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XML技術により、大幅なコスト削減を実現する「求人受付システム」

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:XML技術により、大幅なコスト削減を実現する「求人受付システム」

 

ネイティブXMLストレージ(Well-formed XML完全対応のネイティブXMLデータベース)を提供する株式会社メディアフュージョンは,企業の求人に対する応募データの管理から応募者への各種通知,面接結果の管理などの人材採用時の一連の求人受付フローに係るコストを大幅に削減する「求人受付システム」を開発した。

開発のきっかけ-応募者データの整理に追われる毎日
  本システムは,開発会社であるメディアフュージョン社の求人受付の事務担当者からの強い要望に基づき企画・開発されたものである。なぜこのような求人受付のシステムが必要であったのか,採用事務を担当している総合管理部谷村育子氏に聞いた。
  「理由は大きく2つあります。一つは業務の効率化です。当社ではホームページ上での人材募集やハローワークや外部機関からの紹介による人材募集を行っていますが,景気低迷が続く中,企業求人に対する応募者はここ数年増加の一途をたどっています。当社も例外ではありません。特に企業の求人受付業務は,履歴書の受付から応募者への連絡,書類審査,応募者への連絡など多岐にわたるうえ,個人情報を取り扱うので大変神経を使う業務でミスも許されません。毎日送られてくる応募書類を職種別などで区分し,面接にかかる一連の手続きや不採用者への履歴書の返送など事務作業に追われると一日があっというまに過ぎてしまいます。何か業務の効率化ができる方法はないかと考えておりました。
  もう一つは,応募フォームを適時変更したかったからです。応募者から送られてくる定型の履歴書には,私どもが聞き出したい情報がすべて記載されておりません。各企業によって応募者に聞きたい項目があると思います。しかし採用担当者が自由に応募フォームを作成し,それをデータとして一元管理するとなると従来のシステムで対応するのは難しく,フォームの変更に当たってその都度システムの再設計を依頼するなど,時間とコストがかかり,さらに手間もかかるといわれ半ばあきらめかけていました」(谷村氏)

本システムの特徴-XMLストレージの採用で作業の効率化と柔軟なフォーム変更を可能に
 このような不満・要望を聞き,プロジェクトを立ち上げたのが,これまでXMLをベースにした多くのシステムを手がけてきたメディアフュージョン社ソリューショングループである。リーダーの稲岡氏に本システム開発に当たって留意した点などについて聞いた。
  「このシステムの大きな特徴は『応募者のフォームを自由に作成,変更できる』という点です。このシステムでは,採用担当者が普段使い慣れたマイクロソフト社のWord やExcel,あるいはサン・マイクロシステムズ社のStarSuiteのビジネスアプリケーションを使って自由に応募フォームを作成することができるうえ,フォームの変更にともなうシステム変更を一切必要としないというのが特徴です」(稲岡氏)
  なぜそのようなことが可能なのか,稲岡氏は以下のように説明する。
  「それは本システムがネイティブXMLストレージ『Yggdrasill EsTerra(イグドラシル エステラ)』を採用しているからです。従来のRDBを利用したシステムだと,データ構造が変わるたびにデータベースを修正する必要があり,作業が非常に面倒で時間とコストがかかるというデメリットがありました。本システムでは,Well-Formed XMLに完全対応したネイティブXMLストレージを採用しているため,応募フォームの変更に伴うシステム変更を一切必要としません。
  応募者がアップロードした応募データは自動的にXML形式で変換抽出され,各応募者のファイルとセットでネイティブXMLストレージ「Yggdrasill EsTerra」に格納されます。この時,内部的に扱われるデータはXML化されるため,たとえフォームが変更されても柔軟に対応し,かつ拡張性に富むデータ管理が可能となるというわけです。
  履歴書フォームの特定の項目にXML情報を埋め込むのは,ドラックアンドドロップで簡単に行えます。
  手順として,まず応募者は採用企業が作成したフォームを所定のサイトからダウンロードし,それに必要事項を入力します。これを再び所定のサイトへアップロードすることによって電子申請を行います。フォームがサイトに送られてくると,「Yggdrasill EsTerra」に格納されます。一度格納されたデータは,Webブラウザを通じてリアルタイムに閲覧できます。履歴書に記載された年齢,希望職種などフォームに設定した項目別に検索を行う,あるいはワークフロー管理によって,応募者へのメール連絡,結果通知などの自動処理が可能です。採用担当者の必要とする多角的な検索を可能にするため,検索対象となる項目も応募フォーム内の任意の個所に自由に設定できます」(稲岡氏)

本システムの導入-必要な人材の早期採用と採用業務の効率化の実現
  本採用受付システムの発売に先駆け,メディアフュージョン社総合管理部では,自社の求人受付システムとして一部運用を開始している。
  「応募者の方に当社のWebサイトからダウンロードして頂いている応募フォームも,私が実際に作成したものです。履歴書などはこれまでファイル名で識別するしか方法がありませんでしたが,このシステムではXMLを利用し,各指定項目にXML情報を埋め込んでいるため項目ごとでのピンポイント検索が可能で,履歴書などの大量の応募書類の検索が非常に楽になりました。フォームは普段使用しているソフトで簡単に作成できましたので,電子申請システムといっても複雑な操作は不要で,システムに関して素人の私のような者でも,操作が簡単でした。このシステム導入後,応募者の方に対しては,より迅速に誠意をもって対応できるようになったと思います。今後は,さらに多くの方に当社の求人にご応募いただけるように求人活動を積極的に行っていきたいです。採用担当者の作業時間の短縮や優秀な人材の早期確保のためにこのようなシステムのニーズは高いのではないでしょうか」(谷村氏)

 

■関連情報
株式会社メディアフュージョン

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 『プリンターズサークル』2003年5月号より

(2003年6月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

Edian Wingによる自動組版とXMLによる新たなワークフロー提案

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:Edian Wingによる自動組版とXMLによる新たなワークフロー提案

学習参考書制作に活用で効率アップ
株式会社 ニューキャスト
名古屋市中区新栄3丁目5番5号 アークビル7・8F
TEL:052-261-6365 FAX:052-261-6507
http://www.newcast.co.jp/
newcast@newcast.co.jp

 学習参考書などの制作を始め,情報処理・Web制作と幅広く事業展開されているニューキャスト。EdianWingを制作の中心にすることで,効率アップも可能になったとのこと。
  パブリッシングの世界におけるXMLの取り組みについても,開始して約3年になる。

  高品質の組版を納品するために
 学習参考書は「理解しやすいレイアウト」や「本を開いたときの印象」を重要視しているため,クライアントの要求レベルが非常に高くなっています。そのような中で,EdianWingの最大のメリットは「品質の良さ」「自動組への対応力」そして「再利用への対応力」と考えています。例えば,「文字に下線を引く」場合。線の太さや文字からの距離など,要求は細かく厳しいです。パーソナルユースのDTPソフトで無理やりやろうとすると,時間も掛かり,品質も安定しませんが,EdianWingなら当たり前のようにできます。もちろん文字そのものへの要求も厳しいです。例えばプラスやイコールなどの記号類。「もう少し大きい方がいい」などの微妙な要求にこたえるためには外字対応になります。Macintoshの場合,外字環境を統一するには1台ずつセットアップしなければなりませんが,EdianWingはサーバで共有化されているので,それらの作業が不要。品質に加え管理面での効果も大きくなります。
  私たちは,EdianWingの信頼性を評価して,統一された高い品質の組版をクライアントに納品することを目指しています。

  XMLパブリッシング
 DTPとXMLの研究・提案をクライアントに向けて行ううちに,クライアントの側でも理解が深まりました。ある時,クライアントから,学習参考書の制作に当たり,「データベース化したい」との依頼を受けました。データベースを組み合わせた自動組版は最も得意とするところだったため,XMLでのデータベース化を選択,併せてXMLのメリットを最大限に生かせるワークフローを提案しました。
  XMLを使っての自動化ということで,XMLのメリットを発揮するため,また,作業効率も考えて,校正を各問題単位で行うようにお願いしました。クライアントにとっては,従来と違う制作方法に戸惑う部分があったようですが,XMLを使ったワークフローは,組版業者・クライアントに時間短縮という多大なメリットと将来への可能性を生み出しました。
  たとえ一部分だけでも自動化できると,全然違いますので,今回の成功で,クライアントの方でもさらに効率的なワークフローを考えられると思います。例えばある見出しに体裁を付けるのに,書体・文字サイズ・色を1つずつ手で作業していくのと,文字を流すだけですべてが組み上がるという統一した組版がなされているのとでは,校正作業に掛かる時間が軽減されます。
  「すべてデータベースからの自動処理」これが私たちが目指すところです。

 
データベースパブリッシングで総合カタログ制作(株式会社サブヒロモリ様の例)
株式会社 コトブキ企画
大阪市北区中崎西4-3-12
TEL:06-6372-5669 FAX:06-6372-0586
http://www.kotonet.co.jp/

 システム開発の背景
  現状の総合カタログは,MS-Access*1のレポート機能を使ってPDFからモノクロ印刷されています。問題点としては,「デザインの自由度が低い」「並び替えやページ切り替えが不自由である」「編集に膨大な時間が費やされる」といったことが挙げられます。さらに要望としては,写真を大きく取り扱い,カラー化。巻末にバーコード入りインデックスページを付け,顧客への訴求力を増す。商品の改廃が頻繁にあるため,制作のランニングコストを抑え年2回制作したいということがあります。商品データを有効に活用し,印刷物と印刷物以外のメディアへ手軽で安価に展開する方法はないかと要望がありました。

  システムの概要
  商品データの入稿は,基幹系データベース(DB)からのデータにカタログ用の情報を付加したExcelデータとします。ライフサイクルが短い商品もあるため,期間を設けてデータを入稿し,タイムラグの少ない最新データに保ちます。
  自動組版は,データ形式やデータの規模,予算などを考慮してDBはMS-Access,プログラム言語はVBA*2,自動組版機はEdianWingを使用します。編集方法は,商品分類や商品名をキーとして要件定義し,商品並び替え,ページ切り替えをプログラムにて自動制御します。巻末インデックスはカタログのページ情報を基に自動作成します。
  マルチメディアへの展開は,MS-AccessからXMLデータを書き出し,Webサーバ上でクライアントからの入力に応じてXSLTを切り替え,要件に沿ったさまざまなレイアウトでの出力に対応します。また,ローカル環境でXSLTを用いてHTMLファイルに変換することで,ブラウザを使ったCD-ROMカタログの制作を容易にします。
  システムの特長
  システムの特長は,要件に即してRDBとXMLのそれぞれを得意部分を組み合わせています。
  RDBはデータ検索,抽出,並び替えなどを高速に実行できます。そして,定型レイアウトパターンに対して,高速かつ容易に自動組版ができます。一方XMLは,XSLTを変更することで容易にデザインパターンを変えることが可能です。XMLの各ノードに応じて複数テンプレートを用意し,それらを組み合わせ,顧客要望に応じて,表示内容やレイアウトを容易に変更することができます。また,XMLデータは印刷用のRDBから自動的に発生させますので,個別に作成した時に生じる入力ミスによる事故などを未然に防ぐことができ,校正に掛かる費用と時間が軽減されます。

  今後の展開
  商品カタログに使用したデータはXMLへ変換するので,修正データを基幹システムへフィードバック,ほかの業務用DBへの転用など,汎用的に用いることが可能です。またWebサイト構成によって,単純な受発注システムから基幹系システム,ロジスティックシステムなどのバックエンドシステムとの連携によりCRM/SCMといった中大規模のシステム構築に発展することが可能です。
  自動組版システムは,総合カタログ以外に商品分類やテーマごとの個別カタログ,販促用チラシ作成へ応用し,よりターゲットを絞った訴求効果の高い販促アイテムを制作できます。

  *1:MS-Access=マイクロソフトが開発したデータベースソフト。
  *2:VBA=マイクロソフトが開発した,自社のアプリケーションのための共通マクロ言語。Visual Basicに基づいた言語。

 

 関連情報
キヤノンシステムソリューションズ株式会社

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 『プリンターズサークル』2003年6月号より

(2003年7月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

DTP開発のノウハウをXMLの普及に

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:DTP開発のノウハウをXMLの普及に

 

近年,データベースの最新技術として脚光を浴びているXML。これに関する参考書を買ったり,セミナーを受けたりして勉強をした人も多いだろう。しかし,そんな人たちの頭に浮かんでくる「?」マークの文字。いったい何の役に立つのだろう,と疑問を感じる人が大半を占める。その証拠に,業界で騒がれている割には普及しているなどとは,とても言うことはできない。それには大きな原因として,〔1〕XML周辺アプリケーションの少なさ,〔2〕XML導入コスト高,〔3〕実運用例の少なさ,などがある。
XMLにアプローチしている企業のほとんどが,データベース系の企業であるのに対して弊社では,印刷(組版)側からXMLにアプローチしている。弊社は20数年Windows DTPを開発してきた。そのノウハウを生かし,XML周辺アプリケーションおよびシステムの提案・開発を行いXML普及に全力を注ぐ。

XML基礎アプリケーション「XmlWork」
2003年2月にXML基礎ツールとして「XmlWork」(エックスワーク)を発表した。これはツリー型XMLエディタとして開発。機能を強化し簡易サーバ機能も備わった。主な機能として以下に挙げる。
●リンク画像のリアル表示
●IEプレビュー
●Excel連携機能(ExcelのXML化など)
●FTP機能
●ノード検索および抽出(簡易サーバ機能)
●CSVなどデータの読み込み・書き出し
 このXmlWorkは,単にデータを作成することを目的とせず,柔軟にXMLシステムに対応させることを重要ポイントとして開発された。例えば,XmlWorkから自動組版を実行する。さらに,XmlWorkをエンジンとして使い,VisualBasic(VB)でコントロール。大量のXMLデータを自動編集することもできる。無料体験版あり。
 価格:68,000円(スタンダード版)
ほかにプロ仕様のプロフェッショナル版あり

フィット型ワンソースマルチユースシステム〔1〕
       ~定款・約款・規約~
 定款・約款・規約などのデータはルールに従ったデータ構造をもち,XML文書として管理することが最適である。しかし,単にXML文書にするだけでは面白みに欠ける。
 定款データの注目すべきポイントは,「定期的にデータが改正される」ところにある。データを改正すると同時に,改正個所の履歴(新旧改正表)を作成することができないのか。A社の提案によりXMLベースの定款システムを開発した。
 開発ポイントは,ユーザにXMLを意識させないこと。VBで入力フォームを設計し,裏でXmlWorkが動作させることにより柔軟性に富んだXMLデータを作成することが可能である。
これらXML文書を自動組版で印刷物作成,XSLでWeb表示させることにより編集コストも大幅に削減することができるだけでなく,改正作業がスムーズに流れる。

フィット型ワンソースマルチユースシステム〔2〕
       ~人材派遣業務~
 弊社では2年ほど前から通信販売などの商品データをXML化し,雑誌およびWeb更新の編集コストを大幅に削減することに成功している。
ある日,弊社とつながりがある人材派遣業の有限会社オフィスフルールの大目木代表取締役が「スタッフのスケジュールデータの乱雑さに困っている」と悩みをこぼしたことに始まり,XMLをデータフォーマットとした安価に利用できるスケジューリングシステムの設計を開始した。
 人材派遣業のスタッフと通信販売業の商品。データベースとして見た時,等価であることは理解できるであろう。これまでのシステムを応用すれば安価に組み上げることができる。
もちろん,このシステムに印刷も絡む。スタッフのプロフィールシート,発注書,請求書など。これらの印刷は,一般企業にあるであろうWordやExcelをVBでコントロールし自動編集を行うことにより導入コストを下げることができる。
これまで,スタッフの個人データ,スケジュールデータ,プロフィールシート用データ,Webデータなど,それぞれにおいてさまざまなデータフォーマットで存在し,そのデータの更新は,電話&ファックスなどアナログ的であった。これらのデータを社内サーバ上でXMLデータ化することによりマネジメント業務の効率がアップすることになる。
それだけではない。1人に1台携帯電話を,一家に1台PCを持つと言われるこの時代,スタッフの最新スケジュールデータがWebサーバをとおしてデータ共有することにより,常に最新の情報をクライアント(派遣の要求する側)に提示することができ,Web上から派遣の発注も受けることができる。
 (関連情報:オフィスフルール)

弊社が目指すもの
XML関連のシステムを開発してきて分かったこと。XMLは汎用性が高いデータフォーマットであるゆえに,設計手法は無限にある。かと言って,救世主的な存在ではない。XML化に不向きなシステムもある。しかし,電子政府構想にXMLが採用されているように,世界がデータフォーマットとして採用しているのも事実である。
 弊社では,印刷物およびWebを中心に作業効率がアップさせるフィット型ワンソースマルチユースシステムを構築し,多くの実運用例を提案することを目指す。
お問い合わせ
〒574-0046 大東市赤井1-2-10 ポップタウン本館 DBI 506号 TEL 072-806-3551
有限会社フィット
Eメール:info@fit2001.com

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『プリンターズサークル』2003年8月号より

(2003年9月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

原稿作成,赤字指示の負担を軽減する製品カタログ制作の新しいワークフローを採用

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:原稿作成,赤字指示の負担を軽減する製品カタログ制作の新しいワークフローを採用

製品データベースワンソース化の必要性
  私たちのような制作会社には,今まで以上に,ホームページ,CD-ROM,印刷物をワンソースから作成するために必要な「製品データベース一元化」を実現する提案力が求められています。
  そして,これと同じく重要なのが,印刷発注企業の原稿作成負担を軽減し,赤字要因をあらかじめ排除するようなワークフローの構築提案です。
  YKK AP株式会社様の商品カタログ制作のワークフローを例に,印刷発注企業と受注企業の両者の原稿作成負担と赤字指示負担・赤字修正負担を軽減するための一つの方法をご紹介します。

達成目標は,原稿作成と赤字指示負担の軽減
  ドア・窓・エクステリアなどの建築・建材を取り扱うトップメーカーであるYKK AP様は,例えば,春・秋発行の「シリーズカタログ」と年に1回発行する「総合カタログ」などのように,定期的に改訂発行されるものを含め,住宅用だけに限定しても何十種類もの商品カタログを制作しています。
  新規に作成する場合の原稿作成の膨大な負担のほかに,改訂時にも「今回の改訂時までの販売終了商品・新商品・スペック変更商品を調べ,必要修正個所を洗い出し,すべてを印刷物と突き合わせて赤字指示を入れる」という作業が必要であり,担当者の原稿作成に掛かる時間と手間は膨大です。
  そこで,「製品データベースを構築して自動レイアウトする」「商品価格は校正紙と価格データを突き合わせながら赤字指示を行っていては間違いの危険が大きく面倒なので,プログラムで価格データをマッチング処理して自動更新する」という手法を採用しました。

原稿作成支援と製品DBの構築
「製品データベース」の構築
  →作成するカタログと掲載する製品情報をデータベース(DB)で管理します(Microsoft Accessを使用)。
■製品情報管理
  製品情報は,「シリーズカタログ」「総合カタログ」の双方に,最新の情報でレイアウト処理できるように管理します。DBの専用入力画面「ドアマスター」入力ツールを使用し,製品データの追加・修正・削除を行います。
■ページ台割設定
  カタログごとのレイアウトパターン,ページに配置する製品・オプション表の設定は,DBの専用入力画面「ページマスター」入力ツールを使用し,設定を行います。
  原稿作成担当者は,ページに配置する商品名を指示するだけで,製品のスペック情報の原稿作成をする必要はありません。

自動レイアウト処理・価格マッチング処理
1)オプション表のパーツ管理と自動入れ替え
 →各ページに共通して使用されるオプション表をDBでパーツ管理します。
  製品に付属する「オプション表」は,同一の表を複数ページで使用するため,パーツデータを作成し配置します。修正が入った場合は,元のパーツデータを修正し自動再配置を行います((株)シンプルプロダクツ製WAVE2002を使用)。
2)レイアウト処理プログラム
 →製品DBからの自動レイアウト処理。
  DBの専用画面から,作成するカタログを選択し,自動レイアウト処理を実行します。
  「ドアマスター」で更新された最新の製品情報を,「ページマスター」で設定されたレイアウトパターン・配置情報に従い,ページアップを行います(WAVE2002を使用)。
3)価格マッチング処理プログラム
 →レイアウト済みデータの価格を自動更新。
  レイアウト済みデータの製品価格欄には,マッチング処理用の記号が埋め込まれています。YKK AP様が管理する「最新の価格データ」と価格マッチング処理プログラムを用いて,価格欄の記号を最新価格に自動更新します(WAVE2002を使用)。
 今後は,ASP=インターネット回線を利用して,YKK AP様および当社(制作会社)の両方からのデータ更新ができるように発展させ,改訂作業の一層の効率化を図っていく開発計画です。

■関連情報
株式会社 フレイマーグループ
YKK AP株式会社

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 『プリンターズサークル』2003年12月号より

(2004年1月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

XMLデータベースによるワンソースマルチユースを目指す

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:XMLデータベースによるワンソースマルチユースを目指す

 

XMLを中心とした提案型営業への展開
 東京文久堂は,2002年10月に文久堂(新潟市)の東京本部が分離独立して創業。同社は,名簿,規定集,書籍,報告書,会社案内,パンフレットなどを対象とし,プリプレス部分とオンデマンドプリンタによる出力を手掛け,印刷やそれ以後の下流工程が必要な場合は外注を利用している。
 東京本部時代から,単に印刷を受注するのではなく,XMLを利用してWebを含む企画までも行うトータルメディアプロバイダーを目指し,先進的な取り組みを行っている。
その取り組み例の一つである「随時アップデート対応型案内」(制作した瞬間に陳腐化するという宿命をもつ会社案内を,随時アップデート可能にするサービス)は,オンデマンドアワード2003のCAPベンチャーズ賞を受賞し,「顧客側でのプリントも可能であり,社内でプリントした印刷物をサービスすることに固執する旧来の印刷業とはポイントの置き方も異なっている新世代のプリントプロバイダーである」と高く評価されている。
このようなXMLを利用した新しい取り組みは,すべて社長である林田桂一氏のアイデアで,このような取り組みを始める前に林田氏は,XMLを1年半勉強されていた。

従来のシステム
 モリサワのシステムを導入する前は,あるベンチャー企業の自動組版ソフトを利用していた。このソフトは,XMLの構造やレイアウトが変わるごとの対応に非常に高いスキルが必要で,自社内では対応できなかったため,メーカーのカスタマイズに頼っていた。1件1件はさほど高額ではなかったし,機能拡張されたことで徐々に安価にはなっていたが,先々も費用が発生し続ける点と,それだけ費用を掛けても自社内にノウハウが蓄積していかないことに林田氏は強く問題を感じていた。このような時期に,モリサワではスタイルタグ対応型の編集ソフトMC-B2でXMLの自動組版を実現するB2-xmlのオプションソフトを発表し,林田氏にも紹介している。
XMLから組版データへの変換をプログラムではなく変換テーブルを利用し,しかも双方向変換までが可能という点や,索引の自動生成機能などから同社の抱える問題を解決できそうだと,高く評価していただいたが,これまでのシステムを利用しやすくするためにある程度の規模の投資を行っているし,システムとして問題なく稼働していることもあり,置き換えまでには至らなかった。

MDS-GAIJIの紹介
このような状況から,モリサワのシステムに大きく傾くのは,昨年のプリンテック展にてMDS-GAIJIを紹介してからである。
 当時,同社ではある大規模な名簿の案件において,「オートベリファイシステム」による入力を行っていた。これはWeb上の入力画面から,2人が同じ原稿を入力し,内容が不一致のデータだけを校正することで,入力・校正を効率化するものである。入力作業が倍になるので無駄のように思われるが,入力と同じにほぼ校正が終わるので,実際に4カ月分の作業を3カ月で終わらせるという効率化を実現している。これも林田氏のアイデアで,XML技術が利用されている。しかし,このシステムはWeb上で入力・閲覧することをポイントにしているため,外字の入力に大変困っていた。これは,WebブラウザがそのPC上の書体を利用して表示する技術で,外字を表示するには,各PCに外字書体を登録するか,外字を図形化して扱う必要があるのだが,随時増加する外字を一斉に登録するのは困難であるし,図形化するとデータの管理体系を大きく変えなければいけないという問題を抱えているからだった。
ちょうど林田氏がこのことに悩んでいる時にプリンテック展が開催され,モリサワはまさしくこの問題を,書体データをHTMLにエンベッドすることで解決する技術と2万字を超える外字書体で構成されるMDS-GAIJIを展示していた。
モリサワのブースに来られた林田氏は,説明のさわりの半分も聞かないうちに「求めていたのはこれだ」と言われたのを今でも覚えている。

MDS-B2の評価
このことを契機として,XMLデータの自動組版にMDS-B2を採用する検討が本格的に始まった。MDS-B2は,編集ソフトMC-B2を核として,B2-xmlほか,データベースからの自動組版を実現するオプションソフト群で構成された製品である。
 前述のとおり,これまでの投資を一部は無駄にすることになるし,導入してもこれまでと同じ問題が出るようであったら話にならない。そこで,実際に問題なく操作できるかを確認するために社員2名を研修に出し,XMLから組版データへの変換作業やレイアウトの設計作業を行った。「他社と比べてはるかに操作性が容易で,自社内で取り組める」という報告によって採用が決定した。
いろいろなデータを扱う中では,XMLデータの加工を行うカスタマイズも必要にはなったが,汎用技術のXSLTによる対応であったので,最初はモリサワのサポートが必要であったものの,簡単な処理であるので,次からは見よう見まねでも対応できる。つまり,自社内にノウハウが蓄積できる対応を取ることができた。
これは,MDS-B2が一つのシステム内ですべてを完結させるものではなく,核となる編集ソフトにMC-B2が,エキスポートした組版テキストを再度インポートしても体裁が崩れないという,他社に例を見ない特徴を生かし,さまざまな加工をシステム外部で行える構造となっている。これにより,汎用の技術が利用でき,モリサワに依存しなくてもフレキシブルな対応が取れるようになっているからである。

XMLの対応
 東京文久堂のXML関連の取り組みは,ここに紹介したものだけではなく,さまざまな展開を図られている。詳しくは同社のWebサイトをご覧いただきたい。しかし,このような取り組みが一朝一夕に実現したわけではない。時には失敗もあったが,「XMLが普及する前ならば失敗も許されるが,普及してからだと失敗を恐れて取り組めなくなる」と林田氏は2年前になるが言われている。
XMLへの取り組みを考えられている方の中に,模様眺めであったり,簡単な仕組みだけを求める姿勢を感じる時があるが,簡単な仕組みはどこでも行えるのですぐに価格競争となってしまう。
 幸いと言うか,XML利用はまだ大きく花が開いている状態とは言い切れないので,まだ本格的なXML利用に参入のチャンスはある。
これを狙う時,東京文久堂の取り組み姿勢は大きな参考となるだろうし,それを文字と組版で支えるモリサワの技術を理解してもらえるはずである。

■関連情報
(株)モリサワ
(株)東京文久堂  
□PAGE2004関連情報
XMLパブリッシング・スポンサーズセッション(無料)
XML@PAGE2004

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『プリンターズサークル』2004年1月号より

(2004年2月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

Eメールを利用したPDFリモートカンプでの校正業務改善と今後への期待

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:Eメールを利用したPDFリモートカンプでの校正業務改善と今後への期待

 

 雑誌『Mac Fan』(株式会社毎日コミュニケーションズ発行)では最新DTPワークフローの検証として,校正と赤入れの戻しをEメールベースのPDFリモートプリント(リモートカンプ)で行った。編集部では,2002年12月に当社のA3ノビ対応カラーレーザプリンタDocuPrint CG835(以下CG835)を導入し活用をいただいている。
  本レポートでは,このデザイン会社と出版社編集部の事例から得られた内容を,制作(受注側)と,クライアント(発注側)の校正に関わる日常的な課題に対する改善事例としてご紹介する。

CASE Review:雑誌『Mac Fan』編集部 ・編集部(ものづくり)の課題
  編集部ではインターネットの普及の中,「誌面内容の充実と速報性の両立」を目指しながらさらなるコストダウンが求められていた。そして,フルデジタル化の流れの中で各工程において責任範囲が重要な課題となっていた。
・上流工程における外部とのワークフロー改善
  編集部では数社の外部デザイン会社と制作会社および複数のライターとの連携で出版を月2回のペースで行っていた(2004年より月刊化)。
  納期が短い中,校正はファックスで確認していた。その中で誌面デザインでは往々にして背景を高濃度にして白抜き文字,細線,パターンを載せることがある。ファックス送信による可読性の悪さは皆さんがご存じのとおりである。そのためデザイナーはわざわざ高濃度部を除いたデータを作成し,プリントした後,ファックス送信している。
  ファックスで送っているのでカラー紙面であっても色みの確認はできず,その確認は宅配便・バイク便・担当者持参となり,コスト(実質的な費用と人件費)と時間を掛けて補っていた。
・原稿責了による印刷入稿で得た色再現性とリモートプリントの実現性
  2段目のワークフローがファックスで行っていた改善前の流れであり,現在(2003年12月)は3段目のワークフローへ移行しつつある。
 この移行を一言で言うと「遠隔地へのカンプ自動プリントとカラーファックス感覚による赤入れ戻し」となるが,順を追って説明すると,
 〔1〕Macからネットワークを介した遠隔拠点へのPDF自動プリント
〔2〕自動プリントによるカラーカンプの納品と紙面への直接の赤入れ
〔3〕スキャナによるカンプイメージのPDF化とこれを添付したEメールの自動送信
 〔4〕カラー赤入れカンプイメージ(PDF)の自動プリント
 である。検証時の懸念・期待事項は,
懸念事項
 〔1〕設備投資はできず,従来資産の活用が前提
 〔2〕担当者への操作変更は混乱を来し短納期での制作にはリスクが大きい
〔3〕未知数な技術の導入はリスクが伴う
期待事項
 〔1〕原稿責了での入稿実績からカンプでの色み予見の実用性
 〔2〕単純操作と従来手法の組み合わせで実現性・実用性の高さ
〔3〕A3見開きカラー紙面への赤入れで校正業務の可読性・視認性・効率の向上
 〔4〕Eメールアドレス(赤入れ戻しには汎用推奨スキャナが必要)をCG835へ設定するだけですぐ試せる

PDFリモートカンプを成功させた要因
  編集部でのCG835は,2003年2月1日号MacWorld SanFrancisco2003速報記事では,8ページを8時間で制作し,デバイス・リンク・プロファイルによる色みの予見を行い,原稿責了の後,印刷会社への入稿,翌々日全国配本という実績を支援した。
・ゼロックス製プリントサーバ
 当社,CG835のサーバおよび富士ゼロックス製プリントサーバは,国内開発の強みを生かし,開発者が市場のニーズやトレンドから新機能をサーバソフトウエアに追加し,数万円程度の価格で,およそ年1回程度バージョンアップキットをリリースしている。今回はその実績を基に,サーバソフトウエアのバージョンアップ(V4.0→5.0)で追加されたEメールによるPDFリモートプリントと赤入れ戻しを想定したスキャンto Eメール(PDF添付)機能を利用した。
 〔1〕既存インフラと標準技術(Eメール,PDF)の組み合わせで技術的実現性を提供
 〔2〕安価にサーバソフトのバージョンアップができ購入後も性能をアップすることが可能
 〔3〕2色印刷シミュレーション機能に代表される市場ニーズを反映
・Eメールを使ったPDFリモートカンプの有効性
  生成したPDFデータ(A3見開き)は,校正用が8MB,スキャナから生成したイメージで4.5MB(解像度:200dpi)であった。現状のメールの添付ファイルサイズとしては突出したものではないが,運用制限にはファイルサイズ設定で自動分割送信も可能である。
 この事例にあるEメールでの運用が唯一絶対の方法ではない。Eメールがもっているぜい弱性や添付メールサイズなどの運用ルールとの整合性など課題もある。しかし,今後デファクトスタンダードになるであろうPDF入稿に対し,投資リスクを抑えながらも実践的に自らその可能性を判断しておく必要があり,今回の『Mac Fan』編集部の取り組みはそれを示唆するものであると考える。
  そして印刷・制作会社の経営戦略においては,ビジネス提案を一手進める可能性を秘めているのではないだろうか(有料取引先の囲い込み,営業生産性の加速度的な向上など)。
  今回の検証内容は,冊子(『Mac Fan』11月1日号から抜粋:帳票番号SOG-009)で報告しております。希望の方は最寄りのゼロックスまたは筆者までご連絡お願いします。

 販売本部 マーケティングセンター
 ソリューションマーケティング開発グループ 安部弘樹
TEL:03-5352-7698 / FAX:03-5352-7819
 Eメール:dpc-ga@fxpsc.co.jp

■関連情報
富士ゼロックスプリンテングシステムズ(株)
Mac Fan

ユーザーレポート募集中

(2004年3月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

XMLドキュメント入力編集システム「ウェルDOC-WX」

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:XMLドキュメント入力編集システム「ウェルDOC-WX」

 

  XML入力ビジネスとの出合い
 1999年12月,あるXMLビジネスが全国で注目を集めた。それは大蔵省印刷局(当時)による「官報のXML化プロジェクト」である。これは約90万ページの官報の印刷物(1947年以降)を,28ブロックに分割してXML化する大規模プロジェクトで,うち3ブロックを当社は落札した。しかしこの案件は激烈な価格競争の中で入札され,XMLという付加価値の高い作業ながら,「いかに安くできるか!」が大きなテーマとなった。そのため当時はまだ少なかったXML技術者が直接作業に対応することは考えられず,一般入力スタッフがXML技術の理解なしでも,取り組むことのできる仕組み作りが早急に求められた。
  では,この「安く・早く・正確で大量な処理」をこなすにはどうすればよいのだろう。そこで注目したのがMicrosoft Wordである。当社は過去十数年にわたって在宅スタッフを活用した入力ビジネスを手掛けてきた。このスタッフの中でXMLを理解していた人は皆無だったが,Microsoft Wordを扱うメンバーはかなりそろっていた。そこで当社では,入力ルールの整備による「Microsoft Wordの活用+XML変換プログラム」により,Microsoft Wordのレイアウト済みファイルから,自動的にXMLデータが取り出せるシステムを社内で構築することとした。結果,入力段階ではXMLを意識せず,Microsoft Wordテンプレートで入力編集し、最終段階でXML出力するXML入力編集システムを独自に開発,ほかの業者が納期対応に苦心する中,99.95%の文字精度のハードルもクリアし,2000年6月の納期に対応することができた。実はこのプロジェクトにおける技術・ノウハウが,「ウェルDOC-WX」の源泉である。

  ウェルDOC-WXとは
 ウェルDOC-WXとは,Microsoft Wordをバッチ処理によるドキュメント編集・整形システムに変身させるアドインソフトである。例えば,基本パターンが定まった大量ページの報告書をページアップする場合,ページごとに手作業編集をしていては手間・時間が課題となり,分散入力をする際もスタイル・項番・全角半角の不統一が発生する。こんな大量ドキュメント編集の課題を自動編集によって解決すること,これがウェルDOC-WXである 。
  主な機能は次の3点である。
 〔1〕Text⇒Microsoft Word自動変換機能
  Text内の章・節・項などの項番・項目,表・図のタイトル,項番配下の段落などと,Microsoft Wordテンプレートのスタイルの変換対応を,変換フィルタ画面で設定するのみで,レイアウト整形されたファイルが自動出力できる(Text内の表は,タグで囲まれたタブ文字区切りの文字列を表へ変換)。
 〔2〕Microsoft Word整形支援機能
  全角・半角文字,組文字,タブとスペース送り,漢数字→半角数字など,分散入力や年度別に作成され,その入力ルールがバラバラのMicrosoft Wordファイルのルール統一(正規化)を行い,ファイル統合ができる。
 〔3〕XML⇔Microsoft Word自動変換機能
  XML変換フィルタにおいて,任意のスキーマ(XML)とテンプレート上のスタイル(Microsoft Word)の変換対応をひも付けし,双方向での変換を実現している(現バージョンではスキーマを一部に限定)。
   ウェルDOC-WXのターゲットとは
 文書構造が明確で,ルールが定まった次のような大量ドキュメントがターゲットである。
 〔1〕自治体:条例・例規,議会会議録,計画・報告書
 〔2〕金融機関:事務取扱規程集などのマニュアル
〔3〕各種マニュアル:メーカー系~ISOマニュアル
 従来のバッチ組版とは,大量ページ,しかも大量部数のものが中心であった。つまり印刷コストの中で,バッチプログラムコストを吸収することも可能であったが,ターゲットドキュメントの現状は,オンデマンド化へ流れ,大量ページ・少部数対応の方向が進む中,一層のコストダウンが求められる。そこで,Microsoft Wordレベルのスキルと変換・整形ルールを定めるだけのウェルDOC-WXでの対応は,大幅コストダウンにつながっている。
  またXML入力変換システムとしては,XML専用エディタが主流の中で,クライアントの一般オフィスにも導入可能な手軽さによって,XMLドキュメントの増加に寄与するシステムと考えられる。
  「XMLとは敷居の高いテーマ」「普段の文書作成からXMLへそのままつなげたい」。クライアントは皆,このような考えをもっている。ドキュメントデータベースによる文書の利活用,スタイルシートとの連動によるWeb配信など,XML化の入口がMicrosoft Wordというのは,クライアントも理解しやすく,クライアントとともにウェルDOC-WXを運用するというドキュメント連携により,XMLドキュメントの普及促進ビジネスを目指していくものでもある。
  こんな大量ドキュメントの入力編集の現場をもった当社の実務現場から生まれたウェルDOC-WXは,印刷会社の皆様に,組版の効率化からXMLドキュメントビジネスへの進出に役立てていただきたいと考え,一般システム販売にも対応している。そしてクライアントのドキュメント分析から,XMLドキュメントを活用した業務フロー設計,ドキュメントマネジメントシステムの構築など,印刷会社の皆様,そして皆様のクライアントを,実務現場のノウハウからご支援していくことを当社では目指している。

■関連情報
総合オフィスサポート株式会社

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『プリンターズサークル』2004年2月号より

(2004年3月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

多言語オンラインヘルプ校正システム

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:多言語オンラインヘルプ校正システム

 

株式会社十印
 東京都港区芝1丁目12番8号 十印ビル
TEL: 03-3455-8711 FAX: 03-3455-8616
http://www.to-in.co.jp/index.html
ksato@to-in.co.jp

 XML化の目的
  製品開発の工期短縮が叫ばれて久しい中,製品のマニュアル制作,翻訳をやっていく上で,当然ながら効率化というものを考えていかなくてはならない。さらに昨今製品の世界同時発売や仕向け地による多品種化などでその要求は増すばかりだ。
  工期の短縮,コスト削減はもとより,多言語をいかに早く仕上げ,また,印刷物のみならず電子媒体への対応ができるかが大きな課題である。
  これらの要求を満たすにはやはりXML化が必然の流れとなる。また,SGMLの利用のころに比べ安価なツール,ソフトウエアが数多く出てきたこともXML化への流れに加速を付けている。
  XML化の大きな魅力は自動化と,文章の再利用である。

  ソフトウエアの選定
  XML化への移行に当たっての最大の問題は,既存マニュアルの文章をどの単位で部品化(素材)していくかというところにある。
  ここで方針を見誤ると,作り上げたシステムがうまく機能せず結果,何ら効率化が図れないことになってしまうが,幸いわれわれには,長年のマニュアル制作およびSGMLのノウハウがあった。
  次に問題なのが,どのソフトウエアを使用するのかだった。
  機能面で優れているのは当然だが,選定の大きな理由にクライアントの厳しい要求にこたえられるか,つまり開発元が迅速にカスタマイズしてくれるかという部分だった。
  この観点からわれわれは,データベースには日立ソフトウェアエンジニアリング(株)のEnterprisePublisher,自動組版ソフトはアンテナハウス(株)のXSL Formatter/PDFオプションを選定した。翻訳支援ツールは業界標準となりつつあるTradosを使用することにした。
  
  システム概要
  第1段階として,XMLを使った多言語オンラインヘルプ校正システムを開発した。
  クライアントの要求は,現状のペーパーマニュアルと同様にHTMLベースのオンラインヘルプをAcrobatを使って校正作業が行えることだった。当然ながら本文中のリンクやトピック,レイアウトが最終納品物と同一であることが求められる。
  そこで,納品物となるHTMLベースのオンラインヘルプの機能,レイアウトが再現できるXSL-FOのスタイルシートを作成,EnterprisePublisherからヘルプに必要な素材(文章,図)を抽出し,XSL Formatterで自動組版して,PDFに変換するシステムを開発した。
  これによって校正もペーパーマニュアルと同様に,Acrobatの注釈機能を使用した的確な校正が可能となった。
  また,Tradosをもっていない翻訳者に発注する場合も,注釈欄に翻訳してもらいコピーペーストでデータベースに登録することができる。
  さらにわれわれは,EnterprisePublisherとXSL Formatterを連携するGUIをもったソフトウエアを自社開発し,徹底した自動化という意味で簡単な操作でだれでも簡単にヘルプ,PDFが作成できるようにした。

 

 XSL Formatterの選定理由
  以前は,FrameMakerでXML素材(画像・文章)を読み込んで,マニュアルで組版して校正用のPDFを生成していたが,マニュアル作業による人為的なミス,納品物作成とは同時に行えないことに起因する納品物と校正PDFファイルの同期の問題,また,仕上がりのPDFの画像などの質が,納品物(Web系オンラインヘルプ)に比べて劣る,といった点が校正の問題として浮上していた。
  特に,FrameMakerから生成されたPDFのJPEG画像ファイルの品質については,アドビ系の製品群を使った流れでは解決できない問題として存在し,この問題を解決し,比較的安価で,開発工数の許容範囲内での開発が可能,そして,Web系オンラインヘルプ自動生成のWebアプリケーションに組み込める製品が求められていた。
  XSL Formatterはこれらの要件を十分に満たし,多言語組版機能に関しても十分にシステムの要求を満たしていることから導入となった。

  展望
  このシステムを開発し,大幅な効率化が実現できたことで,現在は第2段階としてXMLを使ったフリーレイアウトのマニュアルを作成できるシステムを開発している。
  XML化への移行はかなりの初期投資が必要だ。この点で導入を躊躇(ちゅうちょ)されることを聞くが,将来を見据えるととても魅力あるものだと考えている。
  XMLをベースとしたCMS(Content Management System)は,今後さらなる広がりをもっていくものと思う。

■関連情報
アンテナハウス 株式会社
株式会社 十印

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『プリンターズサークル』2004年3月号より

(2004年4月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

高効率フルデジタル・ワークフロー基盤として最新のsm@rt_Serveを導入

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:高効率フルデジタル・ワークフロー基盤として最新のsm@rt_Serveを導入

 

 熊本県に本拠を置く後藤印刷株式会社は,1991年創業の新進の印刷会社である。コスト競争に打ち勝つために高効率の制作・出力と,フロントエンドの比重を高めることを大きな目標としている。そして,そのための切り札として,株式会社インテリジェントワークスがインテグレートするsm@rt_Serveを導入した。

後藤印刷株式会社
 〒861-2234 熊本県上益城郡益城町古閑106
代表取締役社長 後藤伸二
TEL/FAX 096-287-1212/096-287-1231
 URL http://www.gotoworks.co.jp/

sm@rt_Serveはセキュリティ対策としても有効
  最近は,顧客情報の漏洩(ろうえい)が各所で問題になっている。顧客の最新データを預かる印刷会社としては,この点にも配慮する必要性が高まっている。
  また,顧客の側でもこの点について神経質になっており,印刷発注の場合にデータ管理の方法を問われる例も多くなっている。この点でも,sm@rt_Serveは有効だ。まず,単純にファイルサーバとして利用した場合に,制作中のワークステーション上のローカルディスクよりも高速に書き込み,読み込みができる。このため,後藤印刷では,すべての制作データは,サーバで一元管理できるようになっている。つまり,制作データはサーバから読み込み,作業終了後はサーバに保存する。このため,ローカルディスクには制作データは存在しない。
  多くの印刷会社では,サーバを利用していても,まず,ローカルディスクに転送し,作業後,サーバに書き戻すというプロセスが採用されている。これは,ネットワーク,サーバともに機能(転送能力と安全性)が十分でないために,サーバ上のデータを直接読み込み,書き込みをしていては作業が渋滞するからだ。
  この場合,一つのジョブに対して,常に複数のファイルが存在することになり,データ転送時や出力時にファイルの取り違え,という別の問題を生じがちだ。後藤印刷では,ファイルの一元管理によって,セキュリティと版管理の両面で安全性と高効率とを実現しているわけだ。
  さらに,サーバのデータは特定のメンバーしかアクセスできず,そのデータをコピーする権限は,一人のスタッフだけがもっている。実務上も,MOなどのメディアを利用する必要がないし,実際利用していないので,情報漏洩対策も万全である。

全国展開も視野に入れたフロントエンドの変更とネットワーク配送システム
 後藤印刷では,サーバに加えてフロントエンドシステムも大きく変更した。従来は,「MacOS 9+Adobe Illustrator」での制作作業がメインであったが,これを「MacOS X+Adobe InDesign」に移行しつつある。
  「弊社はこれまで端物中心でしたが,ページ物に移行しつつあります。MacOS X+Adobe InDesign のシステムは,こうした受注状況をにらんだものです。さらに,InDesign はXMLへの対応度が高く,将来想定されるXMLによる自動組版,データベースパブリッシングに備える意味もあります」(後藤氏) 
 

数年後には爆発的に展開
  中長期にわたる展望では,さらに発展的な展開を考えている。「日本の産業に関する将来見通しについては悲観的な見解が多いですが,私はそうは思いません。淘汰(とうた)されるべき企業が淘汰され,成長すべき企業が明らかとなり,数年後くらいには,大きな飛躍があるのでは,と予測しています。その時に爆発的に展開できるように,筋肉質の企業として弊社を構築しておこうと考えているのです」(後藤氏)。
  そのための基盤として,後藤氏は顧客,出入り業者との関係についても独特の見解をもっている。「企業間の取引というのは,お互いにメリットのあるものでなければなりません。 現状では,顧客に振り回される印刷会社は,紙業者を叩くというように,だれにもメリットのない関係に陥っているケースを多く見掛けます。しかし,それでは長続きしません。というより,いずれ破たんします。その点,ネットワーク,プリプレスのワークフローに多くの実績とノウハウをもつ株式会社インテリジェントワークスさんは,ユーザの立場に立ったサポートやコンサルティングを強力に行ってくれています。今後もコンサルティングとサポートで技術支援していただき,さらに先進的でより良いワークフローを構築していきたいと考えています」

高効率生産の切り札,sm@rt_Serve
 「弊社が価格競争力をもてるのは,いろいろな局面で高効率を目指し,かつそれを実現しているからです」(後藤氏)。その最も顕著な例は,HELIOSをインテグレートしたsm@rt_Serve(HELIOS WebShare 1.0, EtherShare 3.1, PCShare 3.1, ImageServer 2.5)の導入であろう。これは,Webからも利用することができるサーバで,遠隔地からのファイル転送,マルチプラットフォーム,ファイルサーバ,高速プリントサーバなど多機能に利用できるトータルサーバである。例えば,FTTH(光ファイバー)回線経由で顧客のデータをサーバに直接転送,製版処理後,CTP出力,印刷と遅滞なく制作ができる。入稿時にMO,CD-ROMなどのメディアを利用しないので,人手を介する必要がなく,迅速に制作工程に移ることができる。
  また,制作の際,OPI(Open Prepress Interface:画像置き換え)を利用することもできる。これによって,コンテンツを制作中のワークステーションは,軽いビュー画像で作業を行うので,制作作業を軽快に行うことができる。また出力時には,面付けデータの大容量出力で,OPIでの出力フローを100%利用している。実画像データとのフロー比較で数十分の一の出力効率化が行われている。
 

■関連情報
株式会社 インテリジェントワークス
後藤印刷 株式会社

『プリンターズサークル』2004年9月号より

ソリューションレポート募集中

 
(2004年10月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

DTPターボサーバーを利用したデジタルデータ運用

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:DTPターボサーバーを利用したデジタルデータ運用

 

株式会社サンビアーツセンター
東京都荒川区西日暮里2-49-2 三美ITビル3F
 TEL 03-5850-4540 / 4541 URL http://www.sanbi.co.jp/

 株式会社サンビアーツセンター(以下「SAC」)は株式会社三美印刷の出力・製版部門として1990年に誕生した。三美印刷は学術書・専門書・学会誌,論文誌などの編集・組版・印刷を精力的に行っており,Macintoshはもちろん写研システムを使用した組版を得意としている。現在でもその6割がTeX,写研システムによって制作される理工系学書である。一方,SACにはフィルム・印画紙・CTP・大判プリンタとすべての出力環境が整えられており,プリプレス事業部での作業後回ってきたデータをSACで用途に合わせて出力,さらにそれを自社工場で印刷というフローで運用されている。
  また,現在出力部門の70%がCTPに移行するなど,常に新しい技術を取り入れて活用している。フルデジタル化に向け大学のシラバスのパッケージ化やデータベースのオンライン検索サービスなど新しいサービスを打ち出し提案している。自社ホームページでは,「sanbi-i-com」というメールマガジンを発行し,変化する印刷業界の動向を自ら配信するなど,顧客満足度を上げる試みも怠らない。1895年創業という伝統にとらわれることなくさまざまなアイデアを打ち出し,実行することが同社の強みであろう。

  DTPターボサーバーでのデータ管理運用
  DTPターボサーバーIIを99年の終わりに三美印刷で導入したのを皮切りに,数回の増設を重ね2003年にSun EnterpriseベースのDTPターボサーバー5をSACで導入した。三美印刷グループで使用された顧客の画像・レイアウトデータがすべてSACに集約されるため容量の確保と,より高い安全性を考慮してのことである。
  DTPターボサーバーはプリプレスに特化したワークフローサーバである。プリプレスで使用されるデータのデジタル化に伴い,Webブラウザでのデータの一元管理・在版管理やインターネット経由のデータ集配信,リモートプルーフ,Webサービスなどへの展開を可能にするサーバとして全国約200の印刷・製版・デザイン会社に導入されている。

  (1)バックアップ・アーカイブサーバとしてのDTPターボサーバー
 SACでのDTPターボサーバー運用の中心はアーカイブデータ管理である。三美印刷内のDTPデータがすべてDTPターボサーバーに集約されているが,DTPターボサーバーに搭載されたブラウザベースのファイル管理システム「WebNative」と,それに連動するバックアップソフトウエア「FlashNet」の組み合わせを最大限に生かし,管理作業の負荷の軽減に成功している。担当の山田貴紀氏は「主に1bitTIFFなどのCTPデータのアーカイブとRAID内データのフルバックアップに使用しています。数カ月で処分してよいデータもあるのですが,万が一,再利用したいという要望があった時のために約10年分くらいのデータをアーカイブしています。データの再利用の依頼があった時は,検索を掛ければすぐにデータを取り出せるので,本当に管理が楽になりました」と,Webブラウザから簡単に該当のデータにアクセスできる点を評価している。一つの仕事で10GBもの容量になる大きなデータもあるが,そのようなものでもAITテープ装置でのバックアップにより一つのテープにすべて収まるので管理がしやすく,またオンラインのデータ同様にWebからデータのありかを検索することができる。

  (2)データベース構築で実現する顧客との連携
  SACでは,現在請け負っている雑誌広告のデータ管理に,WebNativeのデータベースオプションである「Venture」を利用している。顧客からは,「○月号XXページの広告を流用してほしい」というような指定の仕方で流用依頼があるため,それに見合ったデータベースの項目を設定する。流用の指示があった時には,そのキーワードでWebブラウザ経由で検索を掛ければ,該当のデータをすぐに見つけることができる。探し回る時間や手間も掛からないので,オペレータへの負担も激減している。

  DTPターボサーバーの優位性
  ここでDTPターボサーバーの優位性をいくつか述べてみたい。
  (1)ファイルシステムをベースにサーバ内にデータを一元化
  DTPターボサーバーでは,ファイルシステムがネットワークシステムと連動しているので,データをサーバに保存するだけで良い。データベースにあえて登録する必要はない。ファイルサーバとは別にデータベースサーバを構築した場合,データの不整合がよく問題になるが,同じサーバ内に自動でデータベースを構築していくので,そのような問題が起きない。また当然ながら後からキーワードを付けることも可能であり,SACではその機能を広告データの再利用の際に生かしている。

  (2)ブラウザからデータへのアクセスが可能
  ファイルシステム内のデータがWebブラウザから閲覧可能なので,グループ間・顧客間とのデータ共有が可能になる。従来データは個人ベースでMOやHDDにバックアップ・アーカイブされていたため,データの所在が個人でないと分からなかったり,データの二重化や紛失などの事故が少なくなかった。DTPターボサーバーで一元管理されているデータは,アーカイブされているデータでさえもサムネイル表示を見ながら直感的に閲覧・検索することが可能である。

  (3)顧客とのコラボレーション
 SACでは顧客からの依頼を受けた後,自分たちで検索し流用へのプロセスを進めているが,インターネット経由で顧客にサーバを公開し,直接ダウンロードしてもらうこともできる。顧客ごとにユーザID,パスワードを付与し,特定のボリュームのみにアクセスするように設定できるので,関係のないボリュームを閲覧される心配もない。さらに強力なセキュリティ環境を整えたい場合もニーズに合わせた環境構築が可能だ。

  デジタル時代の課題
  印刷・製版会社にとって,いかにデジタルデータ資産をきちんと管理し活用するかということが今後の経営をも左右する重要課題である。デジタルデータの活用は,従来のように生産設備への投資だけでは得られない生産効率の向上やコスト削減,新たなビジネスへの展開への可能性を秘めている。SACの事例は特にバックアップ・アーカイブデータをDTPターボサーバーで効率良く一元管理できている好例だが,「印刷業はサービス業,顧客との接点はデジタルデータ管理から」を実践するさまざまな事例をVPJホームページよりご覧いただくことができる。

■関連情報
株式会社 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン
株式会社 サンビアーツセンター

『プリンターズサークル』2004年11月号より

 ソリューションレポート募集中

(2004年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)