印刷物は6年連続の輸入超過

掲載日:2017年7月28日

貿易統計で印刷物を見ると、2005~2010年の6年間は輸出超過、2011~2016年の6年間は輸入超過となった。輸入先のトップは4年連続でシンガポール、輸出先は中国が不動の1位となっている。(数字で読み解く印刷産業2017その7)

 

貿易統計で見る印刷物とは

印刷白書では、貿易統計の統計品目表における、第48類(紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品)、第49類(印刷した書籍、新聞、絵画その他の印刷物並びに手書き文書、タイプ文書、設計図及び図案)に含まれる品目から、印刷に関連すると思われる品目を「印刷物」として輸出入金額を見てきました。

しかし、紙加工品や出版物に含まれるべきものも「印刷物」として集計しているために、産業連関表の「印刷・製版・製本」の輸入額、輸出額との乖離が生じていました。そこで、「平成23年(2011年)産業連関表-貿易統計コード対応表」において、「印刷・製版・製本」部門に対応している貿易統計コードを「印刷物」として集計することとし、過去に遡って修正しました。

印刷白書の新分類では、統計番号4901.10を出版印刷、4906を設計図・図案、4907を証券印刷、4908を転写印刷、4911.10を宣伝用印刷、4911.91を美術印刷、3705.10と4911.99をその他の印刷として集計しています。

新旧の変更点を見ると、旧分類で包装資材印刷、事務用品印刷物としていた第48類は紙加工品に該当するので除外しました。また、出版印刷物としていた4901~4903のうち、4901.10以外は出版に該当するので除外し、商業印刷物としていた4909、4910も出版に該当するので除外し、4911は分類を変更しました。3705.10と4906~4908は新分類で印刷物に加わりました。

 

印刷物は6年連続の輸入超過、シンガポールが牽引

下図は新分類による、1988~2016年の印刷物の輸出入額とその差引額の推移です。

1989~2004年の16年間は輸入超過でしたが、2005~2010年の6年間は輸出超過となり、2011年以降の6年間は逆に輸入超過となっています。

2014年の輸入額が大幅に拡大したのは、シンガポールの輸入額が前年より220億円増加したことによるものです。シンガポールは2013年に輸入先のトップとなり、以来4年間連続トップで輸入総額の4割を占めています。中国は輸入の2割を占め、3年連続の2位、輸出では不動の1位で、輸出総額の3割を占めています。

 

ちなみに現在執筆準備を進めている『印刷白書2017』では、同じ期間の出版物の輸出入額とその差引額の推移も見ていますが、全期間輸入超過となっています。

また、印刷物の輸出入相手国上位10カ国の推移表や、アジア・西欧・北米などの地域別の構成比の推移なども、わかりやすいグラフで紹介する予定です。

限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT 吉村マチ子)