメラで撮影した画像を顔認識し、それに合わせてアイシャドウや口紅を実際にメイクしたかのように顔写真に重ねて表示するもの。 AIを使うことで、人ごとに異なる目や唇のかたちに合わせて色を重ねることができます。

アマゾンのビューティーストアでは、ロレアル傘下のModiFaceが開発したバーチャルメイク機能を提供しています。国内の大手コスメブランドやドラッグストアで提供しているのがパーフェクトが開発するバーチャルメイクです。

パーフェクトが提供するバーチャルメイク(同社Webサイトより

同社はARを使ったメイクの「再現性」、「ナチュラル性」を強みに同分野で高いシェアを持っていて、shu uemura(日本ロレアル)、コフレドール(花王)、RMK(エキップ)などのECでも採用されています。

リアル店舗でも使われるバーチャルメイク

バーチャルメイクというとオンライン上だけで使われるような印象も受けますが、リアル店舗でも導入が始まっています。ドラッグストアのトモズでは、 2019年10月にパーフェクトのバーチャルメイクアプリを店頭用に国内10店舗で導入したと発表しました。

これはバーチャルメイクのアプリを店頭向けに設置したタブレット端末で使えるようにしたものです。来店したお客さんがカメラで顔を撮影すると、複数のコスメブランドの商品を仮想で試着できます。

店舗には商品があるので実際に試すことも可能ですが、店内にあるテスターは色数が限られていることや、手の甲につけると汚れる(オフ用のコットンやティッシュがないこともある)という点が課題になります。それらを解決すると同時に、バーチャルメイクによって購入前に気軽に試してもらえることも期待されているでしょう。

女性が口紅を購入するときには、商品そのものの色だけでなく、実際に試してみて自分の肌色との馴染み具合や顔全体の印象を確認して「自分がきれいに見える」商品を選ぶことがあります。百貨店のコスメカウンターでタッチアップ(試しにメイクしてもらうこと)してもらうのも、実際の付け心地だけでなく仕上がりを見るためです。

そのため、実際に商品を試すことができないオンライン購入は自分には難しいと考えている人が少なくありません。バーチャルメイクは、今まで敬遠していた人に対してオンライン購入を身近に感じてもらえる効果があります。

(JAGAT 研究調査部 中狭亜矢)

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