頁数の多い専門書などは、何か月にもわたって校正を繰り返しながらDTP制作をすることが珍しくない。
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見える化の原点~ing思想とは
「ing 思想」とは、1970 年代後半から1980 年代前半において当時のJAGAT会長の塚田益男が提唱した印刷経営思想である。印刷需要が成熟化し、物的生産性の向上が必ずしも価値的生産性(売上、利益の向上)をもたらさないという予測をしていた頃の経営思想であった。
印刷産業は、製造業的側面だけではなくサービス業としての側面をもたなくてはならず、そこに付加価値を求めていき、2.5次産業と呼ばれるような産業にならなくてはいけないという問題意識が背景にあった。
ing は意志を表す、何かをしようという意志のことである。そこでは「印刷価格=原価+利益」という発想が成り立たない。つまり印刷価格は原価に利益を上乗せして出すものという考え方を否定する。
価格はあくまでも顧客の満足度に応じて決められるべきものであり、原価とは直接的関わりがないものである。営業の重要な役割は、日常的な努力によって顧客の満足度、信頼度を高めて、その価値も含めた価格を顧客に評価してもらうことである。
price(価格)、あるいはcost(原価)はそれぞれ1つの状況あるいは結果を示すに過ぎないが、そこに「ing」をつけることによって、それらは目標達成への意志と行動を意味することになる。
価格とは「原価+利益」によって算出されるだけではなく、営業の努力次第で変わり得るものである。価格は単なるprice としてあるのではなく、営業の日常的行動、ing の成果を含めて顧客に交渉して決めるもの、「pricing」すべきものである。
一方、生産現場は常に生産性向上によって原価低減に努力すべきであり、その努力は価格の高低とは関わりのないものである。cost(原価)は、ある状況下において一定の水準にあるが、様々な工夫や行動、つまりing によってその水準を下げていくこと「costing」が生産現場の重要な役割である。
社員が自ら考えてpricing、costing という行動をとることが企業の組織活性化と利益確保の源泉となる。これを「ing 思想」という。
「ing」が働くために不可欠なのが、正しい情報、正確な現状把握である。代表的なマネジメント手法としてPDCAサイクルがあるが、Plan(計画)の前にSee(見る)、Think(考える)を加える考え方もある。計画を立てる前に現状をきちんと見て、どうすべきかをじっくりと考えた上で、計画を立てることである。
目標が漠然としていては、具体的な行動にはつながらない。原価削減といっても現状の原価がわからなければ、なかなか具体策が打てない。現状に対しての改善結果を数値目標として設定して、はじめて「計画」となる。社員全員で情報を共有しベクトルを合わせた上で、社員一人ひとりが考えて「ing」を実践することが印刷経営に求められている。
システムやワークフローがしっかりしていてもそれを使うのは人である。「見える化」を進める上では面倒な仕事が増えたり、「見える化」することによって見せたくないものが見えてしまうことを嫌う社員が出てきたりと困難が伴う。それを解決するのは経営者の強い意志しかない。業務改善であると同時に企業風土改革の問題でもある。社員自らが経営者のマインドをもつことが求められる。
JAGATが主催している「見える化実践塾」の最大のポイントは、「見える化の実現」にコミットしていくことである。システム対応を含め全社的な取り組みとなるため、「やり切る」には大きなエネルギーがいる。業務が忙しくなるとどうしても後回しになりがちになり、やり方を変えるときには必ず出てくる「できない理由」を乗り越えなくてはならない。
小さくとも成果が出れば、それが原動力となり次に進むことができる。それが「見える化」による全員経営の利点でもある。
(研究調査部 花房 賢)
第3期見える化実践塾(2020年4月スタート予定)
詳細はこちらから
「見える化」による収益改善プロセス
JAGAT「見える化実践塾」での取り組みを踏まえて、「見える化」による収益改善プロセスを紹介する
第2期 見える化実践塾
短期間での「見える化」を実現!
”やり切る”サポートと取り組む企業の相互交流と
自己研鑚の場をつくります。
「見える化」という言葉は印刷業界にかなり浸透していますが、実践できている会社はまだ多くはありません。
その原因、ハードルとしては、
- 徹底できない(リーダーシップ不足)
- システムがうまく活用できない
- どこから手をつけてよいかわからない
- 社内原価(時間コスト)の調べ方がわからない
などが挙げられます。
本研究会では、座学と見学会、実践と発表を繰り返し、「見える化」のつまずきポイントを洗い出し、課題解決に向けて後押しします。
概要 | |
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日時 | 2019年4月スタート(1年間)。基礎会員:全5回(8日間) |
受講対象 | JAGAT会員企業様限定 従業員数 20名から100名程度 MISをすでに導入していること (自社開発でもパッケージソフトでもかまいません) |
定員 | 限定5社。1社4名まで参加可能 |
受講料 | 1社 800,000円 ※料金は税別、宿泊費、交通費、懇親会費別。 ※社内での実践を推進するために1社4名様まで参加できます。 ※4名を超える場合は、1名増えるごとに5万円をいただきます。 |
会場 | 大東印刷工業株式会社(東京) 株式会社アサプリホールディングス(三重) 作道印刷株式会社(大阪) 公益社団法人日本印刷技術協会 セミナールーム |
本研究会では、寄り添うトレーナーの役割をJAGATが、そして、時には厳しい叱咤激励を行うご意見番として先進企業3社の社長が担当します。
成果発表日を最初に設定
実現の期限を決めて必ずやり切る
というスタイルをとります。
座学と見学会、実践と発表を繰り返しながら 「見える化」のつまずきポイントを洗い出し、「できない理由」ではなく「どうしたらできるか」をとことん追求していきます。
関連記事
世話役
佐竹 一郎 氏
(大東印刷工業株式会社 代表取締役)
松岡 祐司 氏
(株式会社アサプリホールディングス
代表取締役社長)
作道 孝行 氏(作道印刷株式会社 代表取締役)
カリキュラム
■基礎会員
第0回 事前準備 | |
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自社の現状分析と課題抽出 | ヒアリングシートの記入 |
決算書3期分の提出 | 簡易財務診断 |
第1回 見える化の進め方を理解する(一泊二日) | |
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日時 | 2019年4月18日(木)-19日(金) |
会場 | JAGAT研修室 (東京都杉並区和田1-29-11) |
発表 | ・自己(社)紹介 ・自社の現状(概要)と目標発表 |
講義 | 1)「見える化」が求められる背景 2)管理会計と財務会計 3)個別原価管理を実現するには 4)時間コストの算出方法 5)先行管理に向けて(「目標達成見える化シート」の運用) |
課題 | 「見える化チェックリスト」の作成 |
宿題 | 利益計画検討表をつかったシミュレーション |
第2回 先進見える化企業の視察①(一泊二日) -全員経営を理解する | |
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日時 | 2019年6月20日(木)-21日(金) |
見学 | 株式会社アサプリ様 (三重県桑名市安永923) |
発表 | ・「見える化チェックリスト」に基づく自社の現状分析と課題抽出 ・自社の取組みスケジュール発表 |
講義 | 見える化と理念の共有による全員経営(松岡社長) ・社員のベクトルのあわせ方(理念の共有とは何か) ・管理職を部門経営者にする会議運営 ・必達できる売上目標の作り方 ・ITを駆使した営業支援、ナレッジ共有 ・働き方改革の取組み |
宿題 | 1)作業日報のシステム化 2)自社の時間コストの設定 |
第3回 先進見える化企業の視察②(一泊二日)-徹底と継続の仕組みを学ぶ | |
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日時 | 2019年8月 |
見学 | 大東印刷工業株式会社様 (東京都墨田区向島3-35-9) |
講義 | 見える化から始める収益改善~社員ひとりひとりに個人事業主意識を~(佐竹社長) ・改革を推進するリーダーシップ ・印刷タクシーメーター(MIS)の運用 ・やる気を引き出すインセンティブ制度 |
発表 | 中間報告(1) ・各社の課題を共有。「できない理由」の真の原因を明らかにし、 解決方法を議論 |
宿題 | 発表内容をもとに各社個別に設定 |
第4回 先進見える化企業の視察③(一泊二日) | |
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日時 | 2019年10月 |
見学 | 作道印刷株式会社(東大阪市水走1-12-20) |
講義 | 進化(深化)する「見える化」(作道社長) ・「見える化」を収益改善につなげるマネージメント ・営業プロセスの見える化による受注拡大 ・改善活動を支える公平な評価制度 |
発表 | 中間報告(2) |
宿題 | 発表内容をもとに各社個別に設定 |
第5回 最終報告 | |
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日時 | 2020年2月 |
会場 | 池袋サンシャインシティ文化会館 会議室(東京都豊島区東池袋3-1-4) |
発表 | 各社の結果報告 |
※カリキュラムは一部、変更となることがございます。
参加お申込み
お申込書に必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3168までFAXにてお送りください。
参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430
お問い合わせ
内容に関するお問い合わせ
研究調査部 花房(はなふさ) 電話:03-3384-3113
ご案内パンフレットはこちら
お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当) 電話:03-5385-7185(直通)
公益社団法人 日本印刷技術協会
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JAGAT 見える化実践研究会
基礎会員クラス 満員となりました。ありがとうございました。
短期間での「見える化」を実現!
”やり切る”サポートと取り組む企業の相互交流と自己研鑚の場をつくります。
さまざまなところで「見える化」という言葉を目にする機会がありますが、ここでは印刷物の製造コストを細かく、ほぼリアルタイムで見えるようにして、受注1点あたり、かつ工程単位で勝ち負け(損得)がわかるようにします。
「見える化」を実現している企業からは、
- 個別損益の把握により、収益改善のための原因と課題が「見える」ようになり、具体的な改善策が打てるようになった
- 自社の製造工程の強み弱みが「見える」ようになり、投資効果の高い設備投資ができるようになった
- ムリ、ムダ、ムラのない筋肉質な体質となり収益改善ができた。その利益を営業力強化など「攻め」の投資にまわせるようになった
- 社員の収益に対する意識、感度が高まり、会議での発言内容や行動が変わってきた
などの効果が得られたという声が寄せられています。
こうした「見える化」のメリットについては、セミナーなどで印刷業界にかなり浸透していますが、 実践できている会社はまだまだ少ないのが現実です。
なぜでしょうか?
その原因、ハードルとしては、
通常業務が忙しくて時間がとれない
システムがうまく活用できない
どこから手をつけてよいかわからない
社内原価(時間コスト)の調べ方がわからない
などが挙げられます。
こうして、「見える化」のメリットは理解しつつも、徹底できずにずるずると先送りになっている企業の例が数多く見られます。
「見える化」とダイエットは似たところがあります。
慣れ親しんだ生活習慣を変えるには大きなエネルギーが必要となります。
本研究会では、寄り添うトレーナーの役割をJAGATが、そして、時には厳しい叱咤激励を行うご意見番として先進企業3社の社長が担当します。
成果発表日を最初に設定
実現の期限を決めて必ずやり切る
というスタイルをとります。
座学と見学会、実践と発表を繰り返しながら 「見える化」のつまずきポイントを洗い出し、「できない理由」ではなく「どうしたらできるか」をとことん追求していきます。
関連記事
世話役
佐竹 一郎 氏
(大東印刷工業株式会社 代表取締役)
松岡 祐司 氏
(株式会社アサプリホールディングス 代表取締役社長)
作道 孝行 氏(作道印刷株式会社 代表取締役)
特長
Point 1 印刷「見える化」を立ち上げ、収益性を改善します
Point 2 見える化先進企業の事例に触れることができ、具体的なアドバイスが得られます
Point 3 自社の時間コストの算出方法が学べます
得られるメリット(基礎会員)
・「目標達成見える化シート(日次粗利管理)」の運用を実現
-売上重視から付加価値重視へ
-目標の明確化(売上、付加価値と固定費の予算化)
-先行管理
・個別原価管理を実現
-時間管理による案件ごとの収支把握
・赤字案件の原因、対策会議を行い、PDCAによる改善活動を最低1回転行う
対象
JAGAT会員企業様限定
従業員数 20名から100名程度
MISをすでに導入していること (自社開発でもパッケージソフトでもかまいません)
スケジュール
2018年2月スタート予定 (1年間)
・基礎会員:全5回(8日間)、研究会員:全3回(3日間)
※基礎会員は5社限定
※研究会員は、立ち上げサポートなし、企業視察と講義のみ
カリキュラム
■基礎会員
第0回 事前準備 | |
---|---|
自社の現状分析と課題抽出 | ヒアリングシートの記入 |
決算書3期分の提出 | 簡易財務診断 |
第1回 先進見える化企業の視察①(一泊二日) -最終ゴールイメージを共有する | |
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【日時】 | 2018年2月15日(木)、2月16日(金) |
【見学】 | 大東印刷工業株式会社様 (東京都墨田区向島3-35-9) |
【発表】 | ・自己(社)紹介 ・自社の現状分析と課題抽出、目標発表 |
【講義】 |
1)「見える化」が求められる背景と実現手法、得られた成果(佐竹社長) |
【宿題】 | 1)「見える化」実現スケジュール表の作成 2)利益計画検討表をつかったシミュレーション 3)自社のアワーコストの算出 |
第2回 先進見える化企業の視察②(一泊二日)-全員経営を理解する | |
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【日時】 | 2018年5月25日(金)、26日(土) |
【見学】 | 株式会社アサプリ様 (三重県桑名市安永923) |
【講義】 | 1)理念の共有による全員経営とは(松岡社長) 2)経営計画(売上目標)の作り方(ワークショップ) 3)MISの運用(作業実績の取得方法の検討ほか) |
【発表】 | 1)月次売上目標と固定費予算の設定状況報告 2)自社のアワーコストの設定状況報告 |
【宿題】 | 1)「目標達成見える化シート」の運用 2)作業日報のシステム化 |
第3回 中間発表 | |
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【日時】 | 2018年8月 |
【会場】 | JAGAT本社(東京都杉並区和田1-29-11) |
【発表】 | 1)これまでの成果と抱えている課題の報告 2)世話役からのアドバイスと質疑応答 |
第4回 先進見える化企業の視察③(一泊二日) | |
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【日時】 | 2018年11月 |
【見学】 | 作道印刷株式会社(東大阪市水走1-12-20) |
【講義】 | 1)「見える化」による人材育成 評価制度の導入(作道社長) 2)「見える化」の結果分析、PDCAサイクルのまわしかた |
【発表】 | 1)「目標達成見える化シート」の運用結果、課題報告 2)個別原価管理の状況、課題報告 |
【宿題】 | ・発表内容をもとに各社個別に設定 |
第5回 最終報告 | |
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【日時】 | 2019年2月 |
【会場】 | JAGAT本社(東京都杉並区和田1-29-11) |
【発表】 | ・各社の結果報告 |
※カリキュラムは一部、変更となることがございます。
■研究会員
見える化先進企業の視察、講義の参加
・大東印刷工業株式会社(東京)
・株式会社アサプリホールディングス(三重)
・作道印刷株式会社(大阪)
の3社の企業視察および講義、交流会に参加できます。
定員
基礎会員:限定5社。1社4名まで参加可能
研究会員: 1社4名まで参加可能
会場
・大東印刷工業株式会社(東京)
・株式会社アサプリホールディングス(三重)
・作道印刷株式会社(大阪)
・公益社団法人日本印刷技術協会 セミナールーム
東京都杉並区和田1-29-11
東京メトロ 丸の内線
中野富士見町駅下車 徒歩5分
参加お申込み
参加費
基礎会員 1社 500,000円 / 研究会員 200,000円
※料金は税別、宿泊費、交通費、懇親会費別。
※社内での実践を推進するために1社4名様まで参加できます。
※基礎会員の価格は、2018年度スタートに限定した特別価格です。
お申込書に必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3168までFAXにてお送りください。
参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430
お問い合わせ
内容に関するお問い合わせ
研究調査部 花房(はなふさ)/小須田(こすだ) 電話:03-3384-3113
ご案内パンフレットはこちら
お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当) 電話:03-5385-7185(直通)
公益社団法人 日本印刷技術協会