印刷工場の生産性向上、改善活動における多能工化

長い労働時間は、日本の産業界の体質

生産性向上は、印刷産業界に限らず日本の産業界全体で解決すべき課題だ。日本の労働生産性が先進諸外国と比較して著しく低いことは、周知の通りだ。日本生産性本部がまとめた2017年における日本の労働生産性(時間あたり)は47.5ドルで、主要先進国では最下位だ。この数字は、1位の米国は72ドル、2位のドイツ69.8ドルに対して3分の2の生産性ということになる。生産性を決める要素は、付加価値、労働者数、労働時間の3つである。生産性は、「付加価値」を「労働者数」×「労働時間」で割ったものだ。つまり、先進国の中で、一番長く働いていても儲からない仕事の仕方をしていることになる。苦労しても報われない、貧乏暇なしの状態かもしれない。一方、印刷業での労働力不足、人材不足も深刻な課題だ。政府が掲げる働き方改革では、「長時間労働の是正」、「同一労働同一賃金」、「柔軟な働き方」があるが、印刷会社がこれらの課題に取り組むためには、企業の業績や環境が共に改善されなければ元も子もない。印刷会社が利益を生み出すことは、経営者に限らず社員全員で意識を高め取り組まなければならない。印刷会社は、効率よく利益を生み出すことが重要だ。ビジネスのしくみにより利益を生み出すことがマーケティングであるならば、印刷工場の利益の源泉は、生産効率である。これらの改題解決のひとつに多能工化がある。

多能工化への壁は、品質管理における作業の標準化と見える化

多能工とは、生産・施工の現場において、1人が一つの職務だけを受け持つ単能工に対し、1人で複数の異なる作業や工程を遂行する技能を身につけた作業者のことだ。多くの印刷工場の課題である多品種少量生産や品種・数量の変動に対して生産体制を柔軟に維持し、生産性の向上に効果的に取り組むことができる。一方、組織的に多能工化を進めるには、教育・訓練するしくみをつくる必要がある。多能工化へのボトルネックは、教育への手間暇と評価制度が上げられる。従来の勘や経験、徒弟制度的な教育では困難だ。標準化や見える化への取り組みは必須なのだ。

一概に印刷工場の多能化といっても、印刷会社の規模や事業領域によって、取り組み方も様々なようだ。page2020セミナー「印刷工場の生産性向上実践 ①~多能工化編~」では、二つの違った多能工化への取り組みを紹介し、生産性、働き改革の視点からも検証する。水上印刷株式会社の事例では、「きれいな工場でしか良い印刷物は作れない」をスローガンに最先端の設備と環境を備えた工場で「4S」「機械設備の保全」「品質」「多能化」のー連の活動の中、多能工化を位置づけしている。工場内の整理整頓はもとより、セキュリティや安全管理がゆきとどいた環境で社員の働きやすさにも繋がっている。「スピード」「フレキシビリティ」「クオリティ」の3つの要素を達成する道筋になっている。職場環境が人材育成と製品の品質にも結びついていることがポイントだ。

また、大東印刷工業株式会社の事例では、徹底した「見える化」への取り組みがポイントだ。同社では「印刷タクシーメーター」と呼ばれるその仕事の原価が、今どのくらいかかっているのかがリアルタイムに「見える」ことでコスト意識を高め、目標管理を行い、効率的に仕事を進めるしくみづくりに特徴がある。その業務管理システムの構築を通じ、生産性向上の中での複数の工程をカバーした多能工化について紹介する。

一概に多能工化といってもそれぞれのビズネス形態や規模によっても様々であることが分かる。重要なことは、単なる真似や知識だけでは、多能化や改善活動は上手くいかないことだ。如何に考え、葛藤し、モチベーションを高めたかを学ぶことが重要になる。

CS部 古谷芸文

関連情報 page2020セミナーhttps://page.jagat.or.jp/sessionList/seminar.html

【S2】印刷工場の生産性向上実践 ①~多能工化編~

【S4】印刷工場の生産性向上実践② ~品質管理と改善活動編~

【S7】トラブルを未然に防ぐ入稿データのチエックポイント~最新のAdobe CCにおける注意点~

【S9】アイデアを形にする紙加工の製品開発

【S14】印刷学会共催「色評価用LEDガイドライン」とカラマネ・照明の基本 ~LEDガイドラインセミナー~

生産性向上は、改善活動と働き方改革のセットで効果を生み出す page2020セミナー「印刷工場の生産性向上」

生産性の向上における改善活動と多能工化は、印刷業においても重要な課題解決のテーマとして考えられる。page2020セミナーにおいても生産性向上は柱のひとつになっている。

日本生産性本部が公表した「労働生産性の国際比較」によると、経済協力開発機構(OECD、2018年)のデータに基づく日本の労働生産性は、就業1時間当たり46.8ドル(購買力平価換算4744円)でOECD加盟36カ国中21位だった。政府は「働き方改革」を重要課題として掲げ、生産性向上を目指すが、調査記録が残る1970年以降、先進7カ国(G7)諸国で断トツ最下位の状態が続いている。一方、働き方改革については、「働き方改革関連法」が2019年4月に施行されたが、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が2019年に発表した調査結果によれば、現在「働き方改革が経営目標としてあげられている」と回答した企業の割合は、全体の42%で、働き方改革に伴うITシステムについては、300名未満の企業では導入済回答が10%に留まるなど、企業の規模が小さいほど導入に踏み切れない現状が浮き彫りになっている。

働き方改革は、利益と直結する工場改善と一体化で考える。

働き方改革は、「長時間労働の是正」、「同一労働同一賃金」、「柔軟な働き方」の実現が掲げている。これらが進まないのは、業績に対する懸念があるからだ。印刷会社がこれらの課題に取り組むとすれば業績も共に改善されなければ難しい。印刷工場では、生産効率アップによる利益を生み出すことが課題となる。企業が合理的に改善活動に取り組むにあたって課題となるのが「品質管理における標準化」と「多能工化」である。

印刷業における多能工化のメリットとデメリット

<メリット>

  • 作業の標準化が進む→品質の安定化と仕事量が平準化し、業務負荷が均等になる。
  • 幅広い印刷工程をカバーできる→変化に強い組織づくりにつながる
    • 柔軟性が高い組織、業務対応ができるようになる。
  • 各工程の理解者、品質管理が共有できる→チームワークが向上する。相互理解が進む

<デメリット>

  • 人員の育成に時間がかかる→業績にどうつながるのかを検討する必要がある。
  • 人事評価制度の整備が必要→社員のモチベーション管理をどうするか

※組織としての目標設定の仕方などの見直しが必要になることもがある

page2020セミナー「印刷工場の生産性向上実践」では、多能化と改善活動の2つテーマを開催する。

多能工化編では、印刷工場における働き方改革の視点で、改善活動をベースに生産効率を向上させる中で、品質管理における標準化や多能工化が如何に進んだかを2つ事例を通じて紹介する。水上印刷株式会社の事例では、「きれいな工場でしか良い印刷物は作れない」をスローガンに「4S」「機械設備の保全」「品質」「多能化」のー連の活動を通じて改善活動の中での多能工化と働き方改革への取り組みを紹介する。また、大東印刷工業株式会社の事例では、徹底した「見える化」への取り組み、業務管理システムの構築を通じて、徹底したコスト管理で利益を生み出し、複数の工程をカバーした多能工化について紹介する。一概に多能工化といってもそれぞれのビズネス形態や規模によっても様々であることが分かる。改善活動や多能工化、働き方改革に至っては、事例や型はありそうだ。しかし、実践としての在り方は、それぞれの会社の葛藤の中で個性的なものの様だ。page2020セミナーでは、実践することを念頭に参加するとより響くと思われる。

CS部 古谷芸文

関連情報 page2020セミナーhttps://page.jagat.or.jp/sessionList/seminar.html


【S2】印刷工場の生産性向上実践 ①~多能工化編~

 

【S4】印刷工場の生産性向上実践② ~品質管理と改善活動編~

 

【S7】トラブルを未然に防ぐ入稿データのチエックポイント~最新のAdobe CCにおける注意点~

 

 

【S14】印刷学会共催「色評価用LEDガイドライン」とカラマネ・照明の基本 ~LEDガイドラインセミナー~

 

 

JAGATセミナーカレンダー

2020/3/10更新

2019年度|4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月

2019年4月

4月2日(火)10:00~17:00
新入社員養成講座
4月3日(水)10:00~17:00
人間関係と仕事が上手くいくコミュニケーション講座
4月4日(木)13:00~17:00
印刷業界で成果を出すための働き方
4月8日(月)10:00~17:00
4月9日(火)10:00~17:00
印刷製作入門講座【講義編】 第1回目
4月10日(水)10:00~17:00
4月11日(木)10:00~17:00
4月12日(金) 10:00~17:00
印刷製作入門講座【実技編】 第1回目
4月15日(月)10:00~17:00
4月16日(火)10:00~17:00
印刷製作入門講座【講義編】 第2回目
4月17日(水)10:00~17:00
4月18日(木)10:00~17:00
4月19日(金) 10:00~17:00
印刷製作入門講座【実技編】 第2回目 【満員御礼】

2019年5月

5月8日(水)10:00~17:00
5月9日(木)10:00~17:00
5月10日(金)10:00~17:00
印刷製作入門講座【実技編】 第3回目 【追加開催】
5月11日(土)~
第5期 工場マネージャー養成講座
5月13日(月)~
第47期印刷営業20日間集中ゼミ
5月18日(土)10:00~17:00
品質向上と印刷機械メンテナンス・印刷環境編
5月24日(金)13:00~17:00
東京-大阪ライブ中継
顧客に選ばれる印刷営業の鉄則
5月27日(月)13:00~18:00
印刷会社の”当たり前サービス”を強みに変える自社PRアップ講座

2019年6月

6月15日(土)10:00~17:00
品質向上のための印刷材料知識編
6月20日(木)10:00~18:00
紙メディアの効果を高めるWeb動画企画と制作方法
6月21日(金)10:00~12:30
仕事に役立つDTPアプリケーションの徹底活用
6月21日(金)14:00~16:30
仕事に役立つPDFとトラブル対策
6月25日(火)13:00~18:00
コンペで勝つ!企画提案の3つの極意
6月26日(水)
広島開催
印刷トップセールスマンへの道
6月27日(木)15:30~18:30
共感を呼ぶ色彩表現のルール
6月28日(金)11:00~18:00
デザイン設計の基本セオリー

2019年7月

7月3日(水)10:00~17:00
今日からできる「提案営業」の進め方
7月11日(木)13:30~17:30
情報の活かし方とアイデア発想法
7月12日(金)14:00~17:00
東京-大阪ライブ中継
印刷営業のためのDTP必須知識講座
7月18日(木)14:00~17:00
印刷業で知っておきたい製本加工の基礎知識
7月20日(土)10:00~17:00
上級印刷管理者講座

2019年8月

8月6日(火)13:00~18:00
ゼロから始めるWebを受注するための営業術
8月6日(火)~7日(水)10:00~17:00(両日)
DTPオペレーションに必要な文字組の基礎を正しく学ぶ
8月7日(水)10:00~17:00
印刷物の品質基本セオリーを学ぶ
8月8日(木)10:00~18:00
ちょっと難しい組版原則を学ぼう

2019年9月

9月5日(木)・6日(金)
JUMP東北2019&ジョイントセミナー
9月6日(金)10:00~17:00
組織で取り組む戦略営業体制と実践手順
9月10日(火)10:00~13:00
クリエイティブ強化で顧客への成果提供 ブランド×デザイン構築法
9月10日(火)14:30~17:30
紙媒体の成果アップ!SNSとの組み合わせでつくる売れる仕組構築
9月18日(水)10:00~17:00
型から学ぶレイアウトデザイン
9月27日(金)
JUMP中国・四国2019&ジョイントセミナー

2019年10月

10月5日(土)10:00~17:00
品質向上向上と印刷機械・メンテナンス・印刷環境編
10月8日(火)10:00~17:00
新人・若手社員社員「基礎力向上」講座
10月9日(水)10:00~17:00
必修!基礎から学ぶ印刷技術
10月9日(水)13:00~18:00
部下のやる気を引き出す営業会議の進め方
10月10日(木)13:00~17:00
DTPの基礎総点検
10月11日(金)開講
印刷ビジネス開発実践講座2019
10月15日(火)13:00~17:00
デジタル印刷の基礎を知ろう
10月16日(水)13:00~17:00
基礎から学ぶ製本加工
10月17日(木)13:00~17:00
印刷営業の基本プロセスと実務知識
10月28日(月)10:00~18:00
紙メディアの効果を高めるWeb動画企画と制作方法
10月28日(月)11:00~18:00
印刷見積り基礎講座【講義編】
10月29日(火)10:00~18:00
印刷見積り基礎講座【演習編】

2019年11月

11月9日(土)10:00~17:00
品質向上のための印刷材料知識編
11月12日(火)10:00~12:30
仕事に役立つ役立つDTPアプリケーションの徹底活用
11月12日(火)14:00~16:30
仕事に役立つ役立つPDFとトラブル対策(決定版)
11月18日(月)14:00~16:30
AIビジネス 超入門ワークショップ
11月20日(水)14:00~17:00
顧客のニーズを満たすデジタル印刷・加飾技術の基本知識とビジネスのツボ

2019年12月

12月3日(火)13:00~18:00
コンペで勝つ!企画提案の3つの極意
12月11日(水)11:00~18:00
デザイン設計の基本セオリー
12月11日(水)13:00~18:00
ゼロから始めるWebを受注するための営業術

2020年1月

1月18日(土)10:00~17:00
上級印刷管理者講座
1月22日(水)10:00~17:00
印刷営業のためのマーケティング基礎講座
1月23日(木)・24日(金)
JAGAT中部大会2020&ジョイントセミナー

2020年2月

2月21日(金)13:00~15:00 仙台開催
印刷・製本・加工を起点としたアイデアとその発想法
2月21日(金)16:00~18:00 仙台開催
顧客のニーズをニーズを満たす幅広い表現と技術 デジタル印刷・加飾技術の基本知識とビジネスのツボ

2020年3月

3月10日(火)10:00~17:00
必修!基礎から学ぶ印刷技術
3月11日(水)13:00~17:00
印刷営業の基本プロセスと実務知識
3月12日(木)11:00~18:00
印刷見積り基礎講座【講義編】

 

 

デザインの重度が増す印刷ビジネスと求められるアイデア

 印刷業を取り巻くビジネス環境では、デザインの重度が増している。ニーズが複雑化し課題がわかりにくい今日においては、課題探索・発掘、コンセプト設計においてのデザイナーの発想に期待が大きいようだ。印刷会社がマーケティングや製品においてデザイン能力を重要視しているように顧客側の企業もデザインノウハウを重要視している。経済産業省の「デザインの活用によるイノベーション創出環境整備に向けたデザイン業の実態調査研究によれば、デザインが事業運営や売上計上に貢献しているとの回答は8割超となっている。アンケート調査の主な内容としては、「デザインが事業そのものに直結しており売上げと緊密な相関がある」、 「デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している」及び「デザインは事業の一要素として、企業の総合力の一部として売上げに貢献している」との回答を合わせたものになっている。産業界全体としてもデザインが重要な課題となっている。企業がデザインに期待する役割は多岐にわたる。例えば、経営においてデザインに期待する事項としては、ブランドの構築、外観での付加価値の向上、オリジナリティの表現等が多く挙げられている。これらに続いて品質や技術力の表現やコンセプトの提案等への期待が高まっている。このことは、印刷業でもビジネスチャンスとして捉えるべきであろう。

 デザイン思考(デザインシンキング)とは、デザイナーがデザインを行う上で行っている思考方法のことである。「デザイン」とは、例えば、建築や服飾、美術、広告などの様々な分野で、設計や表現するクリエイティブな行為の事を示すが、一方、デザインのプロセスや考え方をビジネスに転用したものがデザイン思考とも言える。商品・サービス開発においてのポイントは、「ユーザー目線で物事を考える」ことがビジネスパーソンに求められる。デザイン思考のプロセスは、前例のない問題などに対して新たな解決策を見出す際に役立つと言われている。

<商品開発の決め手はアイデア>

 印刷ビジネスにおいても商品開発の決め手は、アイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要になる。過去のパターンに捕らわれた単なるモノを作ることではない。例えば、デザイン思考的な見方をすれば、人々が気づいていないニーズを明らかにすることで「洞察」「観察」「共感」という三つの要素の相乗効果によって製品やサービスを生み出すことのようだ。プロセスは、マーケティングも含めたしくみづくりにも及ぶ。page2020でも、加藤隆之氏(加藤製本株式会社/代表取締役)と山田明良氏(福永紙工株式会社/代表取締役 かみの工作所/代表)を講師に「アイデアを形にする紙加工の製品開発」をテーマにセミナーを開催する。紙加工のノウハウをコアに〝今までにない”紙製品を創り〟で販路開拓し、ブランディングを展開している。従来の受注型ビジネスから市場提案型ビジネスへ舵を切った事例だ。ビジネスの原動力は、アイデアを生み出すしくみとデザイン的な発想だ。アイデアやデザイン的な発想は、簡単に出せるものではない。指示や命令だけで良いアイデアを出すことは難しい。経営判断で、実際にアイデアを生み出すために取り組むべきことは何かを知ることから始めることが求められる。

CS部 古谷芸文

関連情報 page2020セミナーhttps://page.jagat.or.jp/sessionList/seminar.html

【S9】アイディアを形にする 紙加工の製品開発 イディアを形にすhttps://page.jagat.or.jp/session/detail_30.html

【S12】デザイン設計の基本セオリー https://page.jagat.or.jp/session/detail_33.html

【S13】効果の高いパーソナライズDMの実際 ~データ分析からプロモーション戦略、メディアプランニングの手法を学ぶ~ https://page.jagat.or.jp/session/detail_34.html

【S15】デジタルと紙メディアで表現するブランディング実践 ~印刷物、Web、CG、VR、AR、動画、リアルを組み合わせる~ https://page.jagat.or.jp/session/detail_36.html

あなたのビジネス文書は伝わっていますか?

忙しいビジネスの現場できちんと伝えたいなら、5W1Hで組み立てて、3C、Correct(正確に書く)、Clear(明確に書く)、Concise(簡潔に書く)を意識したい。

新語・流行語にご用心

「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞が「ONE TEAM」に決まりました。毎年発表されると、本当に流行ったのかと疑問視されますが、2015年の「爆買い」、2017年の「インスタ映え」「忖度」などはすっかり定着した感があります。2018年の「そだねー」は一方言に戻った気もしますが、「ONE TEAM」はもう少し使い勝手が良さそうで、チームワークを鼓舞するためにビジネスや部活で使われていそうです。

トップテンには新元号の「令和」が選ばれていますが、流行語と言うなら「令和初の」か「平成最後の」とすべきではないかと思います。ちなみに「SNS流行語大賞2019」の1位には、Twitter上最も多くつぶやかれた「平成最後の」が選ばれています。

女子中高生の間で流行った「2019年ギャル流行語トップ10」は、「KP」「ぴえん」「わかりみが深い」「3150」「語彙力」「リアコ」「○○案件」「時差グラム」「きょコ」「ブレ盛り」となりました。「JC・JK流行語大賞2019」には、「ぴえん」「べびたっぴ」「KP」「3150」「匂わせ」が選ばれました。

女子中高生という限られた範囲で使われているのなら問題ないのですが、「わかりみが深い」は実用日本語表現辞典に 2017年5月25日付けで既に投稿されています。実際、30~40歳の人の文章に注釈なしで使われていました。

日常会話や友だちとのSNSで、新語・流行語を適当に使ってみたり、言葉を略せるだけ略したりするのは当たり前のことですが、ビジネスでは少し保守的なくらいがちょうどいいでしょう。文字を書くことは減っても、入力して表現する機会は増えていますが、ビジネス文書の本や、雑誌の特集記事が少なくないのは、いざ仕事で文章を書こうとするとどうしていいかわからない人が多いからかもしれません。

3Cを意識することで文章は格段に読みやすくなる

外国語で話すときも、日本語で話しているときの癖が出ると言われますが、文章も同じです。ダラダラ話す人はダラダラした文章を書くし、落ち着いた人は落ち着いた文章を書きます。その個性は私用にとっておいて、仕事では読む相手を意識して、相手の状況に合わせて書かないと読んでもらえません。

伝えたいことを5W1Hで組み立てるとわかりやすいと言われますが、もう一つ文章を書くときに意識すべきは3C、Correct(正確に書く)、Clear(明確に書く)、Concise(簡潔に書く)です。さらに、自社で通用している言葉がそのままで相手に伝わるかどうかを確認して、誤解されやすい表現を避ける必要があります。また、長文は避けて、句読点や記号を効果的に使うことでぐっと読みやすくなります。

読み手に対する敬意、読んでもらおう、わかってほしいという気持ちは必ず相手に伝わります。わかってくれるだろうという甘えは捨てて、対面して話す時のようにリラックスして、でも相手に合わせて文章を書いてください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

関連情報 新入社員対象セミナー&通信教育

「新入社員養成講座」2020年4月2日(木)
印刷会社で働くための基礎知識と社会人として必要なビジネスマナーを学ぶ入門講座

「人間関係と仕事が上手くいくコミュニケーション講座」2020年4月3日(金)
①職場や仕事の人間関係を円滑にするためのコミュニケーションスキルを身につける。
②仕事を進める上で、お互いの信頼関係を築くために不可欠なルールを身につける。

「2020年度新入社員養成講座」(西部支社)
2020年4月2日(木)~7日(火)計4日間(土・日除く)
社会人の第一歩、印刷ビジネスの基本を学ぶ4日間

JAGAT通信教育「新入社員コース」
「上手なコミュニケーションのしかた」についても丁寧に解説しています。

印刷見積り基礎講座(演習編)~受講者の声~

●前回開催時の受講者アンケートより●

 

 

Q.1 本講座を受講した感想

●前日の講義内容と演習で実際に自分で考えることで理解度を深めることができた。また自社ルールが何かの切り分けもできた
●営業になったばかりで未経験の見積りに対しての知識や考えを学べた
●細かく体系付けして積算する事に関して整理ができた

Q.2 本講座で最も印象に残った講義内容や言葉は何ですか

●「メイクアップ」「版数」
●ソフトでやっていると見積りが作れていても中身が説明できない現象がおこるので今回の研修をやってみてより現場を知ろうと思った

印刷営業の基本プロセスと実務知識 ~受講者の声~

●前回開催時の受講者アンケートより●

 

 

 

Q1.受講した感想

●営業としての考え方をもう一度学ぶことができ大変参考になりました。社外の方の意見や考え方は時に新鮮なものもあり、良かったです。顧客のニーズを理解して、お客様の事を研究することはやはり大切でした。まだお客様を担当させてもらってはおりませんが、壁にぶつかったときにはこのセミナーの資料を振り返ってみようと思います。ありがとうございました。
●今回のセミナーに参加させていただき、お客様が困っていることや課題についてもう一度考えていきたいと感じました。
●田中先生のお話は何度かお聞きしていましたが、改めて部下への指導に取り入れたいと思いました。ありがとうございました。

Q2.印象に残った講義、内容、興味を持った項目、講師の言葉など

●ザオアンス、チャルディーニの法則
●あなた自身がプレミアム
●ちょっとだけの、予習・復習・考える
●ストーリーを作ることが大切!
●納品はお客様にとってはじまり(スタート)

 

【仙台開催】顧客のニーズを満たす幅広い表現と技術 デジタル印刷・加飾技術の基本知識とビジネスのツボ

<デジタル印刷ビジネスに特化したコンサルタントによるソリューションセミナー>

お客様に気づかせる印刷物の“価値”の提案!
デジタル印刷ビジネスで成果を上げるには、顧客ニーズに応えるという視点が重要です。デジタル印刷の基礎知識や長所・弱点を知ることで、デジタル印刷ならではのソリューション提案が可能になります。
本講座ではデジタル印刷・加飾・加工技術の開発が勢いを増す中、多様な技術を整理し、その特徴とポイントを学ぶと共に、実践事例を交え顧客のビジネスに合った技術をコーディネーションする視点を養います。

主な講義内容

1.デジタル印刷の基礎知識編
・デジタル印刷機の方式と機能・特徴
・デジタル印刷の長所と弱点を知る

2.デジタル印刷・加飾・加工の動向
・デジタル印刷機の二つの方向性
・大型機と小型機(POD)の動向
・加飾・加工・資材(特種紙)の動向

3.デジタル印刷ビジネスと課題 
・印刷ビジネスの現況とスマイルカーブ
・顧客が期待するビジネスの姿
・IoT/AIのもたらす価値と動向
・デジタル印刷を加えた総合的な印刷ビジネス

 

開催日程・開催時間

2020年2月21日(金)  16:00~18:00

【こんな方に】 ~ビジネスに応じたデジタル印刷を理解する~
・デジタル印刷でどんなサービスが提供できるのか知りたい
・デジタル印刷、加工、加飾技術の現況や特徴を知りたい
・デジタルと従来の印刷の使い分けを知りたい
・付加価値の高いデジタル加飾の可能性を知りたい

定員

40名(最少催行人数10名)
※開催1週間前で申込が10名に満たない場合は、中止とさせていただく場合がございます。

講師

宮本 泰夫  (株)バリューマシーンインターナショナル 取締役副社長

1993 年より東洋インキ製造(株)、HP Indigo 社製デジタルオンデマンド印刷機の技術、アプリケーション開発、ならびにデジタルフロントエンドの企画、開発を担当。2001 年より印刷系ITベンチャーにてシステム開発、ソリューション開発責任者としてオンデマンド印刷のアプリケーション開発に従事。2003 年同社退職、(株)バリューマシーンインターナショナルを設立し、現在に至る。デジタル印刷ならびにバリアブル印刷・Web-to-Print を中心とした周辺技術を絡めたビジネスコンサルティングを数多く手掛ける。情報工学修士。

会場

宮城県印刷会館 (仙台市宮城野区扇町3-9-12 TEL:022-284-7586)

参加費(税込)

JAGAT会員・東北地区印刷協議会傘下組合員 7,700円 / 一般 11,000円

お申込み

お申込書に必要事項をご記入のうえ、 (022)232-9249までFAXにてお送りください。

参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の前日までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
七十七銀行 東卸町支店(当座) No.5013968 ミヤギケンインサツコウギョウクミアイ

内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3112

お申し込み及びお支払に関して
宮城県印刷工業組合 電話:(022)284-7586

主催:公益社団法人 日本印刷技術協会 協力:東北地区印刷協議会

【仙台開催】印刷・製本・加工を起点としたアイデアとその発想法 ~新たな価値、ビジネスモデルで顧客満足を超える~


受講者のブレークスルーへとつながる実践的内容!
いまや、印刷・製本・加工において顧客要求を満足させることは当たり前のことであり、顧客満足の先を行くことが課題となっています。そのために、これまでとは異なるアプローチで新たな価値を提供することが求められており、そこで必要となるのはアイデアです。
本講座ではアイデアを中心として、印刷・製本・加工が顧客に与える新たな価値とそれに続く数々のビジネスモデルを紹介します。過去の成功事例を紹介するだけのありがちな講座と異なり、未来志向で、受講者自身が考え、創造し、ブレークスルーへ至る道をナビゲートします。

 

主な講義内容

●顧客に与える価値とは
 ・価値なくしてビジネスなし
 ・神様の問いかけ
 ・4つの価値をベースに

アイデアについて知る
 ・アイデアをだすのが下手な日本人
 ・才能は二の次
 ・ひらめきの正体
 ・アイデア脳をつくる
ビジネスモデルを知る
 ・多様なビジネスモデルの存在
 ・自社との相性を考える
 ・ビジネスモデルのケーススタディ

アイデアを生み出す
 ・アイデアのケーススタディ
 ・アイデア出しの方法
 ・組み合わせは重要
 ・ドラえもん思考で取り組む

 

開催日程・開催時間

2020年2月21日(金)  13:00~15:00

対象

経営者、各部門管理者、企画・営業部門リーダー・担当者、
デザイン・制作部門リーダー・担当者 など

定員

40名(最少催行人数10名)
※開催1週間前で申込が10名に満たない場合は、中止とさせていただく場合がございます。

講師

加藤 隆之 (加藤製本(株) 代表取締役)

早大卒業後に産経新聞入社し支局にてオウム真理教などを取材した後、本社で紙面編集を担当、その際に新聞組版をDTPオペレータの後ろで見て覚えてしまう。その後、社会部に移り、大学で心理学を専攻した経験から人々の消費行動に焦点を当てた取材を精力的に行う。平成10年に加藤製本入社、17年にPUR製本で世界初の無線綴丸背上製本の開発に成功したのを皮切りに製本・加工分野で新たな取組みを行い、数々の特許や実用新案を取得。29年にはステーショナリーを中心としたライフスタイルブランド「CRU-CIAL」を設立する。日本文学振興会理事など外部の役職も務める。

会場

宮城県印刷会館 (仙台市宮城野区扇町3-9-12 TEL:022-284-7586)

参加費(税込)

JAGAT会員・東北地区印刷協議会傘下組合員 7,700円 / 一般 11,000円

お申込み

お申込書に必要事項をご記入のうえ、 (022)232-9249までFAXにてお送りください。

参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の前日までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
七十七銀行 東卸町支店(当座) No.5013968 ミヤギケンインサツコウギョウクミアイ

内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3112

お申し込み及びお支払に関して
宮城県印刷工業組合 電話:(022)284-7586

主催:公益社団法人 日本印刷技術協会 協力:東北地区印刷協議会

活用が広がるインフォグラフィックス

街中でインフォグラフィックスの手法を用いた媒体が多く見うけられる。印刷・制作会社にとって、この手法を取り入れてデザインができれば新たなビジネスチャンスの可能性もでてくる。

 

世の中で活用されているインフォグラフィックス

インフォグラフィックス(infographics)とは、情報(information)+図版(graphics)の造語で、言葉だけでは表現仕切れない事柄やデータを図解によって視覚化し、「わかりやすさ」を追求する表現手段のことである。最近これが注目されているのは、世の中に流通する情報量が多くなり、ひと目で言いたいことが分かるようにデザインされた「インフォグラフィックス」に対する要求が高まってきたからである。ここ数年日本国内でも情報を伝える方法として広く活用されている。例えば「2020年東京オリンピックに向けてピクトグラムの変更・追加」がニュースになっていたが、ピクトグラムもインフォグラフィックスの一つである。
街中にもインフォグラフィックスの実例はたくさんある。代表的なものとして地下鉄の路線図があり、案内図・サイン・ポスター・サイネージなどにも応用されている。他にもプレゼン用に用いられるにおけるチャート、グラフなどに活用されている。

整理して考えることが必要

一方で、見た目の美しさを追求しすぎるあまり、一般の人にとって「わかりづらい」「迷ってしまう」案内ボードやサイネージなども街中にある。広告媒体などを制作する際に考えるべき基本的なことは、どうやってデータや情報をまとめたらわかりやすく読み取ってもらえるのか?(情報の整理力)、どういう切り口の表現で視覚化すれば伝わるのか?整理した情報をどういうグラフィックで表現していけば簡潔に伝わるのかを考えること(視覚的表現力)である。
そのために、まずはデータをじっくり分析する、伝える内容や情報を整理しておく、一番伝えたい事に焦点を当てる、小・中学生でも理解できるようにイラストやグラフを使って数値を視覚化する、使用する色を限定すること、などを順序立てて考える必要がある。決まった形がない分まとまりのないデザインになりがちなので、あらかじめポイントを頭に入れ、作成中に迷わないように制作することが重要だ。インフォグラフィックスの特長は、文章だけでなくいかに「見せて伝えるか」である。

 

JAGATではインフォグラフィクスを活用した企画書の作り方を学べるセミナーを2020年1月17日に開催する予定である。ひと目でわかる表現方法を企画書でも活用できれば、クライアントに対する訴求力も増すことが期待できる。
このセミナーでは、クライアント企業の与件を挙げ、グループ分けをして個々が企画の具体的な内容を考えて、ワークショップを通じてインフォグラフィックスを活用した企画書制作の考え方を勉強してもらう。ワークショップのいいところは、限られた時間の中で自分がどれだけの知恵と力を出せるのかを確かめることができることだ。そして、他人の意見を理解する姿勢を学べて、社外の方々や講師とのつながりができる。印刷会社や制作会社のデザイナー・営業マンの方にお勧めの内容である。

(CS部 伊藤禎昭)

インフォグラフィックスを活用した企画書制作
 日時:2020年1月17日(金) 13:00~18:00
 場所:JAGAT セミナールーム (東京都杉並区和田1-29-11)