『印刷白書2020』発刊のご挨拶

掲載日:2020年10月23日

2020年10月23日発刊の『印刷白書2020』について、会長塚田司郎よりご挨拶させていただきます。

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いろいろとあった今年もあと2カ月余りとなりました。新型コロナウイルスの影響で6月に開催されるはずだったdrupaも、夏の東京オリンピック・パラリンピックも、その他多くのイベントも延期または中止となり、2020年という年は今後長く忘れられない年になりそうです。イギリスのジョンソン首相も、そして10月にはアメリカのトランプ大統領も新型コロナウイルスに感染する事態となり、次期アメリカ大統領選出のための選挙戦は郵便による投票の是非も含めて、ますます混迷しています。国内では、熊本県の球磨川や秋田県の最上川が氾濫し、気候変動による豪雨の影響で、今年も大きな被害となりました。

withコロナの状況で、イベントの自粛や経済活動の制限がある中で、業界の仕事では折込チラシのような広告、宣伝、販促といった分野に大きな影響が及び、そのセグメントでは前年比50%くらいの会社も少なくないようです。生命が危険にさらされているのに、売り上げや利益のことをあまり考える気にもならないのですが、雇用の維持、事業の継続を思えば、やはり毎月の数字に直面せざるを得ません。月次の決算書を見れば、助成金の申請の他にまず変動費の削減、そしてまた固定費の削減を考えますが、やる事はそれ以外にもあります。

現在の状況は、不況で売り上げが減少するということでは約10年前のリーマンショック後の世界と似ています。企業の使える予算も限られてくるので、気の利いたサービスを提供するよりは、本質的なサービスをよりリーズナブルなコストで提供する必要があります。受注から納品までのすべてのプロセスでタッチポイントを減らすべく、ワークフローオートメーションに取り組んだり、そもそもすべて自前の自社の垂直統合モデルを見直してみるとか、柔軟な対応性のために各部門の職務範囲を少し広げてみるとか、こうしたことは当時も言われていましたが10年の間に技術も進歩しました。業界の各メーカーやサプライヤーも変化するニーズに対し、受発注やプルーフでの確認の自動化システム、環境負荷を低減しメンテナンスを不要にする無処理版、より扱いやすい小型の枚葉インクジェット機、日本市場に最適なフォーマットのオフセット印刷機など、新しく開発した製品を発表しています。JAGATでも毎年「トピック技術セミナー」を開催し、熱心な参加者が多いのですが、今年はオンラインセミナーとしました。私自身も視聴しましたが、わざわざ出掛けずに自社でコーヒー片手に見られるのでとても便利でした。こうしたセミナーや今年の白書が、時代が変わった今、各社のゲームチェンジに役立つことを願っています。

2020年10月
公益社団法人日本印刷技術協会
会長 塚田司郎

書籍発刊のお知らせ

『印刷白書2020』2020年10月23日発刊